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16 終わり 財前先生の微笑

(16)




 財前先生が再びロダンの名前を思い出すことになったのは、九州北部を襲った豪雨災害の後だった。

 九州北部を襲った豪雨は渓流を渦巻く濁流に変え大きな爪痕をNに残した。豪雨により渓流の大小の岩は濁流の為に流され、堤防を越えて溢れた濁流によってNの田畑の多くは水没した。それ程までにこの豪雨災害は大きかった。

 然しながら豪雨が引いた後、奇妙なものが発見されたのである。ロダンが寝そべって過ごしたあの大岩の下で白骨化した遺体が見つかったのである。

 これを聞きつけた新聞記者はこぞって新聞に書いたが、いち地方新聞の記事だったのでそれをロダンが見ているかは不明だ。

 まさに彼の推理の見事さと言えるだろう。


 財前先生は彼が残した折口信夫の本を開く度に思う。

 彼はまるで九州に伝わる伝説の大男、大大法師、つまり——だいだらぼっちのようだ。

 だいだらぼっちは九州南部の勇敢で優しい隼人が神格化された存在だと自分は思っている。


 ――正に彼がそうではないだろうか。


 娘が犯した未遂事件、その事について彼は娘に語った形跡がない。彼は胸中深くに秘めてくれたのだ。

 では、自分は胸中に隠したのか。

 それについて自分は彼から学んだことがある。


 ――隠していてもいつかはバレる。


 そう、いつかはバレる、

 だからこそ、

 まぁ良い、

 本当に父親と言うのは…


 そこで自分の想いを切るように、先生は本を閉じた。

 閉じて瞼を瞑り、やがていつか会うかもしれない四天王寺ロダンの大きなマッチ棒姿を脳裏に思い描くと誰も居ない書斎で静かに微笑を浮かべた。





(了)









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