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帰って来た男

 その頃、ある男が大阪から東京へ新幹線でやってきた。

 安倍鉄平。安倍家分家の二十代の男だ。三年間の出張を終えてようやく戻って来た。


「大阪も多かったが、東京も多いな」


 鉄平は人混みをよけることもなく、無理やり進んでいく。


「おい、どこ見てんだ!」


 鉄平にぶつかった男が叫ぶ。


「ああ?」


 鉄平は苛立った口調で男を威圧する。鉄平は身長も百八十近い大男。男は怯えて目をそらした後、足早に逃げ出した。


「ちっ、臆病者が。苛々するぜ……」


 鉄平はこの三年間で、三級陰陽師に上がる予定だった。

 一般的に陰陽師界隈には四級と三級に大きな壁があると言われている。三級陰陽師から上級陰陽師と言われるが、それは三級妖怪から強さが跳ね上がるからだ。


 それに応じて年収も地位も跳ね上がる。多くの陰陽師が四級以下で人生を終えることからも分かるだろう。上級陰陽師は全体の十数パーセント程度しか居なく、どこでもエースになれる存在だ。

 鉄平は上昇志向の強い男である。

 だが、この三年間で彼が三級に上がることはなかった。


 彼は自分の実力は三級に達していると考えていた。関西の者が自分の実力を正当に評価していないだけだと、信じて疑っていなかった。だが、現実は任務でも失敗続きで、昇格どころではない戦績だった。


「くそっ! 必ず、上がってやるからな……何をしてもな」


 鉄平は決意を新たに、東京へ戻って来た。




 鉄平が東京へ戻ってきた日、東京のとある区で四級陰陽師二名が殺された。

 四級妖怪討伐任務中の出来事だった。やられた陰陽師の腹部には大きな穴が開いており、穴は僅かに焦げていた。

 その情報が東京内のローカルニュースで流れている。


「へましやがって……。だが、陰陽師を殺した妖怪の討伐は上からの評価も高いだろう。三級妖怪ではないだろうし、俺の実力を示す丁度いい任務だな。これで一気に評価を上げてやる」


 そのニュースを見ていた鉄平はにやりと笑った。


「なら、早く動かねばならんな。あまりゆっくりしていると、上級陰陽師を出されるかもしれん」


 鉄平は大きな体をのそりと動かすと、準備を始める。

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