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序章1

遥か上空を飛ぶ飛空艇は目的地に向かって一直線に飛んでいた。


私はその限られた人間しか乗れないという飛空艇に乗っている。

限られた人間と言っても別に身分が高いわけでもお金持ちなわけでもない。私は…というより私達はある目的の為に飛空艇に乗っている。


私の他に不思議な力を持つ英雄や大剣を背に携えてる騎士、弓を扱うエルフの男性に魔女と名高い数々の魔法を扱える女性…彼らと共にある場所へ向かう為、飛空艇に同乗していた。



それは人々に魔王と恐れられている者の場所。


天災を引き起こし数多くの命を奪った者を倒す為に私達は行くのだ。



だけど私は飛空艇に揺られながら…彼との対話の道はないものか?そう思わずにはいられないのだ。

私は彼を知っている…というより私が共に行動している英雄一行のことも『全て』『昔』から知っているのだ…。




何故彼らを昔から知っているのか…それは私が前世、日本人として生きてきた時にハマったRPGのゲームの登場人物で今私が生きているのはそのハマってたRPGの世界だからだ。







私の前世は日本というところで生まれ育ち、一言でいえば『干物女』だった。

数少ない趣味はゲームで主にRPGが好きだった。スマホゲームも好きだったがそっちは脱出ゲーム等頭を使うゲームをよくやってたような気がする。


特にとあるRPGにハマりそのゲームを特にやり込んでいた。


ただそのゲームのラスボスにあたる『魔王』にまつわる話が可哀想なものだった。



魔法を扱える一族の一員であることをのぞき普通の『人間』であった彼は魔導士の力を周りの人間に利用され裏切られ、それでも人間を信じ続けた彼は人間に一族を滅ぼされたことで信じることに疲れ人間というものに見切りをつけた。


心に深い傷を負った彼は色んな街や村を滅ぼしていった。


英雄となる主人公の住んでた村も滅ぼされたことで話がはじまる。



私はこのRPGに感情移入し過ぎてストーリーのあちこちで泣いたり考えさせられたり感動したりしてた。



ゲームはやっぱいいな…!ゲームのおかげでつらい仕事も頑張れるってもんだ。




そんなわけでこのRPGにがっつりハマってたわけだけど、どうにかこのストーリーを変えることはできないものか…と悩んだりした。


ゲーム上の英雄一行も対話の道はないものか探していたが結局のとこ戦うことになった。

英雄自身も自分の生まれ育った村を滅ぼされたにもかかわらず、魔王の生い立ちを知ったことで魔王を救いたいと一心不乱に対話の道を模索していたところも心打たれた。


そして今回も対話の道は無さそうだ…。そういう訳で周りの人間の表情も幾分か暗い。




「リーナ、大丈夫か?」

英雄が私の今世での名前を呼びながら心配そうに顔を覗き込んだ。



私は光の力を持つ賢者として彼らのパーティーにいて、本来のRPGのゲームには登場しない人間である。


私の様な本来いない人間の登場で彼らの物語…ここでは彼らの人生か…それに影響しないか心配になったが、そこは大丈夫だったようだ。



「大丈夫…いこう!」







私達は魔王と対峙している。

「逃げずにここまで来たのだな」

その言葉と同時に攻撃を繰り出してきた。私達はその攻撃を防いで自分達も攻撃を繰り出す。


「…さすがだな」

互いに離れた時、魔王が私の方を見た。

そこで私は衝撃の事実の知ることになる。






「お前は我が古の魔導師の一族の生き残りだ…」


「え…」

まさかの魔王の出身の魔法使いの一族の一員だと…?


「いや、正確には違うな、お前は古の魔導師の一族の力を受け継いだ人間と言った方が正しいな」


なんだと…?


「私の妹は光の魔力に長けていた…。我が一族が滅びの道を辿っているといち早く知った妹は自分の力を放出し、良き魂でその力と相性の良い魂にその全ての力を託すことにしたのだ…。たとえ何十年何百年経とうと良き魂と巡り合うようにと願いと魔力を込めてな…」


衝撃の事実を知り呆然としてる私や英雄達を尻目に淡々と語る魔王。



古の魔導士の一族…彼らは何事も無ければほぼ永遠と呼ばれる時を生きる。

底知れぬ魔力と数々の魔法を操り膨大な知識を有する彼ら…そんな彼らの力を継承されていたことに驚きを隠せなかった。


それに何より私は違う世界で生きていた魂だ。そんな魂に力を継承することなどできるもんなんだろうか…?そこは古の魔導師の成せる業ということか…。


私の考えてることが何となく分かったのか、魔王は口を開いた。


「お前は他の人間とはまた違った魂の色を感じる…それが何なのか最後まで分からなかったが、ある時迷い込んだようにこの世界に漂っていたのも、我が妹の力がその魂に吸収されたのも知っている。」


さすがの古の魔導師である魔王ですら私が異世界を生きた人間であることは気づかなかったようだ。

魔王の思わぬ発言で私のチートのようなこの力を持った理由は分かったが。

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