『創造』が地に立つという事
私は目に入った世界に降りることにした。どうせ選んでも変わりはしないだろうし…
「よっと」
地に立った私の周りに花が咲く。こういう事だ、『秩序』は世界に対して働く。そこにないものを『創造』する、これが『秩序』、私たち最高神が住む世界の外ではそれは働かないが地上に降りればそういうことが起きる。
ん? 『破壊』はどうしてたんだろう、何かを破壊しながら歩んでいたのか……人類にとっては迷惑な話だ……まぁ、さすがに制御はするだろうが。
私も制御をしないと邪魔なものばかりを生み出して面倒なことにしかなりかねないわけだが。
そうして私は歩く。
空気の流れ、水の音、動物の鳴き声、ありとあらゆる音、感触を味わう。
「気分転換に来る分にはとても良い所ね」
思わずそんな独り言が出るくらい気分がよかった。
……
私は人類と下位神の思うことがよくわからない。ひれ伏し、何かを願う。何かを私が差し出すことは簡単だが、それを喜ぶ様はよく分からない。私は彼らが理解できるものしか与えてないし、それはどこかしらで手に入るものだ。
しばらく地上を歩いたところである中位神と対面している、人類や下位神でなくともこれも少し面倒なのだ。
「……創造神様や、何故このような辺境にお越しで?」
「気まぐれだ、気にするな、長くても千年ほどしか滞在はしないから安心して」
「たっはーーー、これまたなかなか……私のような中位神にでも千年は長いのですぞ……」
この様に少しばかりまともに話せても認識のずれがあるからな。
「そういうものなのか」
「おっしゃる通りで、創造神様は世界にめったに降りられぬそうですから感覚が違うようですが」
「直に慣れる、ところでお前は何の神なのだ?」
私はこの神について気になった。ただそれだけの理由だった。
「私は稲荷、『狐』の神の一柱であります……」
この神に名前があることに驚いたのだ。『世界』から得られる情報でも必要の情報だけを集める私が知らないことだった。
「名前があるのか? その名前は誰から付けられた」
「人類に、この世界ではお稲荷さんと呼ばれております」
このことも私の常識にはなかった。
「バカな! 中位神は人類の付けた名を使うのか!?」
「何をそう驚いておられるので……人と歩み寄るのは必要なことですぞ」
「……」
私は驚いてばかりだ、この『世界』のすべての『創造』つまり始まりを司る者としてあるまじき事態だ。
「……稲荷といったか、お前にはいろいろ聞きたいことがある」
「私なぞでよければ」
……私は気になったのだ、多くの神々と人類がどのように過ごすのか。
私は知らないことが多すぎた、人類についても、神々についても……
『破壊』はこの事をいつ知ったのだろうか、知ったから変わったのだろうか? 中位神などはいい。私のような最高神は人類とどのように接すればいいのだろうか?
この『狐』の話でその糸口を見出せればいいのだが……




