説教
「御待たせしまして申し訳ありませんでした、聖女カーミラ様、勇者様。 私が所長のモトタナです。」
「初めましてモトタナ様、勇者澪と申します。
本日はいきなり来てしまい、申し訳ありませんでした。」
「私も、連絡をせずにいきなり来てしまい、申し訳ありませんでした。」
私と勇者様が頭を下げて、しばらくしてから、
「…謝罪を受け入れました。
頭を上げてください、勇者澪様、聖女カーミラ様。」
「ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
「ですが、人生の先輩として、元上司として、聖女カーミラ様に、苦言を呈しせていただきたいのですが、よろしいですか。」
「…はい。」
「聖女カーミラ様、あなたは特殊な生い立ちのせいで、色眼鏡で見られた結果、辛酸を舐めてきたと思われます。」
「はい。」
「だからこそ、このような小さなミスをしてはいけません。
あなたは今、多くの人に嫉妬をされているのですから。」
「?」
「やはり、気が付いていないのですね。」
「聖女カーミラ様、あなたは各王子王女と多くの上級貴族に加え、多くの平民から嫉妬されています。」
「ええ!!」
「原因は、あなたの出自ですね。」
「あなたは王族でも貴族でもない、ましてや平民でもない。
もし、貴族が引き取りに来ていたなら、まだしも、それも無いせいで、あなたの立場は非常に中途半端です。
それは、わかりますね?」
「はい。 嫌というほどに。」
「では、そんな貴方が一番に、それも神託によって選ばて、聖女となった事は、周りがどう思うと思いますか?」
「それは…、気に入らないと思います。
ですが、神様が御選びになった事ですよ。」
「確かにそうです。
ですが、人の感情には関係無いのです。」
「………」
「そしてそんな人らは、取るに取らない小さなミスで揚げ足を取り、こちらを貶めようとしてきます。
それが、無意識か意識があるかわかりませんが、」
「ですから、これまでよりも気を付けないといけないのです。
貴方のためにも、勇者様のためにも。」
「はい…。 御指摘いただき、ありがとうございます。」
「幸いにも、契約により、勇者様が常に側にいらっしゃいますので、表立っては無いと思いますがね。」
「監視以外にも意味があったのですね、この契約は。」
「!!」
「おや、勇者様はその契約の意味を知っていたのですか?」
「いえ、ですが、異世界人なうえに、神様から望むスキルを貰って、なんの問題も起きないはずが無いので、」
「なるほど、確かにそうですね。」
「この距離の短さは驚きましたが。」
「あの、勇者様。」
「謝罪は必要ありませんよ。」
「ですが、」
「むしろ、当たり前の事です。 距離以外は。」
「わかりました。」
「さて、私からの説教は、これで終わりです。
勇者様、本日お越しいただきました内容を、お教えいただけませんか。」
「はい。 私達が来たのは、聖女特有のスキルがどんなスキルか、実地見学をさせていただきたいのです。」
「了承しました。 丁度、呪い持ちの患者様もいらっしゃいすので、さっそく現場に案内しましょうか。」
「お願いします。」




