表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/21

第七話 おじさん、健康診断後に教会

 クレイ爺特製緑のぶくぶく薬を我慢して辿り着いた教会。だが、おじさんはもうヘトヘトだ!


「あ、あ、あ、あ、あ…………ふぅぅぅぅううう、すぅううう、あの、解呪、を、お願いしたいんですが……」

「あ、おっさんじゃん!」


 話しかけてきたのは茶色い髪を頭のてっぺんで結んだ少女、ヒナ。ここで世話になっている孤児で顔見知り。

 教会は孤児院と併設されており、俺は時折ここに来ていた。なので、孤児院の子供達とも顔見知りで気さくに話しかけてこられる。


「よお、ヒナ。お出かけか?」

「そうよ! 弟と一緒にお使いにいってくるの! えらい?」

「えらいなー、じゃあ、そんなえらいヒナに小遣いをやろう。えらい?」

「おっさん、えらいね! ありがと!」


 俺はこうやって寄付やこづかいをあげて自己肯定感を上げている。

 Gランクのおっさんはお姉ちゃんのいる店に行っても馬鹿にされる。だが、子供達やシスターは喜んでくれる。おっさんは幸せである。


「ところで、ヒナ。シスターは誰かいるか? ちょっとお願いしたい事があってな」

「ああ、シスターならね、今日来たばっかりの人が……あー!」

「おっさん、何か用?」


 ヒナが言い終わる前に、伝えたかったシスターを発見したようで指をさす。

 教会の中から出てきたのは水色髪の物静かそうなシスター。おっさんと呼ばれた気がするが多分俺の耳が悪いせいで聞こえた幻聴だろう。だって、シスターだよ。シスターそんな事言わない。


「おっさん、聞こえてないの? おっさん」


 シスターそんな事言ってた。幻聴じゃなかった。


「シ、シスター、はじめまして。俺の名はカイエン。オッサンじゃないんだ」


 子どもは言ってもいい。だが、そこそこ大人なシスター、テメーは駄目だ。


「カイエンのおっさんね。よろしく、おっさん。私の名は、シア」


 シアは真っ直ぐな目で俺を見て、言った。澄んだ眼で言った。すごく滑舌良く言った。

 やだー、おっさん、この子苦手ー。

 振り返ると、ヒナは弟と一緒にもう遠くへ行ってしまっている。


「で、おっさんどうしたの? なんの用?」


 この子、止まんないんだけど。


「あ、ああ……あの、解呪をお願いしたくて……」

「解呪? ……ふーん、偽装の呪いまでかけられてるのね。えい」


 シアが指を振ると、一気に身体が冷えたように感じた。


「【偽装の呪い】を解いたわ。この呪いは呪いを気づかなくさせる為の呪い。じわじわとなぶり殺すために使われることが多い。その呪霊は今消した。ふーん、おっさん、ずいぶん呪われてるね」


 シアの青い瞳が妖しく輝く。

 本来、解呪は長い祈りを捧げ神の力を身体に宿し、呪いをかける呪霊を払っていくもののはず。それをこのシスターは指を振っただけで一つ呪霊を消した……? そんなことが出来る解呪の使い手なんて初めて見た。いや、なんか昔いたような気がするけど忘れた。忘れたい。


「よかったね、おっさん」


 この子の発言もちょっと忘れたい。

 まあ、一旦置いておこう。それよりこんなとんでもない力を持つシスターが何故こんなところに?


「……ぅ」


 俺は急激に冷たくなっていく身体を抱え震えながら膝をつき、シアを見上げるとシアは薄く微笑む。


「神様に言われたの。ここに来れば面白いものがみられるって。神様のいうとおりだった」


 ヤバい奴だった。呪いをおもしろいものって言うなよ。こっちはとんでもなく呪われてるんだぞ!


「おっさんの周りを取り囲んで呪霊が踊ってる。ぷぷ。おもしろい」

「こっちは全然おもしろくねーんだけど!?」

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。

今まで好きだった話によければ『いいね』頂けると今後の参考になりますのでよろしくお願いします!


また、作者お気に入り登録も是非!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ