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よくも

 俺は晴明の姿を見た瞬間、理解した。

 こいつも転生していたのだと。

 俺と変わらぬ陰陽術をもつ晴明があっさりと寿命で死ぬ訳もない。

 俺と同じように現代に居たのだ。


「お前……よく俺の前に顔を出せたな。俺は覚えているぞ、我が一族にした悪逆非道な行いの数々。今でも昨日のことのように思い出せる! 莉世、真!」


 俺は二人を召喚する。


「晴明……生きておったか!」


「よくも私達の前に顔を出せましたね。今日こそは首を飛ばしてあげます」


 莉世と真を見ても、晴明は全く驚く様子もない。


「大口真神と九尾狐か。千年前にも見た式神だね。じゃあこちらも同窓会といこうか」


 晴明はそう言うと、白虎を召喚する。

 白虎。

 伝説の神獣である四神の一匹であり、千年前に晴明の名を大いに知らしめた十二神将の一匹である。

 晴明は神の如き十二匹の式神を使役し、最強の名を得たのである。


「真神か……まだ死んでいなかったのか」


 白虎は真神を睨む。


「こちらの台詞だ。たかが虎が狼に敵うと思うか?」


「試してみるか?」


 真と白虎がお互いに唸りながら睨みあっている。

 殺してやる!

 俺は護符を取り出す。

 だが、そんな俺に後ろから抱き着く者が居た。

 俺を監視していた試験官だ。


「何をしている! 晴海様に手を出したら、君は失格だぞ!」


「そんなことはどうでもいい! こいつだけは殺さなければならんのだ!」


「君の合格を、家族が待っているんじゃないのか! 一級陰陽師に歯向かったら本当に芦屋家は終わりだぞ。芦屋家を復興させるんじゃないのか、君は!」


 試験官の言葉を聞き、俺は動きを止める。

 そこで父の顔が思い浮かぶ。


(お前なら必ず合格できるよ。自慢の息子だ。どうか、芦屋家の無念を晴らしてくれ)


 そう辛そうな顔で言った父の顔だ。

 ここでこいつを殺しても芦屋家は復興なんてしない。それどころか永久追放だろう。

 俺は歯を食いしばり、晴明を見据える。


「来ないのかい?」


 晴明は笑う。


「すみません。彼は混乱しているようです。どうかお許しを。彼は将来、きっと陰陽師界を背負う男です」


 そう言って、試験官の男は頭を下げた。


「ふうん、つまらないな。まあいいや。今回だけは不問にしてあげる。うちの者もお世話になったようだからね」


 そう言って、晴明は白虎を帰還させ、こちらに近づいてきた。

 警戒する俺の耳元で囁く。


「まだ力は殆ど戻っていないようだね。全盛期とは程遠い。そのレベルじゃあ、僕は倒せない」


「黙れ……! 覚えていろ、晴明! 必ず、必ず復讐してやるからな」


「楽しみにしているよ、道弥君」


 晴明は笑いながら去っていった。




 晴明が去っていった後、俺は落ち着くように息を整える。

 そこで感じたのは現在の奴との力の差だ。

 俺は今世で増えた分を合わせても全盛期の五割ほどしかない。

 だが奴は全盛期以上の力を持っていた。

 おそらく霊力だと今の俺の倍以上あるだろう。


 俺のかつての全盛期でも、今の奴には勝てない。

 鍛錬が足りない。俺は現在、日々霊力が増えている。

 さらなる鍛錬を積み、必ずあの男に地獄を見せてやる。


「おい、大丈夫か? 随分混乱していたようだが」


 試験官からの声で俺は我に返る。


「……先ほどはありがとうございました」


「何をしているんだ。いくら君が強いと言えど、彼は一級。しかも既に一級の中でもトップクラスと言われている晴海様だ。厳しいだろう」


「あいつは……俺の。いや、おっしゃる通りです。すみません、我を失いました」


「先ほどの話は聞かなかったことにしておくよ。私の理解を超えているからな。だが、今暴れるのは得策ではない。芦屋家を復興するのだろう?」


「はい。必ず」


「君ならできるさ。私の名前は八百(やお)(すばる)。三級陰陽師で、都内で八百陰陽師事務所を経営している。何か困ったことがあったらいつでもくるといい」


「ありがとうございます。だが、なぜそこまでしてくださるのですか?」


「そうだな。恥ずかしいが、君のファンになってしまったのだ。信じるかい?」


 八百さんははにかむように笑った。


「……信じます。八百さん、またよろしくお願いします」


 俺は八百さんに頭を下げて、その場を去った。

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― 新着の感想 ―
つまんない
[一言] ざぁこですね また騙されて無様に家族が死ぬとこまで予測してます! 更新頑張ってください!!
[一言] 真の主人公様がやっと登場\( ´・ω・`)┐しゅたっ 道弥はなんだかんだで晴明と安倍家と和解して復讐果たせずにまた裏切られて殺される。もしくは、晴明と安倍家に復讐をした後に夜月の復讐相手に…
感想一覧
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