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チーム戦

 だが、これは確かに成績上位者からすると足かせにしかならない。

 俺の勾玉は百点の白い勾玉。誰もがその勾玉を欲しがるだろう。

 だが、それを持つのはリーゼントかこの女。

 つまり俺はどちらかを守りながら活動をしないといけない。

 もし下位者が負けて勾玉を奪われリタイアした場合、百五点もマイナスを受けるに等しい。


「フフフ。お前達も試験のルールを理解したようだな。そう、これはサバイバルだ。陰陽師は他の陰陽師と連携を取ることも多い。互いに協力して頑張ると言い。例えば、そこの男の白い勾玉を奪い取るとかな」


 デブはそう言って、俺の持つ白い勾玉を指さす。

 皆の目線が一気にこちらへ向かう。


「弱い奴が所持しているんだ。別に一位と戦わなくても奪える……」


 皆が獲物を狙う目でこちらを見つめている。


『中々面白い試験ですなあ。足かせをつけられるとは……』


 真が呟いていると、一人の受験生が手を上げる。


「もしチーム内の成績下位者がリタイアした場合、勾玉を持つ権利は誰かに移るのか?」


「その場合、成績が二番目の者に勾玉の所持権が移る。そいつもリタイアした場合は、成績上位者が所持権が移る。また命の危険を感じた場合、迷わずに棄権しろ。まだ死にたくはないだろう」


「了解した」


 なるほど。


「では、十分後には各自移動する。呪具や護符の持ち込みは勿論禁止だ。皆にはサバイバル用のリュックを配布する。それまでは各自チームの者と交流しておけ」


 


 デブの説明が終わり、チームの二人に目を向ける。

 面倒くさそうにこちらに目を向けるリーゼントに、おどおどとしている女の子。

 交流ねえ。興味はないし自己紹介しとけば十分だろう。


「自己紹介でもしようか」


「おい。お前何勝手に仕切ってんだ。お前は順位では一位かもしれねえが、リーダーと決まった訳じゃねえだろう?」


 リーゼントがこちらを睨む。


「その通りだ。別にリーダーをするつもりはない」


 頼まれてもやんねえよ。


「俺はお前等なんかに従わねえ。俺は荒川桃慈(あらかわとうじ)。嫌いな奴は汚ねえ奴。命令なんてした日には、お前を殺す!」


 リーゼントは、その見た目に恥じない好戦的な一面を見せる。


「俺は道弥と言う。嫌いな奴は裏切り者。お前如きに殺れるかな?」


 その言葉を聞き、女の子がおどおどと口を開く。


「喧嘩は止めて下さいよぉ。私はゆずです。十七です……」


 この子に勾玉を預けるのか……心配しかない。

 後、この二人よく二次試験通ったな。

 そう考えていると、向こうから宝華院の弟、陸がやってきた。初対面の時とは違い、にこやかに笑っている。


「おお、ゆずじゃん! 今年は二次試験通ったんだな。久しぶりだし、少しだけ話そうぜ」


「えっ? でも……」


「少しだけだって」


 そう言って、陸はゆずの肩を掴み連れて行った。

 話自体は数分で終わり、すぐにゆずは戻って来た。


「知り合いか?」


「私……宝華院の分家なんです。陸さんは本家ですので、たまにお会いします」


 御三家ほどになると、同じ家でも何人も受けるのか。それもそうか。


「それでは皆さん、各自バスに乗って下さい。皆さんを開始位置にご案内します」


 俺達はその後カーテンで覆われたバスに乗せられた。

 チームごとに定期的にバスを降ろされる。どうやらいきなりの戦いを防ぐために、ばらけて降ろされるようだ。

 俺達のチームも、同様に森の中に降ろされた。




 道弥達がバスに乗り、初期位置に連れていかれている時、宝華院兄弟の乗っていたバスには四条家当主である四条隆二も乗車していた。

 隆二は二人を降ろす直前、耳打ちする。


「北には決して近づくな。化け物を放った」


「……分かりました」


 真剣な顔で答える兄、渚。


「ありがとよ、叔父さん」


 一方、面白い情報を得たと、弟の陸は笑った。

 明らかな不正行為。だが、それを咎められる者はそこには居なかった。こうして最終試験は始まる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「皆にはサバイバル用のリュックを配布する」 サバイバルに必要なものが収納されているリュックと言うことかな?
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