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無理解

 和風造りの庭園のある古風な屋敷。

 その中の一室で電話を受けた男は、切電した後部下達を呼ぶ。


「連絡が入った。芦屋家に然るべき処置をとるようにと」


「はっ。既に仕込みは完了しております。すぐにでも動けます」


 男の一言に部下の一人が素早く返事をする。

 男の名は石久独郎(いしひさどくろう)。石久家当主である。


 独郎は黒髪を七三分けにした真面目そうな顔をしており、まるで枝のように細い体をしていた。

 狩衣よりもスーツが似合いそうな見た目であるが、その体から溢れる霊力がその男が陰陽師であることを示していた。


「偉大なる安倍家に逆らうとは……! 安倍家の寛大なお気持ちで生き残った弱小一族が……石久家が動いて直ちに社会的に抹殺してやる」


「独郎様であれば、あの生意気なガキを直接殺すことも可能なのでは?」


 部下の男が尋ねる。


「うぬぼれるな。我等は所詮安倍家の影にすぎぬ。あの父親程度ならともかく、あのガキは私では勝てぬだろう」


「それほどですか?」


「ああ。お前達、絶対あのガキに手を出すなよ。信明様や晴海様クラスが必要だ。だが、お手を煩わせる必要はない」


「承知しました」


「現代は相手を殺すのに武力など要らん。裏から殺す。信明様……私が必ずや安倍家に仇なす者全てを滅ぼしてごらんに入れまする。信明様の凄さをお前達にも分かりやすく説明してやる」


 独郎の口調が熱を帯び始めたのを感じた部下の顔が歪む。


「私が信明様に初めて会ったのはまだ十二歳の時であった。その時既に一級陰陽師として活躍されていた信明様は、将来の影である私に多くは話すことはなかった。だが、信明様はそんな私を褒めて下さったのだ! 良い霊気だ。将来が楽しみだと。あの喜びは今でも思う出せる……! 信明様は当時から強く、東北で暴れていた一級妖怪を一撃で……」


「また始まった。長くなるぞ……」


「それでは独郎様、我々は仕事に戻ります」


 部下達は逃げるように部屋を出て行った。


「おい、これからがいい話なのに……安倍家が、信明様こそが日本一の陰陽師なのだ。この日本を千年に渡って妖怪から守って来たのは誰だと思っている? ああ……無理解! 無理解! 無理解! 無理解! 無理解ィィイイイイ!」


 独郎は一人で叫んだ。


 ◇◇◇


「あら、また新しい式神が増えたのねえ」


 母が仁骨を見て言う。


「道弥のお母さんかあ。おらは仁骨って言うんだ。よろしくお願いするよお」


 仁骨は母を見てにっこりと微笑みながら頭を下げた。


「あらあら。家族が増えたみたいで嬉しいわ。大きいのねえ。朝御飯の用意するから、仁骨さんも食べなさい」


「ありがとうだあ」


 小さい丸テーブルに俺、母、莉世、仁骨と並ぶ。少し狭い。


「父さんは仕事?」


「そうよー。久しぶりに大きめの依頼が入ったと言って喜んで仕事に行ったわ。合同で大物と戦うと言ってたわね」


「そっか。どこの家の人?」


「う~ん。長崎家、ってとこだったかしら。あまり覚えてないけど」


 長崎家か。知らないな。


「それより道弥。今日はちゃんと学校に行きなさいよ? 最近行ってないでしょ? お仕事が忙しいからと言って、学校に行かないのは良くないわ」


「今日は仕事もないから行くよ」


 俺は朝食を食べた後、久しぶりに学校に向かった。

 久しぶりに学校へ行くと、仁骨の件があったせいか再び多くの生徒からの視線を感じる。

 いつものことか。

 気にせずに授業を受ける。

 授業を終え、帰り支度をしていると、深刻な顔で都がこちらに走って来る。


「た、大変ですわ、道弥様! こちらを」


 都はそう言って、スマホの画面を見せる。


「どういうことだ……?」


 スマホの画面には、一つの記事が表示されていた。


『芦屋道弥の父・芦屋悠善逮捕!』



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