再会
俺はこの間会った男の死亡報道をテレビで見ていた。
「あいつ、死んだのか。忠告してやったのに、馬鹿な奴だ」
朝食を食べながら呟く。
あんな依頼を受けた四級陰陽師は一体何を考えているのだろうか。よっぽど仕事がなかったのか。
適当に周囲をさ迷って誤魔化すつもりだったのか。
そんなことより自分のことだ。
と思っていたら玄関の扉が開く音がする。また勧誘だろうか?
最近ようやく減って来たが、未だに毎日来るからな。
仕方なく玄関へ向かうと、そこには夜月が立っていた。
「落ち込んでないか、心配で来たんだ……」
どこか気まずそうに、夜月は顔を背けながら言った。
「そうか……」
俺も何と言っていいか分からず、ぶっきらぼうに返す。
もう関わらない方がいいことを考えると、この対応で正解なのかもしれない。
気まずい時間が流れる。
「とりあえず、外出るか」
俺達はとりあえず昔よく一緒に行っていた公園に移動する。
昔二人で乗っていたブランコは今では小さく、足が地面に簡単についた。
「凹んでるんじゃいか、と思っていたが全然だな」
「ああ。ずっと会いたかった奴に会えたんだ。もう二度と会うことはないと思っていた。この沸々と溢れ出す感情の矛先は今まで曖昧で……けど今は違う」
「まるで最愛の恋人に会えたような言い方だが……その顔を見れば違うことは分かる。道弥、一体なにを考えているんだ?」
「最愛? 愛も、憎悪も似たようなものだという意味では同じかもしれないな。強い感情というものは、いつでも人を狂わせる」
「何を言っている? いったい何をするつもりなんだ?」
「夜月、何も聞くな。お前はこれ以上俺に関わるべきではない」
俺は言葉を聞いた夜月の顔が、歪む。今にも泣きそうだ。
「なぜ、そんなことを言う? 私は弟子なんだろう?」
「弟子さ。だが、もう一人立ちの時だ」
「私が……安倍家だからか?」
夜月が悲しそうに言う。
「夜月、迎えに来たよ」
そんな時、夜月に声をかける者が前方から現れた。その声を聞いた瞬間、心がざわついた。
「晴明、なぜお前がここに居る!」
俺は思わず叫ぶ。
「なぜって……妹を迎えに来ただけさ」
と笑顔で飄々と答える。だが、問題はその答えだ。
「い、妹だと……?」
俺は思わず夜月の顔を見る。
「え? どうしたんだ? 二人とも知り合いだったのか?」
夜月は俺の雰囲気を察したのか、気まずそうに俺達を見る。
「よくも俺の前に顔を出せたな……! 殺してやる……!」
俺は護符を取り出すと、呪を唱える。
「何をするつもりだ! やめろ、道弥!」
俺の本気の殺気を感じ取ったのか、夜月が俺達の間に入って来た。
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