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厨房にて

騒ぎの後すぐに、昼食会は終わった。

この後の予定は、勇者達と候補生達は集団生活を行う為にこの城の居住区に移り、相方の決まった人達は、市街地にある一軒家で共同生活を行う予定。


そして、明日以降、勇者達はこの国から許可無く出ないこと以外は、午前は学校、午後からは自由になっている。

初日は、一般常識と2日目以降の準備(体力確認、戦闘訓練準備/魔力操作)。

2日目は、午前は魔力操作/体力増加/戦闘訓練。

午後からは、城内やそれぞれのギルドで、この世界の様々な知識を学んでもいいし、武術や魔術を教わっても良いことになっている。

1年間、ちょっとだけ贅沢な生活ができる分のお金が支給されるので、買物から、遊技場、娼館なども自由になっている。


私達以外は、候補生達の親や、旅のお供になりたい人達の親が援助するので、買物などはしないと思うけど。


本来なら私達も移動するはずだったが、

「すいません、お尋ねしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」

「なんでしょうか、勇者様。

後、私どもに謙る必要はありませんよ。」

「解りました。 それで要件なんですけど、この残った料理は、この後どうなるのですか?」

「先代勇者様方の教えにより、食材を残すことは悪徳となっておりますので、手付かずの料理は、私ども従業員の賄いになります。」

「この(脂の多い)肉料理も?」

「そちらは…」

「やはり、あなた方はこの脂が苦手ですか。」

「はい。」

「でしたら、私に良い案が有るのですが、」

「本当ですか!?」

「はい。 それともう1つ訊きたいのですか。」

「何でしょうか?」

「米も、余ってますよね?」

「はい。

勇者様方は、米がお好きだと聞いておりましたので御用意したのですが、殆ど食べられなくて。」

「(思ったとおりか。)それでしたら、そちらも対処しますよ。」

「ありごとうございます。 勇者様。」

「つきましては、料理長と、勇者に関するお金関係の偉いさんにお会いしたいのですが。」

「料理長と、勇者支援特別財務大臣ですね。

料理長が厨房におりますので、そちらにて会合できるように、させていただきます。」

「お願いします。」

ということになって、私達は厨房に案内をしてもらってる。


勇者様の起こす騒動に不安を生じながらも、楽しみにしている自分に混乱しながら。


・side勇者澪

「まずは、私の提案にお二人のお時間をいただき、ありがとうございます。」

「ああ。」 ←料理長

「いえいえ、勇者様から有意義なお話をいただきますなら、かまいませんよ。」 ←財務大臣

「では、早速本題に入らせてもらいます。」


「まずは、本日の昼食会にて出された、肉料理と米の殆どを勇者達が食べなかった事について、お二人の感想を伺いたく思います。」

「俺は判らねえ。」

「私は、ありえないことですが、料理長の腕が悪かったのかと。」

「てめえ俺のせいだっていうのかよ。」

「だから、ありえないと言っているでしょう。

腕が良いと判断したからこそ、大切なお客様であられる勇者様方の料理番に抜擢したのですから。」

「それなら、米は判らねえが、肉料理の方は脂が多すぎたんだ。」

「確かにあの肉料理の脂は異常でしたけど、それでも先代勇者様方の記録通りでしたよ。」

「だが、それ以外に思いつかないしな。」

「(ため息)まあ、こちらの事情を知らないとそう思いますよね。」


しばらくして、

「あー、わからん。 勇者様答えはなんだい?」

「答えはですね、脂です。」


「やっぱり脂が多かったんだな。」

「違います。」

「は? それ以外に理由なんて…、もしかして、」

「そのとおり、脂が足りなかったです。 あと匂いも。」


「…え」 (料理長/財務大臣/聖女ちゃん)

「ええー」(この部屋のスタッフ全員)


「マジかよ勇者様。」

「マジですよ。

ちなみに、私の国の一番高い肉は、赤身と脂身がグラデーションになってる、もうそれ脂だろう、って肉です。」

「信じられねえ。 信じられないけど、この残り方を見るに、本当なんだろうな。 はあ↘↘」

「料理長。」

「しっかりしてください料理長。」


頭を抱えてうずくまる料理長、開いた口が塞がらない財務大臣、聖女ちゃんが正気に戻るまで、数分かかった。

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