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異世界09
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ーまずいな‥‥予定よりもかなり遅くなってしまった。
真面目に反省文なんて書くものじゃない。よりによってこんな時にだ。それは自動自得なのだが、認めたくない自分がいた。
職員室に提出しに行った帰り、晄斗は違和感に気付いて立ち止まる。廊下の窓から見える赤い月を見上げる。
「‥‥‥‥燕‥‥」
彼女のことが気掛かりで彼女がいるであろう教室まで走ろうと足に力を入れた瞬間、ぐらりと視界が‥‥世界が歪んだ。
バランスを崩しかけた身体を必死に持ち直して壁にもたれるように寄りかかる。
「くそっ‥‥」
晄斗の瞳はみるみるうちに赤い満月のように深紅に変わる。唇から見える長い牙のような歯はとても鋭く、凶器のようだ。