表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/199

お祝いに来たぞい

「それにしてもテレビは兵庫県のニュースばかりですな」


 真がテレビを見て言う。

 一級相当の土地神が殺されたということはおそらく敵も一級以上。

 強いのだろうか?


 俺の霊力をあげるためには強敵との戦闘が不可欠である。

 だが、テレビを見るに既に陰陽師協会は総出で動いているらしい。

 邪魔をするつもりはないが、気になるな。


「黒曜、お願いがあるんだけど」


「なんだい?」


「大奥池、見に行ってもらえない? どれほどのレベルの妖怪が居るか知りたいんだ。戦わなくても良いから、相手にばれないように。後、邪魔しないようにね」


 俺の言葉を聞いた黒曜のテンションが上がる。


「最初の友にして、最強の僕に任せてくれたまえ! 僕なら絶対に敵にもばれずに正体を探ってみせるよ!」


 随分張り切っているな。

 そこまで深い意味もなかったんだが……。

 まあいいか。

 莉世は冷めた目で黒曜を見ていた。


「なんか外騒がしくないか?」


 夕日テレビの人達が帰ってからしばらく外が騒がしい。

 事務所の前で何かやっているのか?

 また宝華院家のあほ共が邪魔をしにきたんじゃないだろうな。

 俺は気になって外に出ると、なんと着物を着たおっさんが巨大なスタンド花を勝手においていた。

 スタンド花の中心には


『祝 御開業

 芦屋道弥 様

 菅原陰陽師事務所 菅原岳賢』


 とやたら達筆な字で書いてある。

 よく見たら以前俺をスカウトに来た菅原家当主である。一級陰陽師だろう、暇なのか?


「人の事務所の前で何やっているんですか?」 


 俺の顔を見たら、素晴らしい笑顔で、親指を上げた。


「まだ開業祝いを送ってなかったからな! 水臭いじゃないか。その若さで事務所を開業したんだろう?」


「水臭いもなにもそんな付き合いないですよね、俺達?」


「付き合いは長さじゃない、質だろう?」


 俺とあんたは質もないだろう、別に。


「何しに来たんですか?」


「スカウトだ! 俺はまだ諦めてないぞ? 菅原家に来い! お前の才能を最高の環境で磨くのだ!」


「前もお伝えしましたが、芦屋家復興のためには芦屋家として活躍しないと意味がないのですよ、岳賢様」


「つれないな、道弥よ。だが、俺は何度でも現れるぞ」


「いや、来なくていいです」


 そんな話をしていると、莉世が事務所の中から現れる。


「道弥様、いったい何をしていらっしゃるのですか? あら」


 岳賢は莉世を見て、動きが止まる。その後、小さく笑った。


「道弥、お前……面食いだったのか? 確かに彼女は美人だが……俺の娘も美人だぞ?」


 なにいってんだ、このおっさん。


「見る目がありますわねえ。私が道弥様の恋人です。だが、貴方の娘じゃ力不足よ?」


 そう言って莉世が俺の手に絡みつく。

 誤解うむだろ……。


「莉世、冗談は止めろ。岳賢さん、そこは問題じゃありませんから」


「ハハ、今日はここまでにしておこうか。純粋な開業を祝いに来たのだからな」


 そう言って、岳賢さんは俺に小さな箱を投げる。


「これは?」


「世界最高峰の環境で作成された和紙、毛筆、墨だ。君レベルならば素材の方が有難かろう?」


 これは驚いた。

 本物の貴重品である。

 和紙、毛筆、墨どれ一つとっても最高峰の素材は車を買うよりも高くなるうえに金を積むだけでは買えないほど貴重なものとなる。


 箱の中からでも分かる程の清らかな霊力。

 間違いなく、本物であろう。


「素晴らしい品を頂き、ありがとうございます」


 俺は深々と頭を下げる。


「なに構わん。来たついでにすぎん」


 岳賢さんはそう言って去って行った。

 贈り物は嬉しいが、こんなでかいスタンド花どうしろってんだ。

 けど、良い人だな。お節介だけど。

 俺は箱を見ながらそう思った。

拙作である『不敗の雑魚将軍』第2巻が来週5月15日に発売されます!


全ての質問が『イエス』か『ノー』で分かるというスキルを得た少年が、軍で成り上がっていく冒険譚となっております。

熱い作品が好きな方、是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  『復讐を誓う転生陰陽師』第1巻11月9日発売予定!
    ★画像タップで購入ページへ飛びます★
html>
― 新着の感想 ―
[一言] お節介だけど気の良い岳賢さん フラグじゃないよね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ