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嘘つき

「邪魔をするな、夜月。こいつは俺の家族を……一族を殺したんだ!」


「落ち着け。何かの間違いだ。兄さんはそんなことしない!」


 夜月は必死で訴える。お前は何も知らないだけだ。

 俺の殺気を受けても、晴明は口元に笑みを浮かべている。


「ふふ、彼は何か勘違いをしているようだね。一族だなんだ言っているが、彼の父も母も生きているじゃないか。夜月も知っているだろう?」


 こいつ……!


「晴明……! お前が、お前がそれを言うのか! 俺に! 俺の妹も、父も母も全て殺したお前が! どけ、夜月!」


「どかない。私は道弥が嘘をつくような人間じゃないことを知っている。だけど、兄さんも信じているんだ。どういうことなんだ、教えてくれよ。道弥……」


 夜月は辛そうに顔を歪ませる。


「あいつは俺の一族を殺した。本当だ。それ以上は言えん。あいつは、人を人とも思わない人殺しの屑野郎だ」


「何も教えてくれないんだな」


 夜月はそう言うと、こちらに近づいて、そして俺に平手打ちを叩きこんだ。


「嘘つき。祐善さんも、由香さんも生きてるじゃないか!」


 夜月はそう言うと、そのまま公園を去っていった。


「ばいばい、道弥君」


 と晴明は薄笑いを浮かべてその後をついていった。

 あいつ、俺がここに居ることを知ってて来やがったな。

 俺は夜月に叩かれた右頬を抑えながら考える。


「道弥様、大丈夫ですか? だから殺せばよかったのです! あのアマ……よりにもよって道弥様を嘘つき呼ばわりなど。万死に値します!」


 宙から莉世が顕現する。その後を追うように宙から真も顕現した。


「いいんだ。これで夜月とも離れられる。嘘つきだと、思われた方がいいのさ。これからきっと、顔向けもできない状況になる。兄を殺すんだからな」


 俺はそのまま何するでもなく自宅へ戻る。

 すると、父が玄関前に立っている。


「道弥、八百さんというから電話来ているぞ」


 試験でお世話になった八百さんからの連絡だった。


「もしもし、芦屋です。八百さん、お久しぶりです」


「芦屋君、久しぶりだね。突然の連絡すまない。今、時間大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です。仕事も来なくて暇なので」


「ネットの誹謗中傷のせいか。すぐに収まるだろう。宝華院家も四条家の不祥事が公になって、その対応で忙しいだろうからね。だが、暇ならちょうどいい。君に仕事……いや頼みの方が正しいかもしれないが、お願いしたくて電話したんだ」


「仕事?」


 どっちなんだ?


「君は京都少女失踪事件を知っているかい?」


「テレビで話題になっているものですよね。知ってますよ」


「実は私の友人が、その事件の討伐依頼を村から受注したらしくてね。その依頼に参加してほしいんだ。勿論四級陰陽師としての参加だから、おそらく索敵のみだろうけどね」


「なるほど。ですがなぜ私に?」


 索敵のみならば、俺でなくてもよいはずだ。


「実はこの依頼は二級陰陽師以上に出された依頼だった。それを受けた私の友人はここ六年実は陰陽師を引退していたんだ。だが、今回、この依頼を受けるために陰陽師を復帰したんだよ。元二級陰陽師とはいえブランクも長い。少し心配でね。君がいてくれたら安心だと思ったんだ」


 友人が心配だから俺にも参加してほしいと。


「なるほど。ですが、給料分の支払いしかしないですよ?」


「勿論それで構わない。強い男だからな。では、君も参加ということでいいかい?」


「八百さんには色々世話になりましたから、私で良ければ参加させて頂きます」


「ありがとう。明日には顔合わせがあるだろうから、君の連絡先を先方に送っておくよ。この礼はいつか必ず」


 八百さんはそう言って電話を切った。その夜、営業メールのような丁寧なメールが仕事用アドレスに届いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「なるほど。ですが、給料分の支払いしかしないですよ?」 →「・・・給料分の働きしかしない・・・」では?
[気になる点] 夜月がこれからどんな役回りになるのかが気になるところ [一言] 夜月との関係が大きく動くことになりそう 夜月が真実を知るときがくるのだろうか そんなことより雑魚…
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