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待ち人

◇◇◇


「実はもう呼んであるんだ」


「呼んである? 一体誰を呼んだのですか?」


 俺の言葉に、真が首を傾げる。


「二人を任せるに足るであろう人をな。事務所に戻ろうか」


 事務所に戻る途中で、俺は待ち人に会った。


「あの人……ですか?」


 真の目線の先に居たのは、一人の老女。

 背中が大きく折れ曲がり、杖を持って歩いている。

 今にも倒れそうだ。


「ふむ……話に出ていた母方の祖母ですな」


 気付いた真が言う。


「そうだ。正直短時間の調査では、祖母の人となりはあまり分からなかったんだが……どうなんだろうな」


 昔は援助をしてくれていた人であるため、大丈夫だと思いたいが……確証はない。


「おいおい……千年ぶりに仁骨に会えると思って来たら、まさかガキの保護者探しをしてるなんてよお」


 そう言って現れたのは、呑んだくれの鬼・八雲である。

 その手には大きな瓢箪が握られている。


「俺が保護者探しを手伝ってやるよぉ」


 八雲は酒を一呷りすると瓢箪を放り投げ、婆さんの元へ向かう。

 大丈夫だろうか……。


「おい、ババア。あのガキ共の親族か?」


 巨体の上に、怪しい風体の八雲に声をかけられて一瞬驚いた顔を見せる婆さん。

 だが、すぐに八雲を睨みつけた。


「誰だい、あんた?」


「一足遅かったな。俺はあの男に金を貸していた借金取りよ。ガキ二人は借金のカタに貰った。海外なら良い値で売れるだろう」


「ふざけるんじゃないよ!」


 婆さんは杖を捨て、八雲に掴みかかった。


「ババア、こっちも遊びでやってんじゃねえんだ。借金返せねえなら、ガキでも家でも、男の命でも貰うんだよ。それとも借金あんたが払うか? 二千万だ」


「二、二千万……⁉」


 婆さんが驚きの声を上げる。

 八雲の奴、やりすぎだ……。俺は止めるべきか考え始める。


「おとなしく帰りな。これは交通費だ」


 そう言って、八雲は金を二十万程無理やり押し付ける。。

 婆さんはそれを掴んで、八雲に叩き返した。

 その目には……確かな強さが宿っていた。


「舐めるんじゃないよ、とっとと孫を返しな! 二千万でも三千万でも、必ず私が返してやるよ! あの子達は今、母も失って……一番辛い時なんだよ! 私だけでも居てあげなきゃ、駄目なのさ! こんな老い先短い婆に怖いもんなんてないよ! あの屑男はくれてやるから、早く二人を返しな!」


 そう堂々と啖呵を切った。


「ハハハ、根性あるじゃねえか、婆さん」


 八雲はにやりと笑った。

 これは……決まったな。

 俺はすぐにその場に現れ、頭を下げる。


「はじめまして。陰陽師をしております、芦屋道弥と申します。この度は突然のお呼び出しにも関わらずお越し頂きありがとうございます」


「あんたが、ルカ達を保護してくれた陰陽師かい?」


「はい。そしてこの男は私の式神です。大変無礼を働き申し訳ございません。この男は借金取りでもなんでもございません。勿論、お孫さんも無事でございます」


 そう言って、八雲にも頭を下げさせる。


「……そうかい。本職の人にしか見えなかったよ。最近の式神ってのはガラが悪いのもいるんだねえ」


「こいつが一際ガラが悪いだけです。失礼なことをしたお詫びは後程させて頂きます」


「別に構わないよ。こちらの者も世話になったんだしね。こんなことになるのなら、無理してでも別れさせて、実家に帰ってこさせれば良かったよ。綾香……」


 この人にとっては大事な娘さんであることを考えると、辛い立場だろう。

 だが、それでも孫のために彼女は気丈に振舞っているのだ。


「お孫さんは今、ラットランドで遊んでいます。そろそろ帰って来るはずなのですが……」


 話していると、ちょうど向こう側から仁骨達が戻って来た。


「「お婆ちゃん!」」


「ルカ! ナツキ!」


 二人がお婆ちゃんの元へ駆け寄って、そのまま抱き締め合った。

 二人の懐き具合を見るに、全く問題はなさそうだ。余計な心配だったか。


「どうしてここに?」


「あんた達に会いたくて来たのさ。遅れて……ごめんね」


「大丈夫だよ? 骨さんも居て、楽しかったんだ!」


「……そうかい。なら良かった。ルカ、もう大丈夫だよ。私達と暮らそうね」


「……うん!」


 祖母に会ったことで安心したのか、ルカの目には涙が溜まっていた。


「婆ちゃんと会えてよかったなあ。道弥が探してくれたんだろう? ありがとうなあ」


「たいしたことはしてないさ」


「そんなことねえよお。道弥のお陰で二人が無事に過ごせるようになったんだ。おらを……式神にしてくれねえかあ? 誰かに従うのなら、道弥がいいからよお」


 仁骨はそう言って笑った。

 千年前より、良い顔になったなと。


「ああ。分かったよ」


 こうして俺は、再び仁骨と契約を結ぶこととなった。


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