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院内はこの季節にも関わらず,冷房が全く効いていなかったので少しずつ体が熱くなり,生温かい汗が自分の首筋を流れ落ちるのを感じた。

それを腕で拭いつつ受付前を通り,さらに奥へ進んだところにある少し暗い階段を昇る。

二階のナースステーションを前を通り過ぎ,二〇一号室の病室前へとやってきた。

そして扉を開け中に入ると,そこにはベッドの上に横たわる遠藤修造の姿があった。

「毎度毎度,すまねぇな」

「ホントだよ。お前があの時,急にお腹が痛いとか言って病院に通いだしてから,ずっとコレだよ」

 

遠藤修造とは小学生のころからずっと幼馴染で昔から仲が良かった。

そんな彼は虫垂炎でこの病院に入院していた。

それは今から二週間前の出来事だった。

講義が終わり,帰り支度をする和俊。

教室を抜け出し向かった先は,同じ階にある少し大きな図書室。

ここで遠藤修造と勉強会を開くことにしていた。

和俊が扉を開けて周辺を見渡すと彼はすでに席に座ってシャーペンを片手に勉強を始めていた。

そのすぐ隣の席が空いていたので,彼のそばへ駆け寄り,目で相槌を打ったあとにその席に座った。

テキストを開き,問題に取り掛かってから数分が経った時だった。

ふと彼の顔を見たときだった。

いつもの彼の元気な顔とは打って変わって,真っ青になっていた。

「おい,修造。大丈夫か?なんか顔色が悪いぞ」

「・・・俺なんだかさっきから腹の具合が悪いみたいだ・・・」

腹痛にしては今にも倒れそうなぐらいに見えたので,和俊は保健室へと連れて行った。

その翌日,修造は盲腸で都内の病院で手術を受け,入院。

そして今に至るというわけである。


「こんな病院とか言うなよ。これでも都内では一番有名な病院なんだぜ,ここ」

「かもしれないけどさ・・・」

「・・・あぁ,まだ・・・おふくろさんのことが?」

「・・・まあ,そんなところだ」

「そうか・・・なんか,悪いな」

「気にするなって,もう昔の話さ」

そう言って花田和俊は近くにあった椅子に腰を下ろした。

そしてテーブルの上に置いてあった新聞に手を伸ばした。

相変わらず記事や見出しには,昨日も見たような同じネタが使用されていたため読む気にはならなかった。

仕方なくその隣に置かれていた修造の好物であるミカンをむいて食べることにした。

「で,どうなのよ?調子のほうは」

「いやぁ,だいぶマシになったと思うんだけどさ・・・」

「・・・何日?」

「あと約一週間ってとこだ」

「そうか」

和俊がふと壁に掛けられていたカレンダーに目をやる。

今日は七月二十二日。

修造が盲腸になり手術をしたのがちょうど十四日前の七月七日

「七夕」だった。

「そうだ。なあ、知ってるか?」

突然、修造が口を開いたので、和俊は不意をつかれたかのように少し驚き、耳をそちらに傾けた。

「何を?」

「生神町に派遣された4人の警察官が神隠しにあった、って話さ」

少し声を震わせながら修造は話した。

その話は、和俊も以前ニュースで聞いたことがあった。

先程まで手にしていた新聞にも、確か小さな記事としてだが掲載されていた。

生神町は、ここ志間町から少し離れたところにあるのだが、その町には昔から奇妙な事件が多発していた。

しかし、それらの真相は今でも解明されておらず、謎に包まれたままである。

今回の件もまた、その内の1つとなってしまったであろう。

「ああ、知ってるさ。それがどうしたんだよ?」

「どうしたじゃねえよ。千春ちゃんのこと、心配じゃないのかよ?」

修造の言葉に和俊はあることを思い出した。

千春のことである。

千春は、2日前に親しい友人たちと一緒に生神町へ3泊4日の観光旅行へ出掛けていたのだった。

「別に大丈夫だって。神隠しなんざ、どうせどこぞのマニアが流した噂だよ。その警官だって…すぐ見つかるさ」

「だといいけどさ…。でも、あそこは何かとブッソウだよ。霧も多いし…」

それから会話が一旦止まり、今まで食べていたミカンもただの皮だけとなっていた。

時計の針はいつの間にか3の刻を指していた。

「まぁ、メールぐらいはしたら?彼氏としてさ」

「最後のは余計に聞こえるけどな…まぁ、そうするよ。お前も早く治せよ」

「分かってるって」

そう言って和俊は、病室をあとにした。

そして、携帯電話を取り出し、千春にメールを送ろうとした時、突然、自分の身体に小さな衝撃がはしった。

見るとそこには、小さな少年がその場で立ちすくんでいた。

更新が遅れてしまいました・・・

やっぱり小説を書くって難しいですよね。

でも,物語を考えるのはホントに楽しくてオモシロいことなんだなと,今回,続編を書いてみて,改めてそう思いました。

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