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順番

「え? これ死んでない?」


 俺は莉世の方を振り向く。莉世はすぐに目を逸らした。


「いや、道弥様が、どうせ殺しても死なんだろうって言ったから……」


「言った。確かに言ったけど……。けど、ギリギリ生きているな。あれを直撃で受けても死なないとは、タフだなあ」


 焼き鳥寸前である。


「黒炎が当たる直前、刀から結界が張られた気がしましたね」


 有名な妖刀だったから、ありえるな。まあ、生きててよかった。


「莉世、治療を。このままだと死にそうだし」


「そうなると思ってましたわ」


 嫌そうに、莉世が治療する。思ったより重症なので、治療には数十分かかった。

 治療後、目を覚ました黒曜は、ため息を吐く。


「負けましたか……」


「お前の負けだ。これでようやくゆっくり話せるな。黒曜、なぜ俺のことを知らないふりをして、襲ってきたんだ? 実は式神になることが嫌だったのか?」


 俺の言葉を聞いた黒曜が目を見開く。


「なぜだって!? 僕にしたことを考えれば当然だろう!」


 怒るように黒曜が言う。

 え、何かしたか? 全く覚えがない……だが、人間は知らないうちに誰かを傷つけているというし、それか?


「まさか……分からないのかい?」


 まるで、彼女の『私がなんで怒っているか分かる?』みたいな質問を式神から受けることになるなんて。


「せ、千年前に黒曜が寝てるときに、背中の羽抜いて扇作ったことか?」


「そんなことしてたのかい!? 違う! 全く分かっていない馬鹿な主人のために教えてあげる! 現代に戻って来たなら、なぜ僕を最初に迎えに来ないんだ! 千年前、初めての式神は僕だっただろう!」


 黒曜が叫ぶ。


「じゅ、順番? だって黒曜どこにいるか知らなかったし……」


 俺は黒曜の言葉に驚く。まさか、順番で怒っていたとは。


「僕は鞍馬天狗なんだから、鞍馬に居るに決まっているのでしょう! 一番わかりやすいくらいだ!」


 そう言われれば、そうか? だが、千年も同じ場所に居るとは思わないよ。後、京都遠いし。


「分かった。すまなかった、黒曜。お前がそこまで順番を気にしていたとは」


「私は二番ですので、覚えておくように」


 莉世が黒曜を煽る。


「婆……殺すぞ」


「爺に言われたくありません。三番が」


 二人がにらみ合う。俺はしっかりと黒曜を見据える。


「莉世、煽るんじゃないよ。黒曜、俺にはお前が必要だ。再び、俺の式神となってくれないか?」


「……仕方ないな。君はいつも強引なんだから」


 そう言って、黒曜は笑った。

 黒曜はその後、すぐに人間の姿になった。本人は最近この姿がお気に入りらしい。

 俺はさっそく式神契約の呪を唱える。


 「臨兵闘者皆陣列前行。我が名は芦屋道弥。芦屋家にその名を連ねる陰陽師也。我が名において、命ずる。黒曜よ、我と契約を結び、我が式神と成れ。急急如律令!」


 呪を唱えると、霊力が黒曜の体を包みはじめる。


「何度でも、君と共に」


 その言葉と共に、黒曜の体が黒曜石のような輝きを見せた。

 その黒き光の後、そこには優しく微笑む黒曜の姿があった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだNTRたかと思ったやん良かったわ ってかツンデレじゃん
[一言] 1番と2番目、特に2番目は道弥だと分からず盛大に喧嘩売ったってバレたら立場は完全に逆転しそうだけど
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