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神聖な

「なんだ、あのガキは……。おい、お前ら人質を殺せ!」


 牛鬼は部下の中鬼に命令を下す。

 だが、少女達を捕まえていた中鬼達が既に全て祓われており、そこに何も残っていなかった。


「少女達は私達が救出しました! 佐渡さん、ご安心を!」


 未希が少女を担ぎながら佐渡さんに伝える。

 佐渡さんは大きく目を見開いた後、口を開く


「ありがとうございます。ですが、お二人後で話があります」


 うーん、これは怒ってるな……。


「俺達は約束通り、一度駅に帰りました。駅に行って戻って来たのです!」


「それは屁理屈というものですよ」


 佐渡さんが呆れたような顔をする。


「何余裕ぶっこいて話してんだ、呉斗ォ! あのガキはなんだ?」


 牛鬼は叫ぶ。


「ただの索敵担当の四級陰陽師ですよ」


「四級陰陽師……? 大嘘こきやがって!」


「そんなことはどうでもいいでしょう。夜叉丸、鹿鳴、冥狼、来なさい。六年前の失敗を拭うために」


 その言葉と同時に、三体の式神が顕現する。

 牛鬼は周囲を見渡すも、既に周囲の部下は全て祓われていることに気付く。

 牛鬼は歯を食いしばるも、すぐに襲い掛かることはしなかった。

 思ったより冷静だな……。


 陰陽師の弱点は基本的に本人である。佐渡さんの使役する式神はある程度位も高く、一度やられるとしばらくは再顕現はできないだろう。

 とはいえ、一匹一匹式神を倒していてはきりもない。

 牛鬼は木々の上に潜む地の理生かすように、上から糸を式神達に向かって吐き始める。

 式神達は巧に躱すも、すこしずつ周囲が糸で埋まっていく。


 夜叉丸は疾走すると、牛鬼が乗っている大木を一閃する。

 その一撃は見事大木を切り裂き、大木に大きな切り込みが入る。

 そこをめがけて、鹿鳴が突進を叩きこむ。

 凄まじい衝撃音と共に、大木が大きく傾いた。


 乗り場のバランスが崩れた牛鬼はそのまま佐渡さんに襲い掛かった。

 だが、牛鬼の爪は、大狼である冥狼の爪に阻まれる。

 妖気が爆ぜる音が響く。だが、一撃の重みが同じでも牛鬼の方が一枚上手だった。

 口から糸を吐き、冥狼の前脚に括りつけると、そのまま引っ張り上げる。

 バランスを崩した冥狼に牛鬼が突進をかける。


「一対一ではありませんよ。火行・十束炎剣(とつかのえんけん)!」


 冥狼に襲い掛かる牛鬼に合わせるように炎剣を叩きこむ。

 牛鬼の左角がその剣に砕かれた。


「呉斗ォ! お前だけは許せねえんだよお!」


 牛鬼は角が砕かれたのをものともせずそのまま右前脚の爪で佐渡さんを切り裂いた。

 左腹部に爪が突き刺さる。


「ぐう……それはこちらの台詞だ! 父の仇は討たせてもらう! 鹿鳴!」


 その言葉と同時に、鹿鳴の突進が牛鬼の右腹部に叩き込まれた。

 まるで車にはねられたかとように牛鬼が吹き飛んだ。

 だが、牛鬼はすぐに体勢を立て直し、再び佐渡さんを見据える。

 あの牛鬼はかなりタフなのか、中々長丁場になりそうである。

 その後も激しい一進一退の攻防が続く。


「ねえ、手伝わないの?」


 未希が尋ねてきた。


「これは……手伝っては駄目な戦いでしょう。勿論、佐渡さんが望めば手を貸しますけど、きっとそれは望んでいない」


 これは佐渡さんのけじめのための、仇のための戦いなのだ。それは誰にも邪魔してはならない神聖なものだ。

 だが、もしもの時があればその時は……。

 俺は戦いの様子を見つめていた。

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