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戦場山

「あれが……芦屋の怪物か。あの年齢でよくもあそこまでの結界を展開したものだ。一級式神でも破壊できるか……」


 試験官の業務を終えて、一息ついた野木が呟く。

 野木は様々な同僚から道弥の噂を聞いていた。

 二級陰陽師の実力がある。


 運が良いだけ。

 など、様々な評価があった。

 だが、実際に関わって感じたことは、自分では図ることすらできないほどの怪物、である。


「あれほどの者が出てきたことは、日本全体で見ればプラスであろうが……まだ割り切れんな。鍛え直すか」


 自分が上澄みであることは分かっている。

 そんな野木から見ても一級陰陽師という者は怪物の集まりだった。

 圧倒的上位の存在。

 最近すっかり現状に満足していた野木であったが、今一度鍛え直そうと考えていた。


 ◇◇◇


 一次試験が終わって数日。


「二次試験の場所は、戦場山(せんじょうざん)か」


 俺は陰陽師協会から届いたメールを見る。

 戦場山。

 東北地方のとある県にある第二級立入禁止地区である。

 そこの特異な所は、山を中心に周囲五十キロ程が全て立入禁止地区という圧倒的広さにある。


 戦場山付近は人類が妖怪に敗北し、追い出された場所とも言える。

 戦場山の他と違う所は、他より三級以上の妖怪が多い所にある。

 圧倒的危険区域。

 妖怪の根絶が不可能と判断された場所、それが戦場山であった。


「だからこそ、試験に丁度いいってことだな」


 試験で三級以上の妖怪が必要だが、そんな高位妖怪はそこらへんに居ない。

 そのため戦場山に行くのだ。

 俺は真に乗って、戦場山に向かった。

 集合場所には既に、五十人程の受験生が待機している。

 人数が少ない気がするな。

 しばらく待っていると、試験官達が現れる。


「これから受験生達には試験官二名と共に、戦場山に入ってもらう。荷物は全て預かった上で、こちらの支給する護符のみ使用を許可する。二次試験のルールはシンプル。三級妖怪の祓除だ。だが、他の受験生が戦っている妖怪を祓戦場山は二級以上の妖怪も生息している。二級妖怪に会ってしまった場合は、試験官と共に逃げてもらうことになるが……死人が出る年もある。くれぐれも気をつけてくれ。今、誓約書を配るため、各自記載するように」


 そう言って運営から渡されたのは誓約書。

 簡潔に言うと、試験中に死亡しても文句を言いません、と言ったものだ。

 それと共に、その他注意書きも配られる。


 試験日程は最大で五日。

 また試験官の人数にも限りがあるため、日程を分けてやっているらしい。

 俺の元にも試験官二人がやって来る。


「番号七十二番だな。今回は私達二人が試験官を担当させてもらう」


「よろしく! 二級以上来たら俺達も速攻で逃げっから、芦屋ちゃんも自分で逃げてね!」


 真面目そうな男と、若い男の二人組である。


「よろしくお願いいたします」


「では、早速行こう」


 二人に連れられて、俺は戦場山近くの立入禁止区域に足を踏み入れた。

 柵を超えるとそこは広大な森が広がっている。

 妖怪達の妖気に当てられたのか、木々も通常の木より大きく、太い。

 禁止区域に入って既に数時間。

 ようやく戦場山近くまでやって来た。


「ふう……全く見つからんな」


 真面目そうな男が呟く。


「全体的に妖気が濃いねえ~。だいたい、二級妖怪が出るような所で試験するなんておかしいっすよ」


「そうは言っても、二級以上は殆ど出ない。我慢しろ」


「芦屋ちゃ~ん、ここ、出ない時はまじで数日間探すことになるから覚悟しといてね!」


 と若い男が言う。

 一匹祓除すれば終わる話なのに、数日もこの山に籠るのはごめんだな。


『真、周囲の三級以上を洗い出せ』


『御意に』


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