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言葉は呪いだ

 しばらく逃げ、先ほどの場所から離れた後、ようやく俺達は一息ついた。


「急に鬼火を放つとは……」


「あいつが悪い。道弥を馬鹿にするし……」


「気持ちは嬉しいが、そんなに気にしなくてもいい。いつものことだからな」


 俺の言葉を聞いた夜月は悲しそうな顔をする。


「駄目だ! こんなに凄くて頑張っている道弥があんなおっさんに馬鹿にされてよい訳がない! 言葉は呪いだ。道弥が気にしていなくても、少しずつ積み重なり道弥の心を傷つけるかもしれない。だから道弥が責められていた時は、私が怒ってやる!」


 夜月は泣きそうな顔で叫んだ。

 彼女は純粋なのだ。

 自分のことでなく、俺のことで悲しみ泣きそうになるくらい。


「ありがとう、夜月。なら俺も夜月が謂れのない批判を浴びていた時は、俺が助けるよ。師匠だからな」


「ああ……頼んだ」


 そう言って夜月は鼻をすする。


「そのためにも、戦えるようにならないとな。ほら、小鬼だ」


 俺の指さす先には一匹の小鬼。

 体格は俺達より少し大きいくらいで、細い手足に少し出た腹。薄汚れた布だけを身に纏い、邪悪な笑みを浮かべている。

 力は高校生男子くらいと見た目よりあるため、たまに被害が出る。

 小鬼はこちらを見つけると、先手必勝とばかりに襲い掛かって来た。


「火行・鬼火」


 夜月は動揺しつつも、鬼火を生み出し小鬼めがけて放つ。その火の玉は見事に小鬼の腹部に突き刺さり、そのまま小鬼を祓った。


「か……勝った?」


 あっさりとした初勝利だった。

 最初は拍子抜けしていたものの、徐々に勝ったことが嬉しいのか、夜月はすっかり笑顔だった。


「やはり、私って強い?」


 と更に自信をつけてしまった。


「六級くらい誰でも倒せるんだから調子に乗っちゃだめだ」


「やはり五級くらいは倒せないとな。ここにいる五級は妖狸(ようり)だろ? なら私でも……」


「今の夜月では無理だ。ゆっくり成長すればいい」


 話しながら歩いていると、空からぽつぽつと雨が降り始めた。

 軽い小雨だった雨は瞬く間に豪雨に代わる。


「夜月、もう今日は戻るぞ」


 振り向いた瞬間、夜月の姿は消えていた。

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