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今でも痛む

 それから呉斗は森の奥深くまで入っていく。

 だが、牛鬼の場所はすぐに分かった。既に宝華院家の者達と戦闘中のようだ。

 遠くでも分かるくらいの轟音が響き渡る。


 宝華院家は二級が一人。三級が四人の五人チームだった。

 だが、呉斗は牛鬼には勝てないだろうと予想していた。

 辿り着いた呉斗はすぐにその予想が正しかったことを悟った。

 呉斗の目の前に居たのは牛鬼。


 六年前とは違い、人型の姿を取っているが、あの禍々しい妖気は六年前の仇敵、牛鬼であることを呉斗に確信させる。

 先に戦闘していたであろう宝華院家のチームは三人が既に死亡しており、二人も血塗れで倒れていた。

 牛鬼は呉斗を見て、どう猛な笑みを見せる。


「ようやく来たか、呉斗ォ……! 俺を覚えているか? 色々下っ端を連れてきていたようだが、最後は一人のようだな」


「貴方のことなど、おぼえてないと言いたいところですが……覚えていますよ。昔の失敗のけじめをつけに来たのです」


牛鬼はそう言うと、左足で一人の陰陽師を踏みつける。


「ギャアアアア! た、助けてくれえええ!」


「お前達も、知っての通り俺は依頼を受けていない。このままでは横取りになってしまう訳だが……」


 呉斗はちらりと大樹を見る。傷だらけで倒れている大樹は悔しそうに歯を食いしばる。


「救援を……頼む」


「承知しました。チームリーダー宝華院大樹の救援依頼を受け付け、これより援護します」


 呉斗はネクタイを締めると、護符を取り出す。


「お前の探し物はこれだろう?」


 牛鬼は左手で雪乃の頭を掴み持ち上げる。

 雪乃は呉斗が来た瞬間、辛そうな顔で叫ぶ。


「何しにきたのよ! あんたの助けなんていらない! 早く帰れ、って言ったでしょ!」


 だが、その言葉を聞いた呉斗は全く微動だにせず答える。


「私が何年雪乃と居たと思う? 雪乃が言っていることが、本気かどうかくらい分かります」


 呉斗はまっすぐに雪乃を見据えていた。


「呉斗……」


 雪乃の目から涙が零れる。


「逃げて……お願い……こいつは化け物よ……」


 雪乃は呉斗から目を背ける。


「必ず助けます。安心してください」


 それを聞いて牛鬼が邪悪な笑みを浮かべる。


「おうおう、泣かせるねえ。お前を助けるために必死になっていたこの女のせいで、お前は俺に殺されるんだ」


「黙れ!」


 怒気に溢れた静かな一言だった。


「俺はその顔が見たかったのよ! お前に抉られた左頬が、左目が、今でも痛むんだよおおおお!」


 牛鬼は叫ぶと、人間形態を解く。そこには六年前より大きな妖怪牛鬼が姿を見せる。

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