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死闘

 牛鬼の前足は、一撃で呉斗の父の首をへし折った。

 首が折れ、ぴくりとも動かない父を見て、呉斗の声が震える。


「父……さん?」


「俺が少し撫でれば死ぬような雑魚が、俺に逆らうんじゃねえよ。お前も、村人も全員殺してやるよ!」


 「貴様あああああああああ!」


 呉斗は絶叫した。父のことは勿論、許せなかった。必ずやその悪行の報いは受けるべきだと考えていた。

 だが、今までずっと尊敬していた父が、目の前で殺された。

 その事実に呉斗はただ、牛鬼を殺すべき標的と見定める。


「夜叉丸、鹿鳴、冥狼(めろう)、出てこい! こいつを殺す!」


 呉斗は、武者と、鹿、狼を同時に顕現させる。

 牛鬼の実力は二級相当。三級陰陽師では通常勝負にならなかっただろう。

 呉斗には才能があった。その才能は極限の状態で開花する。一時間を超える死闘の末、最後に立っていたのは呉斗だった。

 血塗れで、満身創痍と言える状態だった。


「彼女だけでも……助けなければ」


 呉斗はふらふらと、雪乃の妹の元へ向かう。

 そんな時、洞に現れる姿があった。


「おーい、源次。いつまで牛鬼様と会っとるんだ」


 顔を出したのは、理伝村の町会長を務める山下である。

 山下はその場にあった惨状に言葉を失う。


「牛鬼様と、源次がし、死んでる! お前、実の父を……⁉」


「誰が、実の父を殺すんですか! 貴方も知っていたのですね?」


 呉斗が問い詰めると、山下は叫ぶ。


「何を言っておる。儂は知らん……!」


 山下は怯えながら、踵を返すとそのまま逃げだした。

 呉斗は全身がぼろぼろだったこともあり、ただ逃げる山下を見送った。

 呉斗は雪乃の妹を担ぐと、そのまま山を下る。

 だが、そこで牛鬼を倒した英雄を待ち受けるのはあんまりな仕打ちだった。


「呉斗が……呉斗が源次を! 次期当主の座を狙った犯行じゃあああ!」


 山下は自らが妖怪と関わっていたことを暴露されることの恐怖から呉斗に罪を擦り付けた。


「あのくそ爺……!」


 呉斗は、怒る気力もなく、最後の力を振り絞り、妹を家に届けた後そのまま倒れ込んだ。

 目覚めた瞬間、呉斗は知らない天井を見て、自分が生きていることを知った。

 真っ白な病室、村ではなく大きな病院に搬送されたことに気付く。

 起きたことに気付いた看護師が、どこかに消えて三十分後再び尋ねてきたのは親ではなく警察だった。


「京都府警の近藤です。佐渡呉斗さん、病み上がりのところ申し訳ございませんがお話うかがえますか?」


「……はい」


 呉斗は、山下の嘘のせいで警察が来たことをすぐに気付いた。

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