第4話 異世界文化体験2
「もしかして、もう限界か?」
「……限界は近い……」
「よし、じゃあトイレに連れてってやるよ。背負っていくからさ。」
「ま、待て!その前に……この鎧を……脱がねば……」
「だよな。よし、じゃあ手伝うぞ。どこから外せばいいんだ?」
「まずは肩のバックルを外して……次に腰のベルトを……あっ、そこは触るな!変なところに手を入れるでない!」
「いや、わざとじゃねえよ!構造が複雑すぎるんだよこの鎧!」
「くっ……!このような辱めを受けるくらいなら……!」
「はいはい、出たな『くっ!ころせ!』。もう聞き飽きたわ!」
なんとかかんとか、壮真はサーヤの鎧を外すことに成功した。中には意外にも、ふわふわのわけのわからない柄のインナーが着込まれていた。
「……お前、それ……」
「な、なにを見ている!これは戦闘時のインナーだ!防寒と動きやすさを兼ね備えた、れっきとした戦闘服だ!」
「なんか耳ついてるけどな……」
「かわいいものは正義だと言ったであろう!」
「はいはい、わかったよ。じゃあ行くぞ。」
壮真はサーヤを背負い、部屋の奥にあるトイレへと向かった。
「ここがトイレだ。洋式ってやつで、座って使うタイプだな。」
「ほう……これが異世界のトイレか……まるで王座のようだな……」
「いや、王座じゃねえよ。用を足すための椅子だよ。で、終わったらこのレバーを引くと水が流れる。」
「魔道具か……すごいな……」
「魔道じゃなくて水道だよ。まあ、使い方はわかったか?」
「うむ……なんとかなる……と思う……」
「じゃあ、俺は外で待ってるから。終わったら呼んでくれ。」
「ふん、感謝するぞ、壮真。……くっ、ころせ!」
「いや、なんで最後にそれ言うんだよ!」
しばらくして、トイレの中から声が響いた。
「な、なんだこれは!?紙が……紙が柔らかい!しかも……薄い!これは……貴族専用の絹か!?いや、絹よりも繊細だぞ!」
「それ、トイレットペーパーって言って、使い捨ての紙だよ。俺は柔らかいのが好きなんだ。」
「なんと……この世界、尻に優しすぎる……!」
その時、サーヤがウォシュレットの操作パネルに気付いた。
「む?この紋章のようなものはなんだ?……ふむ、押してみるか。」
ピッ。
「……ん?何も起こらぬな。ふん、やはり魔導具か。魔力が足りぬのか?」
ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
トイレから悲鳴が響き渡る。
「お、おい!?大丈夫か!?」
「な、な、な、なんだこれははははは!?みみみみみ水が……水がしししし尻に向かってととととと飛んできているぞぞぞぞぞ!?ここここここれは拷問かかかかか!?いいいいいいいいや、浄化の儀式かかかか!?くくくくっ!ころせせせせせ!!」
「いやいや!それウォシュレットって言って、おしりの洗浄機能だよ!清潔にするためのやつ!早く隣の四角いマークのボタンを押せ!!!」
サーヤは急いで言われたボタンを押すとウォシュレットは停止した。
「な、なるほど……この世界では尻まで洗うのか……なんと高潔な文化……!」
「でも、わけわからんボタンを押すなよ……」
「ふん!騎士たるもの、未知のものは試してこそ価値がある!」
「ほんと残念な騎士だな……」
サーヤはトイレから出てきて、まだ尻を気にしながら歩いていた。
「しかし……あの水圧……なかなかの威力だった……。あれは武器として使えぬのか?」
「使えねぇよ!」
「ふむ……だが、あの柔らかい紙と水の共演……これは革命だ……!」
「お前、トイレで革命起こすなよ……」
サーヤは感動しながら、トイレ文化の偉大さを語り続けた。
「この世界……恐るべし……!」
「俺はお前のほうが恐ろしいよ。」




