第33話 戦に勝つにはまず相手を知ろう2
ガガブルの爪痕を見つけた二人は、さらに森の奥へと進んでいった。
空気は重く、湿り気を帯び、どこか鉄のような匂いが漂っている。
「・・・この匂い、血の匂いだな。」
サーヤが低く呟く。
「血って・・・おいおい、マジかよ・・・」
「ガガブルは縄張りに入った生き物を容赦なく襲う。弱肉強食の象徴のような魔獣だ。」
壮真は喉を鳴らし、無意識に後ずさった。
「なあサーヤ・・・本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。私がいる。」
サーヤは胸を張るが、その直後・・・
ズシン・・・ズシン・・・ズシン・・・
地面が揺れた。
「・・・隠れろ!」
サーヤが壮真の腕をつかみ木の陰へと隠れた瞬間、森の奥の茂みが大きく揺れた。
バサァァァァァァァァッ!!!
現れたのは・・・
巨大な熊のような体躯に、ゴリラのように太く長い腕、そしてその先にある2本の大きく長い爪。
目は血のように赤く、鋭い牙がある口元は呼吸のたびに白い蒸気を吐き出す。
「・・・あれが・・・ガガブル・・・?」
壮真は声を失った。
「うむ・・・思った以上にでかいな・・・ここから奴の縄張りだったのかもしれんな。ガガブルは縄張りに入られるとすぐ察知して見に来るんだ。」
サーヤの声にもわずかに震えが混じる。
その時・・・
パキッ!!壮真は少し後ずさりをし、その際に小枝を踏んでしまった。
「しまった!!」
ガガブルはすぐさまその音に反応した。
あたりを見まわし二人を見つけると、鼻を鳴らし・・・
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
咆哮を上げた。
「しまった見つかった!!!壮真殿!逃げろ!」
サーヤが前に出る。
ガガブルが地面を蹴った。
ズドンッ!!!
その一歩だけで、地面が陥没する。
「おいおいおいおいおいおいおい!!!あれ絶対勝てないやつだろ!!!」
「落ち着け!私が時間を稼ぐ!」
サーヤは剣を構え、ガガブルに向かって突進した。
「はあああああああああああああああああああああ!!!」
剣が振り下ろされ・・・
ガキィィィィィィィィィィィィィィィン!!!
金属が砕けるような音が響いた。
サーヤの剣は、ガガブルの爪に弾かれ、火花を散らした。
「硬すぎる・・・!」
ガガブルが腕を振り上げた。
ブンッ!!!
その一撃は、サーヤの体を軽々と吹き飛ばした。
「ぐあっ・・・!」
「サーヤ!!!」
壮真が駆け寄ると、サーヤは木に叩きつけられ、地面に崩れ落ちていた。
「だ、大丈夫か!?」
「・・・か、軽傷だ・・・骨は折れていない・・・だが・・・」
サーヤは震える声で言った。
「正面からでは・・・絶対に勝てん・・・!」
ガガブルはゆっくりと二人に近づいてくる。
ズシン・・・ズシン・・・
「おいおいおいおい!!!どうするんだよこれ!!!」
「逃げるぞ!!!」
サーヤが叫んだ。
二人は全力で走り出した。
ガガブルは追ってこようとしたが、縄張りの境界線で立ち止まり、低く唸った。
「・・・助かった!!」
壮真はその場にへたり込んだ。
サーヤも肩で息をしながら言った。
「壮真殿・・・やはりあれはこの人数では正面から戦う相手ではないな・・・」
「いや、見ればわかるわ!!!」
「だが・・・倒さねばならん。アヤツを倒せばまたAMAZONで買い物できるかもしれん!!!」
「いや、命のほうが大事だろ!なんか妙に乗り気だったのはそれのせいか・・・」
「当たり前であろう、こんなチャンスみすみす逃すわけなかろう。」
サーヤは真剣な表情で言った。
「まあでも、倒さんことには先へ進めないのも事実だしな・・・。でも正面は無理だ!!新しい罠を考えないとな。」
「新しい罠?」
「うん。あれほどの巨体でしかも腕も太い、前に使ったスプリング・スピア・トラップでは少しは聞くかもしれんが爪とかで防がれそうだしな、でも、何かしらの弱点はあるはずだ。正面から勝てないなら、知恵で勝つしかない。」
壮真は息を整えながら、ゆっくりと立ち上がった。
「そうだな。私たちだけじゃ、ガガブルに正面から勝てるわけがない。」
「おう。だからこそ、罠だ!」
サーヤは力強く頷いた。
「壮真殿の罠の知識・・・借りるぞ。」
「・・・任せろ。あいつを倒すための罠、考えてやるよ!」
二人は洞窟へ戻りながら、ガガブル討伐のための作戦会議を始めた。




