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結局どっちなんだーーーー!  作者: 楓真パパ


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第1話 目覚めたら洞窟だった件について

2作目 開始します。交互に更新予定です。

「……んだよ、また終電かよ……」


 壮真は、駅のホームに滑り込む最終電車に乗り込みながら、スマホの画面に映る時刻をぼんやりと眺めた。日付が変わるまで働き、誰とも会話せず、誰にも感謝されず、ただ数字と書類に追われる毎日。ブラック企業勤めの40歳サラリーマン。両親ともに他界しており兄弟もなく天涯孤独。唯一の趣味であるDIYもソロキャンプも、今では思い出の中にしか存在しない。

 帰宅すると、部屋は静まり返っていた。冷蔵庫の中には、買い置きの冷凍弁当がある。電子レンジの「チン」という音だけが、彼の生活に彩りを与える。


「いただきます……」


 誰に言うでもなく、習慣のように呟く。味は、もう覚えていない。ただ口に運び、咀嚼し、飲み込む。テレビはつけっぱなし。深夜ニュースのキャスターの声が、遠くの世界の出来事を淡々と語っている。

 食べ終えた容器をゴミ袋に放り込み、スーツのままベッドに倒れ込む。天井を見上げると、蛍光灯の白い光が目に刺さるようだった。


「……明日も、同じか……」


 目を閉じる。まぶたの裏には、何も浮かばない。夢も希望も、もうずいぶん前に置き忘れてきた。


 次の日


「おい!壮真!!!この書類どうなっているんだ!やりなおしてこい!」


 いつものように急な仕様変更でやり直しを要求される。いつものことだ。

 突き返された書類を手に席へと座る。


「まったく課長もいい加減仕様変更があれば報告しろよなー。」


 こそこそと隣の同期が耳元でささやく。


「まったくだよ。」


 壮真はいつものことで怒るという感覚がなくなっていた。

 そしてまた深夜まで仕事をし家へ帰る。

 そしてその日はやってきた。

 いつも通り深夜に帰宅、ニュース番組を見ながら冷凍弁当うを食べベッドで眠る。

 部屋の静寂が、彼を包み込む。外では風が吹いているのか、窓がわずかに揺れていた。時計の秒針が、規則正しく時を刻む。

 ――そして、目を開けたとき。


「……え?」


 そこは、見慣れた天井ではなかった。岩肌の天井。湿った空気。かすかに水の滴る音。


「洞窟……?」


 信じられないことに、自分の部屋がそのままそこにあった。ベッド、テレビ、DIY用の工具棚、そして昨日の弁当の空容器まで。


「夢か……?」


 まだ、寝ぼけているのかと思いスマホを見る。

 朝の7時、もうすぐ起きる時間だ。けど周りは薄暗い、遠くのほうで光が見える。

 電気をつけようとスマホライトを頼りに壁を探すがごつごつとした岩の感触しかない。

 仕方なく電気をあきらめ、多分出口であろう明るい方へと歩いて行った。

 洞窟の出口をくぐると、まばゆい光が壮真の目を刺した。しばらく目を細めていたが、徐々に視界が開けていく。

 目の前には、鬱蒼としたジャングルが広がっていた。木々は見たこともないほど巨大で、幹は人の胴体ほどもあり、葉は傘のように広がっている。空には鮮やかな青が広がり、雲はゆっくりと流れていた。遠くには白い砂浜と、エメラルドグリーンの海がきらめいている。


「……まるで、絵に描いたような無人島だな」


 壮真は思わず呟いた。だが、よく見ると違和感もある。木の枝にぶら下がっている果実は、見たことのない形をしていた。一部は発光しており、近づくと微かに音を発している。地球の植物とは思えない。

 足元には、カラフルな昆虫が這い回っていた。一匹は羽を広げて飛び立ち、空中で小さな光の軌跡を描いた。「ここはどこなんだ……はっ!もしかして!」

 壮真の脳裏に一つの考えが浮かんだ。

 そして意気揚々と右手を掲げ叫んだ。


「ステータスオープン!!!!!」


「鑑定!!!!」


「ファイヤーボール!!!!」


「アイテムボックス!!!!!」


「・・・・・・・・」


 壮真はそっと右腕を下ろし咳払いをした。その顔は真っ赤だった。


「クソー!年甲斐もなく浮かれてしまった!」


 壮真は異世界転移だと確信し(お約束)を叫んでしまった。


「やっぱり異世界じゃないのか?」


 しかし、周りを見るとどう見ても地球じゃない。


「とりあえず、部屋に戻るか。」


 壮真は洞窟の奥にある自分の部屋へと戻った。岩肌に囲まれた空間に、見慣れた家具が違和感なく並んでいる。しかも戸棚やふろ場のドアが岩の壁に埋まっていいる。ようするに天井、壁、床だけが洞窟の壁で部屋の大きさ間取りは一緒なのだ。


「……やっぱり、夢じゃないんだな」


 天井が洞窟だからか部屋の照明はない。だが、冷蔵庫のモーター音が微かに響いている。試しに冷蔵庫の扉を開けると・・・


「……冷たい……」


 驚きながらも、次に蛇口をひねると水が流れ出た。ガスコンロに火をつけると、青い炎が揺れる。風呂場に行くとお湯も出る。テレビは電源は入るが映像は写らない。パソコンも起動するがネットは使えない。


「どういう仕組みだよ……電気も水もガスも通ってるって、ここ洞窟だぞ?異世界転移の物語じゃあよくある設定だけどやっぱり異世界転移なのか?」


 頭を抱えながら壮真は部屋の確認を続けた。


「とりあえず水は確保できてるから食料の確認か・・・」


 壮真は戸棚と押し入れを確認した。


「朝食用の固形食料があと350個、キャンプ用で買った災害用レトルトご飯50食、冷凍弁当が20食、米20kg(会社の忘年会で当たったが炊飯器がないためキャンプで使おうとしていたが全然いけてないから残っていた)、インスタントコーヒー3本、あとはキャンプ用で使っていた調味料セットはそんなに量はないな。まあ、節約すれば1年以上は大丈夫か。」


 一息ついてベッドに座りスマホを眺めると時刻は8時だった。


「やっぱり電波は来てないか・・・まあ、多分だめだろうけど後で外でも電波があるか見てみるか?」


 その時、「ぐううーー」っとおなかが鳴った。


「そういえば朝飯食ってないな。とりあえず食うか。」


 壮真は朝食用の固形食用を1つ取り出し黄色いパッケージから1つ袋を取り出し開けて食べ始める。


「うん!いつもの味だ!」


 お湯を沸かし、インスタントコーヒーを入れ飲む。


「こっちも一緒!」


 多分この食料はもともとあった食料で間違いないのだろう。


「これからどうするかな?」


 たぶんこの洞窟内は安全だ、しかし外との境はドアがないのでもし獰猛な生き物が入ってくると危険に陥る。


「少し周りの様子を確認するか。」


 壮真は最後の1かけらを口に放り込み準備にとりかかる。

 いつもキャンプで使っているリュックサックに数日分の食料と水筒に水を入れ、方位磁石、ナイフ、ロープなど基本的なサバイバル用品を詰め込む。

 服を登山用の着替え準備を完了する。


「なんか久々にキャンプへ行くみたいにワクワクするな!とりあえずこの周辺がどうなっているか地図を作るか。」


 壮真は再び洞窟から出て森へと足を運んだ。





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