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喜んでいる?

 ゆずは道弥達から五十メートル以上離れた場所で、ある男を待っていた。


(ばれてないよね? けど、莉世さんなら……いや、考えちゃダメ!)


 ゆずは頭を振る。


「よく来た。ばれてねえだろうな?」


 顔を出したのは陸。


「はい。道弥君は基本的に自由にさせてくれますから」


 そう言いつつも、ゆずはどこかでばれているのではないか、という疑惑が頭から離れなかった。

 陸はゆずが持っている白勾玉を見て笑う。


「それが百点の白か。まあ、それは明日貰う。手筈は分かってるな。明日の昼、指定する位置にあの馬鹿を誘導しろ。結界を張った場所に誘導して、集団で袋にしてやる」


「……はい」


「お前の母さんもきっと喜んでるぜ? 宝華院家として長くやっていきたかったら、俺には逆らわねえ方がいい。心配するな。お前が合格できるくらいには勾玉も渡してやる」


「ありがとう……ございます」


 俯くゆずの肩を軽く叩くと、陸は去っていった。




 ゆずはふらふらとした足取りで戻って来た。


「あれ、桃慈さんは?」


「あいつはもう寝たよ。顔色悪そうだな」


 俺はゆずに声をかける。


「ううん、森の中の生活に慣れないだけだと思います。心配してくれてありがとうございます」


 ゆずはそう言って頭を下げた。


「そうか。何に悩んでいるかは知らないが、後悔はしないように」


「な、悩んでなんていませんよ!」


「ならいい」


 俺の言葉を最後に沈黙が走る。


「道弥君はどうして陰陽師になろうと思ったんですか?」


 沈黙に耐え切れなかったゆずが口を開く。


「ゆずも陰陽師の端くれなら知っているだろう? 芦屋家の悪名を」


「少しは聞いています」


「それを拭うためだ。再び最強と言われていた頃の芦屋家を取り戻すため、俺は陰陽師になる。それに、俺が立派な陰陽師になることを家族も楽しみにしているからな。ゆずは?」


「私は……お金のためかな? お母さんが病気で、治療費が必要なんです。陰陽師なら高校生でも稼げますから。夢も希望もない理由ですよね」


「大事な人のために頑張る。これ以上大事な理由なんてないと思うが?」


 俺はゆずがなぜ卑下するのか理解できなかった。


「そういわれると少しは救われます。なんとしてもお金を……」


「たった一つの油断で大切な者が全て失うこともある。だから……せいぜい後悔しない選択をするといい」


「分かりました。なんか人生相談みたいになっちゃいましたね。忘れて下さい。ではおやすみなさい」


 ゆずはそう言ってにっこりと笑った後に、床に就いた。


「ああ。おやすみ」

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