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陰陽師TV

 俺が赤ん坊での霊力増強のための特訓を行って早五年が経過した。

 生前の霊力が全盛期の一割ほど回復し、今世での霊力が一割、合計で全盛期の二割に回復した。


「二割あれば、十分戦えるな」


 俺は日課となっている霊力消費を終えた後、そう呟いた。既に殆どの陰陽師より高いだろう。


「道弥、今日の陰陽師TVが始まりましたよ! おいで!」


 ハイテンションな母の声を聞き、俺は居間へ向かう。

 テレビには陰陽師について質問する若いアイドルの女の子が映っている。


「正直、陰陽師の階級ってどうなってるかよく分かりません~」


 アイドルの言葉に反応して、陰陽師ルックである狩衣を羽織った若い男が答える。


「陰陽師の階級は一級から五級まで五階級あります。最も高いのが一級で、それは現在日本には七人しかいないんですよ。二級も七十人ほどしか居ません。三級になると九百人くらいまで増えるんですが、それでも陰陽師全体の十パーセントくらいです。上位十パーセントの一級から三級までが上級陰陽師と呼ばれていて、強い妖怪はだいたい三級以上が倒しているんです」


 若い男はにっこりと笑って説明する。


「なるほどー。町とかでたまに見る妖怪は六級妖怪って聞きましたけど、六級陰陽師は居ないんですねえ」


「良い質問ですね。昔は六級妖怪を退治する六級陰陽師もいたんですが、廃止されたんです。六級なら、普通の方でも倒せる妖怪もいますし、陰陽師の平均レベル向上のために一般の方では絶対に倒せない五級妖怪以上を単独で倒せるような陰陽師のみ、陰陽師免許をもらえるようになったんです」


「へえー。知りませんでした!」


 テレビではアイドルと若い陰陽師が、陰陽師や妖怪について話している。

 五年生きてきて驚いたのが、妖怪の日常化である。平安より妖怪の数が増えた結果、陰陽師も人前に出ることが増えたようだ。

 昔は名乗った者勝ちだったが、今は免許制になっているらしい。


「お父さんは四級陰陽師だけど、やっぱり三級には中々上がれないとよく言ってるわねえ。やはり三級は少ないのね」


 母はちゃぶ台の上に置いてあった煎餅をかじりながら、呟く。


「まあ、頑張ってるから」


 俺も煎餅を食べながら返す。


「道弥も家で陰陽術の練習ばかりしてないで、お友達と遊んでもいいのよ? 毎日陰陽術ばかりで心配だわ」


 母が心配そうに言う。

 母が言うことも最もで、俺は幼稚園というところに通っているが、友達と言えるものは居なかった。

 そもそも中身は大人なのに、子供達と仲良くするのも難しいし、なにより過去の経験から人を信じられなかった。


 今俺が心を許せるのは両親だけだ。

 特に大人は裏切るのでは、と思ってしまう。


「楽しいんだ。だから大丈夫だよ」


 最近は穏やかな日々だった。父に嫌がらせをしていた鉄平は三年前に関西に出向したらしく、父の顔色も良い。

 だが、我が家には最近あまり仕事がなかった。

 芦屋悠善陰陽師事務所と家の前に看板を立てかけてはいるものの、仕事が来ない。芦屋家の悪名はすっかり全国的なものらしく、殆ど依頼がない状態だった。

 陰陽師免許を発行している陰陽師協会からもらえる仕事でなんとか生活している。


「仕事は皆、安倍家に取られるし。陰陽師ですらブランド力が必要なのね」


 うちに全ての罪を擦り付けた安倍家は分家を合わせると、千人を超える。どこの都道府県にも安倍家の陰陽師事務所があるほどだ。

 一方芦屋家で今陰陽師をやっているのはうちのみ。

 圧倒的な知名度の差だった。


「帰ったぞ、由香」


 後ろから父の声が響く。どうやら協会から戻って来たようだ。

 父は依頼がない日は、協会に護符を納品している。それでお金を稼いでいるのだ。


「おかえりなさい。少し早いですけど、ご飯でも食べますか?」


「いや、まだいいよ。それより道弥、今日も陰陽師の訓練をしようか」


「はい!」


 俺は元気よく返事する。もう陰陽師の訓練を行って二年が経過しようとしていた。

お読みいただき、ありがとうございました!


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