独自解釈 七大罪
「…何度もご迷惑をおかけして、申し訳ありません。」
「今まで溜め込んでいたものが溢れただけだから、気にしなくていいよ。」
「はい。」
「それに、ちゃんと吐き出さないと、大変な事になるからね。」
「そうなのですか?」
「私の世界だと、ストレスと言うのだけど、先代勇者様方が広めてないの?」
「聴いたことがありません。」
「そうか…」
「あの、勇者様。」
「…?」
「どのような事が起こるか、教えていただませんか?」
「…そうだね。
えっと…、聖女ちゃんは治療行為をした事はあるかな?」
「治療院でお仕事をさせていただいてます。」
「本当に、聖女ちゃんはスゴイ人だね。
その中に、傲慢な話し方をする人や、常に何かを食べてるような人、怒りっぽい人に、ヤル気のない人はいたかな?」
「たまにいました。」
「その人達が、判りやすい症例の一部だよ。」
「!そうだったのですか。」
「聖女ちゃんは、七大罪って言葉は知ってるかな?」
「勇者様方の大好きな言葉として習いました。」
「内容は? 上辺だけでいいけど。」
「憤怒、嫉妬、傲慢、怠惰、暴食、強欲、それと…色欲、です。」
「正解。
そして、ストレスの判りやすい見た目の症状が、その七大罪なんだよ。 中身は多分違うと思うけどね。」
「…」
「聖女ちゃん、私ね、向こうの世界で、親戚の介護とか看病とか、そんな感じの事をしてたんだけど、その親戚がおかしな人でね。
ざっくり言うと、数十年前から来た人かな〜、っていう感じだったの。」
「?」
「認知症だと思うんだけどね。
ストレスが一気に過剰にかかった影響だと思うんだけど、一般常識に法律、社会のルールを全部忘れちゃって、オマケに、所々で数十年前の一般常識や社会のルールが出てくるようになったの。」
「!!」
「しかも頑固で、家族の話より他人の間違った話を鵜呑みにするようになったの。」
「……」
「そうなる前は、1聴いたら十を知るような人だったのに。」
「…大変だったでしょうね。」
「そうだよ。 おかしな言い方だけど、殺人を犯してないことを褒めてほしかったよ。」
「っでね、そんな人を相手にしてたからか、ストレスが発散できずにかかりっぱなしで、その結果、七大罪のような事をほとんど体験したよ。」
「憤怒。 全身から、何かにぶつけないと自分が壊れてしまうようなエネルギーがずっと生産されるようになった。」
「強欲。 欲しいとも、欲しく無いともいえる物や、買う必要のない物を買って、無駄金を使うようになった。」
「暴食。 食べても食べても食欲が満たされなくなった。
ちなみに、私が経験した一番大きな出来事は、空腹で眠れなかった事ですね。
食べても意味がないから我慢してましたが、あの時初めて、背中と腹がくっつく経験をしましたね。 何言ってるかわからないと思いますが、そんな感覚を味わいました。」
「嫉妬。 自分が勝手に同等か下に観ている人の、自分より優れているもの全てに羨ましく思うようになりましたね。」
「怠惰。 何もやる気が無くなりましたね。
私としては、これが一番怖いですかね。
何せ、朝起きてから夜寝るまでの記憶が無くて、あれ、さっき起きたよな? みたいなことを何度も経験しましたし。
さらに、やる気が無くなりすぎて、衰弱死?老衰?、寝ながら死んでいくやつなのですが、それになりかけましたからね。」
「傲慢。 これはよくわかりませんが、これはと言うのが一つだけ経験したことがあります。
その時は、こう、自分と他人の境界線がなくなるといいますか、えっと、他人=自分だから、粗雑に扱ってもいいと感じるといいますか、そんな感じのを経験したことがあります。」
「色欲。 呪いを持っていたので、そもそも性欲がわかないようにしていたのと、巨乳より上の大きさの、爆乳というのですか?それにトラウマを感じていたのですが、それでも、女性の胸や尻に目が無意識に行くようになりましたね。 本当にショックでした。」
「(絶句)」
「今言ったのは判りやすい症状だけで、細かいのもいくつか体験しましたね。」
「だから、ストレスを溜めずに、時折でいいので発散してほしいのですよ。
しかも、私達は離れなくなったので、そういう事はちゃんとしたいですしね。」
「…わかりました。」
「話を聞いてほしいときは聞きますし、なおしてほしいところは言ってくださいね。」
「はい。 勇者様も遠慮せずに仰ってくださいね。」
「はい。」