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彼は元皇太子である  作者: パパラッチ
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林間学校

キシールが非常に困っている。

「いや、それはルーサリウス様に聞いてください。僕に言われても...」

多分俺たちの班に入りたいメンバーの猛攻に合っているのだろう。

普通に俺のところのくれば良いのにそれをしないという事は、まあつまりキシールや他のメンバーが目当てであって俺はそこまで注目されていないという事だろう。

「モテモテじゃねぇか!なぁ?」

グシードが軽口を飛ばす。

そう言えばコイツら、この短期間で結構仲良くなったよな。

「いや、多分僕をルーサリウス様と誤解してるだけですよ...」

キシールが言う。

死ぬほど謙虚だ。

だが冷静に考えてみて、幼少期にアレほど謎に包まれていた俺があんなヘニャヘニャニコニコした青年だと思う方もどうかしてると思うけどな。

「とりあえず、ここはどう言うメンバーを入れたいかだけ決めないですか?」

セシルが的確な提案をする。

まあそうだな、ここでウダウダやっててもしょうがないもんな。

と言うか、俺に聞くという選択肢はないのだろうか?

まあ良いか。

丁度良いし、ここはあいつらに任せておいて、俺はちょっと勧誘しにいくか。

一人、班に入れておきたい奴がいる。

そいつは木陰で一人、何か考え事でもするかのように俯いていた。

「ようシルヴィア。お前班リーダーやらないんだな。」

そう、班に入れておきたいのはこのシルヴィアだ。

自業自得とは言え少しかわいそうと言うのもあるのだが、1番の理由はコイツが諦めていないと言う可能性だ。

何かを裏でコソコソされるよりは、いっそ手元に置いて監視しておくのが一番効率がいいのだ。

「なんですの?班にもまともに入れない私を嘲笑いにきたんですか?」

完全に不貞腐れモードだ。

多分、あんな事があったから表立って立候補はできないけど、かと言ってどっかの班に頭下げて入るのも癪だから1人ここで俯いていたのだろうな。

なかなかどうして可愛げがある。

「いやそうじゃなくてだな、アレだったら俺の班に入らないか?」

こう言う奴には直球で用件を伝えるのが一番良い。

下手に適当な会話をしていたら、ネガティブになる一方だ。

シルヴィアは一つため息をつき言う。

「自らが招いた失態ですの、施しや憐れみのつもりなら不要ですわ」

意外と肝が座ってるんだな。

普通、こう言う小物は絶対に現状を是認せずに喚き散らすものだが、コイツは完全に原因と結果を認識している。

家で馬鹿げた貴族的自尊心さえ育まれなければ、元々は結構優秀なんだろうな。

「ちゃんと原因と結果を認めてる。それだけで俺はすごいと思うぞ」

なのでここも直球に誉める。

誉めると言うか感心しているのだ。

少なくとも俺が宮殿で見てきたクソみたいな政治家連中とは違っている。

かと言って、実績は出すが老獪で食えない俺のようなタイプでもなく、純粋に今まで挫折を知らなかっただけの優秀な女だ。

反目するでも恭順するでも取り入ろうとするでもなく、真摯に自らの失敗と向き合っている。

やや加減が過ぎるが、そこには素直に美しいと感じられる何かがあった。

まるでセシルを見ている時のような。

「それはそれは。でもあなたの班員はそれをお認めになられるんですの?」

まあそうだな。

シルヴィアからしてみれば、俺はともかく他の奴がどんな性格なのかは分からないだろうからな。

「あいつらはそんな事でどうこう言うほど馬鹿じゃない。戦力としても充分価値があると分かっているからな。」

信用がない相手からの印象を語るには、実績を出すのが一番だ。

それならどんなに信用がなくても、少なくとも邪険にはされないと保証できる。

何とも卑しい人間の心理だ。

シルヴィアは数秒何かを逡巡していた。

そして、こう呟く。

「なら、わたくしの価値とは一体何なのでしょうね」

ずいぶん重いクエスチョンだ。

要は自分の惨めさ、力のなさを嫌と言うほど痛感して、自分の正当な価値が見えなくなってしまっているのだ。

ならばこう答えるだけだ。

「それを知りたいなら見極めてやる。うちの班に来い」

こうしてシルヴィアは我がルーサリウス班に入る事になった。

が、これが虎視眈々と俺の隙を狙っている奴の態度なのだろうか?

これが演技だとしたら相当な実力者だが、それならばあのような失態はそもそもしないだろう。

まあクリークの言うことなんて当てにならないからな。

とりあえず軽く頭に入れとくくらいで良いだろう。

最もこれが敵の戦略なのかもしれないが、来るならドンと来いだ。

不定期に更新しまする

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