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朝目を覚ますと珈琲の良い香りが部屋に漂っていた。私は、体を起こしその辺にあったシャツを着て立ち上がる。
「おはよう凛子」
「おはー、ご立派な朝食をありがとう」
まるで起きるタイミングが分かっていたかのように注がれたマグカップを受け取りソファーに座った。
「そういえば社長から連絡あって凛子と一緒に◯◯ホテルに17時に来いって」
……フリーズした頭にはニコチンが効くかな
タバコに火を付けて一吸いしてから口を開く
「もう1回言って?」
「だから凛子と一緒に◯◯ホテルに来いってうちの社長が」
…聞き間違いじゃ無かったらしい
やっぱりあの社長の考えることは、分からない…なんで薫まで連れて行く必要がある?…嫌な予感しかしないんだけど
「分かった」
「なんの用があるのかな」
言えない
取り敢えず黙って私は、ご飯を食べて話を逸らすことにした。ニコチンのおかげかこの甘い珈琲のおかげか頭の回転が早い。社長が私達を同時に呼ぶ理由は、1つしかない。
ああ、今日は厄日か何かか
タイミングくらい私に決めさせてくれよクソババァ
……泣きそ
食事も終えテレビを付ければ日本という国が平和だなって思う。海外と比べたらね
そして人々の興味を引くのは、ゴシップネタだ。本日も本日とてbloodのネタをやってるよ
人の不幸は蜜の味ってね
鼻歌を歌いながら皿洗いをしてる薫には、テレビの音が聞こえてないらしい
本当嫌だなぁ
タバコを吸っても落ち着かない
しかも今日は、雨でも降るのか頭が痛くてしかたない気が滅入りそうだ。
テレビを消してベッドへと戻る。今が11時で16時にはここを出なきゃいけない。残り5時間
「もう昼寝の時間?」
「ねぇ、薫」
「ん?」
「シタイ」
そう言って薫の手を引きベッドへと連れ込む
「珍しいねまだ午前中なのに凛子から誘ってくるなんて」
「私にだって欲求はあるよ」
「ねぇ、凛子なっ…はいはい俺の負けだよ」
キスで言葉を遮れば薫は、呆れた顔で誘いに乗ってくれた。狡いのは、分かってる。それでもこれが最後になるのなら刻み込んで欲しい。
貴方を