一夜明け
夜杉町奪還作戦が終わって早一週間。
あの作戦にはうちの学生も参加していたこともあり、学校もどこか静かに感じられた。
「桜庭先輩は好かれてらっしゃいましたからね」
都が言う。
「ああ……そうだな。良い人だったよ」
俺はそう呟く。
すると、俺の携帯が鳴る。
その電話主は岳賢だった。
「はい、芦屋です」
「道弥、岳賢だ。この間は夜杉町奪還助かった。人手不足でな」
「いえ、こちらこそ我が儘を聞いて頂きありがとうございました」
「夜杉町もそうだが、今回はアドルフの件で電話した。三級以上の等級と戦闘になった場合増額と伝えていただろう? その件でアドルフから報酬の支払いがある。直接礼を言いたいらしく、大阪まで来れないか? 今アドルフは入院中で動けんのだ」
アドルフについては忘れていた。
どうやら死んでなかったらしい。
ごねるかと思ったが、随分素直だな。
「分かりました。大阪に向かいます」
俺は仕事を理由に学校を早退して大阪へ向かった。
アドルフが入院している病院は綺麗な、要人用の病院だった。
奴の居る個室に入ると、全身包帯で包まれたアドルフが体を起こす。
「……道弥、この間は助かった。ありがとう」
アドルフは俺の顔を見るなり、英語でそう言った。
「仕事だから構わないよ、アドルフ」
「仕事でもなんでも命を救われたことに変わりはない。まさか子供が救われるとは。東洋の陰陽師は凄いのだな。認識を改めなければなるまい。道弥、君の名を覚えておこう」
アドルフは頭を下げた後にそう言った。
「俺もアドルフの名を覚えておこう」
「ああ。またヨーロッパに来ることがあれば言ってくれ。力を貸そう。それで、報酬額だが、二百万ユーロで良いか?」
日本円だと三億程か。しっかりと平均額以上を出してきたな。
「問題ない」
「であれば、すぐに振り込もう。入金した、また確認しておいてくれ」
アドルフは携帯を操作すると、すぐに入金したようだ。
「ありがとう。大丈夫だと思うが、体が良くなるまで無理はするなよ。じゃあな」
「ま、待ってくれ!」
部屋を出ようとする俺を、アドルフが止める。
「なんだ?」
「あいつは……プリシラはどうなったんだ?」
その言葉を聞き、一瞬だけ考える。
本当のことを言うべきか。
「……奴は俺の式神になった」
「そ、そうか……君の式神に……。変なことを聞いたな、忘れてくれ」
アドルフは何とも言えない表情を浮かべた後、そう言った。
ずっと追っていたプリシラについては思う所もあるのだろう。
俺は最後に手を挙げて、部屋を去った。
病院を出ると、玄関前に凄い人混みができていた。
来る前はこんな混んでたか?
人混みを見ると、人混みの中に一際存在感を示す男が居た。
「長船さん! 握手して~~~!」
「長船~~~! うちの店来い! 腹いっぱい食わしたる!」
「おっちゃん、今はあかんて。いつか行くから」
長船と呼ばれる男は、もみくちゃにされながらも人懐こい笑顔を浮かべていた。
陰陽師再開します!
第5章終わりまで書き終えてますので、最後まで投稿しますので、よろしくお願いいたします。





