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階級一つ違えば、世界が違う

「どこまで卑怯なんだ……!」


 悠善は悪態をつくも、すぐさま雷獣に目を向ける。

 その巨体はもう目前まで迫っていた。

 だが、その巨体に悠善の使役している中鬼が襲い掛かる。


 中鬼のこん棒に気付いた雷獣は咄嗟に回避する。

 そのまま雷獣は悠善と大きく距離を取った。


「やはりそう簡単にいかんか……。そこの人、早く逃げなさい!」


 悠善はさっきまで踏まれていた女性に声をかける。


「でも……」


「速く! それまでは時間を稼ぐ」


 女性は頷くと、そのまま走って逃亡する。


「成獣の雷獣は、三級……。勝てるとは思えないが……あの人が逃げ切るくらいは時間を稼がないとな。中鬼、少し無理をさせるぞ」


 悠善の言葉を聞き、中鬼は無言で頷く。

 雷獣は中鬼に向かって走り、そのまま大きな口を開ける。

 それに合わせるように、悠善は懐から護符を取り出す。


「臨兵闘者皆陣列前行。悪しきものから、我等を守り給え!急急如律令!」


 悠善の言葉と同時に、中鬼の目の前に透明な結界が張られる。その結界は雷獣の牙を確かに受け止めた。


「今だ!」


 その言葉に合わせ、中鬼が雷獣の頭部を狙って、渾身の一撃を振り下ろす。

 だが、その一撃は雷獣の爪に弾かれる。

 そして、雷獣の体から紫電が再び放たれた。

 鬼の口から血が溢れる。

 その紫電は結界を貫き、そのまま中鬼の体に大穴を開けた。

 そのまま中鬼は倒れこむと、光の粒子となって消えていった。


「……階級一つ変われば、世界が変わるとはいったものだ。やはり三級以上は化け物だな」


 苦々しそうに、悠善は呟いた。

 三級以上の妖怪を倒せる上級陰陽師はそう多くない。既に悠善は死を覚悟していた。






「タクシーの運転手さん、もう少し早く行けませんか⁉」


 俺は運転手に言う。


「坊主、ここは今危険なんだ。今からでも引き返した方が……」


 運転手は不安そうに運転をしていた。


「速く!」


 俺達は既に隣の区に入っていた。

 中々の妖怪が居るな……父では厳しいぞ。

 タクシーにさらに進ませること数分。妖気が夜月も感じられるほど高まって来た。


「ここで下ろして!」


「坊主、悪いことは言わねえ。戻った方が……なんだか寒気がするんだ」


 運転手が言う。


「危険だから、来たんだ」


 俺はそう言うと、すぐさま走り出す。


「これ、お金」


 夜月は一万円札を一枚置くと、すぐさま後を追った。




「危険だぞ?」


「大丈夫。道弥が居るから」


 ここで問答している暇はない。それに、傷つけさせるつもりもない。

 もう近くだ……。

 さっきまで霊力を感じた。おそらく父が戦っていたのだ。だが、おかしい。もう一人、あの屑もいるはずなのに、霊力を感じない。

 嫌な予感がした。だが、今は走るしかない。


 この先だ!

 俺は角を曲がる。


「父さん!」


 そこには血塗れで雷獣に踏まれる父の姿があった。 

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