第2話:突然の出会い
蒼銀 静:水戸 儚火
前回、学校帰りに1人の女子を見つけ、ヤンキーと戦っている所を目撃した、静。
今回は、その女子を見た次の日のお話です。
「てなわけで、今日は遅れていくから」
「はいはい、俺から先生に言っとくわ」
今日は微妙に体調が悪い。別にズル休みをしても良かったが、さすがに成績の事もあるし、3時間目から登校する予定だ。
「...もっと悪化すれば良いのに」
そんなことを考え、徐々に回復していく体に嫌気がさしながら、学校へ行く。
(学校に移動中...)
俺が学校につき、そそくさと教室に入った。
だが、そこはいつもの教室では無いようだった。いつもより暗く、いつもより静かで、いつもより張り詰めた空気、なにかに怯えるような全員の顔、どうせ何かやらかして生徒指導の先生に怒られたんだろう、そう思っていた。だが、俺の予想とはだいぶ違った。皆が怯える存在...
「まじかよ...」
教室の端の席、いつもは誰もいない席のはずだった、だが今日は...
「...水戸... 儚火」
水戸が出席しているのだ。彼女はここら一帯に名を轟かせている、紅花隊の女総長だ。実力も相当らしく。つい最近では、隣の高校のヤンキーを、全滅させたらしい。
「なぁなぁ、この空気ってさ」
俺は小声で友人に話しかけながら、席に着いた。
「あぁ、水戸が出席してきて先生もみんな驚いてるんだよ」
まぁ、そんことだろう学校一の問題児が珍しく出席しているんだ。そりゃこんな空気になる。
そんなことを考えていると、まもなく授業が始まる。
もちろん授業中だって空気感は、そのままだ。先生だって水戸を怒らせないように頑張っている。
(授業終了)
ようやく授業が終わった。なんとも生きた心地がしなかったが、授業中に水戸を怒らせることは無かった。
今日は大人しくサッサと帰ろう
そう心に決め、俺は家に帰宅した。
(帰宅中...)
「少し早く帰りすぎたな...」「早く帰ったら親父の手伝いだしなぁ」
俺はそんなことを考えながら、帰路についた。
そんな時、
「ん?誰だアレ?」
俺の視線の先には、1匹の猫と戯れる、1人の女子が居た。俺は女子生徒を見た途端、驚愕した。
「...水戸... 儚火」
なんと、水戸が猫と戯れていた。俺はいつもの水戸とのギャップで、口が開いたままになってしまった。いつもは龍の如く恐ろしい水戸だが、今は普通の女の子のように、ただただ猫と
戯れてる、なんとも不思議な時間が流れていた。そんなことを考えていると、
「誰だ!」
水戸が、鬼の形相でこちらを見つめてきた。俺は反射的に物陰に急いで身を潜めた。だが、どうやら水戸にはこちらが見えてたらしく、
「そこに隠れているのは知ってんだぞ!」
と、見なくてもわかる、多分、いや絶対に、水戸は俺を殺す気でこちらを見ていると。
「...あ、あのぉ」
俺は恐る恐る物陰から出て、なぜか両手を上げながら、下がることにした。
「...お前...何を見た...」
「何も見てません!」
俺はそう言うしか無かった。逆にそれ以外を言って助かるビジョンが見えない。
「じゃー、あたしは、誰だか、分かる?」
水戸は、にやけながら言った。俺には分かる。こいつは、答え方を間違えたら死ぬやつだと。俺は恐る恐る、
「紅花隊の...女総長の...水戸儚火さん...です」
まるで産まれたての子鹿のように怯えながら答えた。
「ふーん...知ってるんだ...」
水戸はそう答え、しばらく沈黙の時間が続いた。体感10分ぐらいだろうか、沈黙が続いた後、水戸が口を開いた。
「...殺す...」
今回はご愛読ありがとうございました!
これからも、書き続けていきますので
よろしくお願いします('ω')ノ