第35話 無抵抗をフルボッコは卑怯?1
二人は東側の海岸へと向かった。
「たしかこのあたりにゾルの木があったよな?」
壮真が木々を見渡しながら歩くと、一本の細長い木が目に入った。
「あった!あった!」
サーヤは木の枝を軽く引っ張った。
ぐにゃああああああああああああああああああああん!!!
「これこれ、じゃあこれを予備も入れて3本切ろうか」
「ふははははは!!!ついに私の出番が来たのだ!!!!」
サーヤはチェーンソーを掲げ、得意顔だ。
「じゃあ任せた。俺はAMAZONでワイヤーとネットを注文するよ。」
「わかったのだ、さてゾルの木よ、おぬしの恨みはないがこのチェーンソーの生贄となるがよい!!!!はーはっはっはっは!!!!」
「何処の魔王のセリフだよ。」
サーヤに呆れつつ壮真はネット注文に集中した。
次の日。材料がそろった二人は罠を設置するべく縄張りの境界付近へ向かった。
「このあたりがいいな。ガガブルはここを通って縄張りへ行くはずだ。」
サーヤが地面の足跡を指差す。
「ガガブルの足跡か?」
「うむ。深く沈んでいるだろう?この大きさ、形はガガブルだ。」
壮真は周囲を見渡し、木の配置を確認した。
「よし・・・ここなら罠を設置できる。まずは落とし穴だ。」
壮真はスコップを2つ取り出しを一つをサーヤに渡す。
「だいたいこの大きさでこれぐらい掘ってくれ。」
壮真は地面へ円を描き高さを手で表現した。
「わかったのだ。」
サーヤはうなずくとスコップで円の中を掘り出した。
3時間後落とし穴が完成した。
「結構早くできたな。順調だな、お昼にするか?」
「やったー!今日はなんだ?」
「今日は肉の切れ端を細かくしてミンチ上にして肉そぼろを作ったぞ。それをおにぎりの具にした。」
「うおーーーー!!!うまいのだー!」
休憩後・・・
壮真はワイヤーロープを取り出し、片端を輪にしてワイヤークリップで固定した。
「これが“輪”だ。ガガブルの足がここに入ると、体重でワイヤーが締まる。」
サーヤは輪を持ち上げ、感心したように言った。
「なるほど・・・これは強力だな。この強度なら、ガガブルでも引きちぎれないな!」
「よし次はゾルの木の出番だ。」
壮真はゾルの木の枝を地面に押し付け、ロープで強く引っ張った。
ぎしぎしぎしぎしぎしぎし・・・!
壮真は驚きの声を上げた。
「やっぱりすごいな!これほど曲げても折れないとは・・・!ゾルの木は“しなるほど強い”。だから、こうやって地面に押さえつけておくと――」
壮真はロープを軽く引っ張り、説明を続けた。
「ロープが外れた瞬間、ゾルの木が一気に跳ね上がりワイヤーの輪がガガブルの足に入り締め付ける。すると拘束されて動けなくなる。」
サーヤは目を丸くした。
「普通のくくり罠は“獣の体重”だけで締まるけど、これはゾルの木の反発力が加わる。」
壮真は地面に図を描いた。
「すごいな!そして次はネットか?」
「そうだ。このネットでガガブルをさらに動けなくするんだ。」
壮真はグリーンネットを取り出した。
「ネットだけだと、弱いからガガブルは暴れて抜け出す可能性がある。だからネットを余ったワイヤーで補強するんだ。」
サーヤはネットを広げながら言った。
「なるほど!この四角のネットの対角線上にワイヤーを編み込むんだな?」
「そう、そうすればある程度の強度があるから、破られる事はないと思うよ。」
最後に壮真は板を組み合わせ、簡易の踏み板を作った。
「ガガブルがここを踏むと、踏み板が崩れる。するとロープが外れて、ゾルの木が跳ね上がる。」
サーヤは踏み板を見つめ、呟いた。
「この罠・・・発動した瞬間、ガガブルは逃げられないな。」
「そういう設計だ。」
壮真は最後に、落とし穴を落ち葉で薄く覆った。
「よし・・・これで完成だ。」
サーヤは罠を見つめ、感動したように言った。
「この罠が成功すれば・・・AMAZONが待っている・・・」
「いい感じで言うセリフがAMAZONかよ!!」




