気が付くと、あたりは暗くて、たまに電気が付いたり、消えたり。
気が付くと、あたりは暗くて、たまに電気が付いたり、消えたり。
非常灯に切り替わっていたから、ライフラインが分断したのかもしれない。
「とりあえず、外にでな・・・・・」
ズン ズン ズン
私がその時に見たものを素直に受け入れられなかったのは仕方がないことだ。
だって、それは
「GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO」
顔が牛で、体が巨漢の男の化け物だったからだ。
あたりが揺れるほどの声、ただで不安定だった棚が倒れたことで、不覚にも声を出してしまった。
「GUUUU?」
「っ!!」
声にならない悲鳴を上げてしまった。牛はさらにこちらを不審に思ったようで、徐々にこちらに向かってくる。
柱の陰に隠れていたので、これ以上牛が違ずいてくれば逃げ場はない。
『行くしか・・・・ない!」
「GOOOOOOOOOOOOOOOOOO」
走り出した私に気が付いた牛が私を追う。
思ったよりも遅い。これなら逃げられそうだ。
109を飛び出す。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……空が・・・・・赤い」
人を狂わせるような血染めに垂れる真っ白な太陽が眼球に痛みを与えた。
「なに・・・これ?」
「「「「「GUUAA?」」」」
「え?」
あたりにはいつの間にか化け物があふれていた。
「きゃあああああああああああああああああああああああああ」
ちょろちょろとおしっこが私の下腹部を濡らす。
「は・・・ぁ・・・・あああああああ・・・・」
ころん。
ころん。
周りの化け物が何かを落とした。
麻美と真理だった。
「いやぁ・・・・・たすけ・・・こないでぇええええええええええええええ」
無常にも当たりの化け物が拳を振るう。
私は慟哭と共に目を閉じた。
ブシュッ
ブシュッ
しかし、私に訪れたのは殴られる痛みでも、死の感覚でもなく、聴覚に届けられた大量の水の吹き出る音だった。
恐る恐る瞳を上げる。
「だ、だれ?」
「わ、わたし?」
「そうだ。お前、どこから来たんだ?」
「え?神奈川県から・・・・」
「神奈川??そうか、渋谷ごと転移して・・・・」
紅い髪の日本刀を持つ男はこちらをまじまじと見つめていた。
「あ、あなたは?」
「おれ?おれは・・・・」
「危ない!!!!!!!!!」
男の後ろから、緑色の人間が一斉に遅いかかる。
が、次の瞬間、彼らの首は飛び、先ほどの化け物よろしく地面に横たわった。
「マキリだ。よろしくな」