勇者のスキル 解説②
「まずは、知識の方から説明させていただきます。」
「こちらの世界はわかりませんが、私の世界では、生物は脳から電気信号を送って体を動かします。 それと、感情も電気信号で伝わってます。」
「そして、その電気は微弱ではありますが、体外に放出されます。」
「又、殆どの生物は、無意識ながらも電気を感知してます。
よほどのことがないかぎり、気づきませんが。」
「これで、この系統の話は一旦終わります。
続いて別の話になりますが、よろしいですか?」
「はい。 大丈夫です。」
「先程、ストレスについて話した時に言いませんでしたが、ストレスは過剰に与えられると、気絶する事があります。」
「!!」
「といっても、めったにおこらないようですが。」
「…」
「これで、前知識の方は終わりで、次は体験談を話そうと思うのですが、休憩はいりますか?」
「大丈夫です。 ご心配ありがとうございます。」
「それでは、説明させていただきます。」
「これまでの話にも何度か出てきましたが、私は介護と看病をしていました。
というのも、その相手が過剰にストレスを与えられ、さらに、私の国では、ストレスなどの精神的な障害、もっと言えば、目に見えない障害には疎く、身内の誰もが放置、又は追撃したからです。」
「ですから私がしていたのですが、やはり素人の介護と看病だからか、多分死にました。 なんとか蘇生しましたが。」
「で、その死んだと思われる時なのですが、今の私達と同じくらいの、机一つ分位の距離にいたのですが、何かを感じたのです。」
「そして、その何かは、規模は全然違いましたが、何度か感じた事のあるものでした。」
「話は変わりますが、聖女ちゃん。」
「はい。」
「この家には照明器具や、私の世界でよく見る、レンジや冷蔵庫にそっくりな道具があるのですが、あれらはいったいなんですか?」
「魔道具という、私達の世界に元からある道具を、先代勇者様方が御自身の世界の道具を真似たりしたものです。」
「魔道具ということは、動力源は魔力であってますか?」
「はい。」
「それは、補充する時はどうするのですか?」
「その家に住んでいる人が、自身の魔力を使って補充します。」
「頻度はどうなっているのですか?」
「使用人を雇える貴族や金持ちは、使用人が頻繁に。
庶民は、きれたら補充すると思います。」
「きれるときは、どうやってわかるのですか?」
「こう、何といいますか、喪失感、といいますか、そういうのを突然感じます。」
「そこは、家電と同じなのですね。
よかった。」
「?」
「もしここで違う感じだと、先程の話の続きが難しかったので、不安だったのです。」
「話を戻しますが、私が感じた何かとは、一部屋分の家電の電気がきれた時に感じる喪失感を、何十倍にもしたものでした。」
「!そんな、」
「ありえないと思うでしょう。」
「はい。」
「私も、実体験してないと、聖女ちゃんと同じ事を思ったと思います。」
「ですが、事実です。
そして、私はそれを感じた時に、無意識に、その人が死んだと思いました。」
「その経験と、最初に話をした知識、それと、私の世界の、人間以外の動植物や、いくつかの無機物が、電気に対する親和性がたかいことから、気力とは電力とほぼ同じと考え、それを意識して使えないかと思い、あれこれやってみました。」
「……」
「そして、それらはいくつか成果を出しました。
スキルにもあるように。」
「これが、私が持つ気力操作スキルの全容です。」
「…それは、私にも習得できるもの、なのでしょうか?」
「できると思いますよ。」
「聖女ちゃんは、会話の途中に印象が変わる人とかの経験はした事がありせんか?
他には、教室の片隅に、いつの間にか人がいる経験など。」
「なるほど、そういうものですか。」
「そうです。」
「これで、私の説明は終わります。
それで聖女ちゃん、決意は決まりましたか?」