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第五話 おじさん、健康診断前に受付嬢泣かす。

 ユリエラさんの声色が急に変わってビビった。

 え? なに? 怒ってる?


「聞きましたよ。あの二人のチームから抜けたんでしょう? 前までは時間に余裕がない余裕がないと躱されましたけど。今なら時間ありますよね」


 圧がすごい。

 金髪が揺らめいているように見える。ぼんやりとしか見えてないけど。


「いや、でも、金が」

「お金持ってるでしょ。知ってますからね。それに安心してください。最近、冒険者ギルドでも冒険者の健康管理に力を入れるようになって、ギルドで一定以上の依頼をこなして10年以上頑張ってくれている人は無料で受けられるんですよ。さあ、さあ、さあ!」


 ずいっと迫って来て、圧が凄い。だが、碧い瞳が綺麗。だが、その目に映るおじさん、俺はきったねえ。いや、本当に不健康な顔だ。


「いや、でも……」

「……私は、ボロボロの貴方が心配なんです」


 圧が弱まる。

 と、同時にしおらしい声を出すユリエラさん。

 よく見れば碧い瞳に涙がじわりと浮かんでる!?

 

 まいった。ユリエラさんには本当に助けられている。彼女の顔を曇らせるようなことだけはしたくない。俺は意を決し頷く。


「わかりました。健康診断。受けますよ」

「本当ですか!?」


 ユリエラさんが大きな声で喜び飛びはねている。かわいい。

 俺と変わらない年だが少女のように飛びはねるユリエラさん。そんなに俺の身体を心配してくれてたのか。おじさん、ちょっとドキドキしちゃう。

 だけど、ユリエラさん。


「あのー、ユリエラさん、その目のやり場に困るので、あまり跳ねない方が……」

「え!?」


 ユリエラさんの胸辺りの大人な部分が揺れておじさんとしてはとても困り注意すると、ユリエラさんが胸元を押さえ顔を赤くする。うむ、かわいい。


「も、もう、カイエンさん!」

「すみません……あのー、健康診断ちゃんと受けるんで許してもらえませんか」

「そ、それなら、まあ……許します」


 そんなに俺に健康診断を受けさせたかったのか。よほど俺の身体を心配してくれたんだな。

 まあ、ユリエラさんがただやさしいだけだろうけどそれでも嬉しいもんは嬉しい。


「わたし、ずっとカイエンさんとは一緒にいたいんですからね」

「え? なんですって?」


 背を向けたユリエラさんの言葉は聞こえなかった。ああ、本当に耳が悪い。

 絶対に耳はひっかかるだろうなあ。




 そして、俺は冒険者ギルドに最近やってきたという最新鋭の魔道具を使いこなす名医と言われるちょっと挙動不審な小柄な女医さんに健康診断の結果を教えてもらったのだが……。


「え? なんですって?」

「カイエンさん、よく聞いてください……」


 目の前にいる医者の声が随分遠く聞こえた。


 俺は、震えていた。

 手に持っていた診断書がカサカサと音を立てる。鼻にもぐりこんでくる薬品の匂いのせいか頭がくらくらする。


(どうしてこんな……。)


 何度も何度も手に持った紙を確認する。だが、現実は変わらない。


「あなたが久しぶりに受けたという健康診断の結果……あなたは」


 なんで……!


「Gランクでした」


 診断書に書かれていたことと医者の言葉は同じ。そりゃそうだ。

 だが、まさか……俺の冒険者ランクと同じとは……。冒険者ギルドのランクでGはゴミランクと呼ばれている。だが、健康診断までGなんて。

 そもそも健康診断が久しぶり過ぎて、Gってなんだ?

 俺はつばを飲み込み、医者に問う。


「Gランク……というと?」

「通称、激ヤバ。全身激ヤバGランクでした。すぐに……治療を受けて下さい。でないと……死にます」

「……えええぇえええええええええええ!?」

「急に立ち上がらないで! 叫ばないで! 死ぬかも!」


 泣きそうな小さなお医者さん。名をハクさんと言うらしい。

 白髪のショートで若々しく10代にも見える彼女が手足をバタバタさせて涙目で俺を止める。


「とにかく! 余命秒かもしれないんで。とりあえず、この延命ポーション飲んでください。ていうより、なんで生きてんの? 奇跡すぎるんですが」

「え? なんだって?」


 今のは聞こえた。だけど、聞こえてほしくなかった。

 なんで生きてんの? って、俺そんな状態なの!? 奇跡なの!? 今生きていることが奇跡なの!?


「奇跡そのもの。なんで生きてるのってレベルです。精密検査を受けて色んなところを早く治療すべきです。まずは、教会に行ってください」

「んん? きょうかい? なぜ?」


 ハク医師の言葉に首を傾げる。教会では治療は行っているが、飽くまで治癒魔法による傷の治療。基本的には病院で治してもらうもんだと思っていたが。


「あなたのステータスを見て下さい」

「なんだこれ……?」


 ハク医師が水晶の板のようなものを渡してくる。ハク医師曰く最新の魔道具で、タブレットというらしい。そこには文字が光って浮かび上がっている。それも驚きだったがそれ以上に驚きだったのが、俺のステータスだった。


カイエン(G・瀕死)

年齢:40

身長:179

体重:85

体力:5(G)

筋力:3(G)

魔力:5(G)

敏捷:3(G)

器用:5(G)

状態:毒(中)、麻痺(弱)、風邪(弱)、混乱(弱)、虚無(小)、炎症(大)、石化(弱)、呪い(【???の呪い】【封魔の呪い】【鈍化の呪い】【鈍感の呪い】【聴覚の呪い】【触覚の呪い】【視覚の呪い】【味覚の呪い】【嗅覚の呪い】【老化の呪い】【半力の呪い】【治癒抵抗の呪い】【虚弱の呪い】【心病みの呪い】【偽装の呪い】)


「多い多い多い! 状態異常と呪いが多いな!」

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。

今まで好きだった話によければ『いいね』頂けると今後の参考になりますのでよろしくお願いします!


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