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魔剣ハーデス

「ったく…そろそろ終わりにするぞ!」


 いくら相手が魔剣を使っていようとあまり強くは感じない。

 ならもう一気に倒してしまう……それが最善だ。


「これで終わりだあ!」

「まだまだあ!」


 ……魔剣を使ってるだけあって腕は良い方か……なんかだんだん剣術が上達していっている気がするが……気のせいか?


「オラオラア!」

「……っ!?」

「ジョーカー様!?」


 気のせいじゃない……明らかに動きがさっきまでと比べて良くなっていやがる……!


 何度か剣をぶつけ合っていくが、だんだんと押されていっている。


「フハハハハハハ!これが魔剣の力だ!」


 なるほどな……たとえどんな素人でも達人級の剣捌きを行える……それが魔剣の力……いや待て?

 それだけか?魔剣ってもっとイメージ的には災いを引き起こしたりするもんじゃないか?

 それに、剣の腕が上達するだけなら厳重に封印なんかされていないはず……。


 その時だった。俺の剣が弾き飛ばされてしまった。


「チッ……!」

「どうしたどうしたあ!?」


 こいつ……調子に乗りやがって……お前ごとき、俺の能力を使えば一瞬で……。

 そう思って能力を使おうとした時だった。

 魔剣の柄から触手みたいなのが伸びてきて、俺の腕に絡みついた。

 何かしたかと思い相手の顔を見てみるが……・


「な…どういう事だ?何が起こってやがる!?」


 どうやら相手の方も何が起こったか理解できてないらしい。

 そして魔剣は奴の手元から離れ俺の方に近付いてきた。

 しかもまるで持って下さいと言わんばかりの様に、俺の手元の近くまで来ている。


「……俺が使えと?」


 魔剣は応えるはず無いが、その場所から全く動かない。


「……分かった、やってみようじゃないか!」


 俺は魔剣を手に取る。すると俺の腕に絡まっていた触手が解かれ……触手を今度は腕に刺してきた。

 しまった…罠だったか!?


「……?」


 しかし少し痛みが走ったが、予想よりは痛くなく……体の中に何かを注入された気がした。


「……っ!」


 一瞬目眩がしたと思うと、俺の意識が深い闇の底へ落ちていく気がした。



「……ここは?」


 一面真っ暗な世界……そんな感じだ。


『汝、力ヲ求メルカ……?』


 いきなり声が響いてきた。俺に問いかけているのか?


「……ならお前は俺に力を授けるか貸す気なのか?」

『アア、汝ノ返答次第ダ』

「なぜ俺を選んだ?」

『汝ニハ、深ク、大キイ負ノ感情ガアル……我ハソンナモノヲ求メテイル……シカシ、質問ノ多イ奴ダ』

「悪かったな、ならその力を求めよう……俺は目的の為ならどんなものも利用するつもりだ」

『ナラバ受ケ取ルガイイ、魔剣ハーデスノ力ヲ……』


 そして段々と俺の意識が戻ってきた。どうやら実際の時間は全く経っていないようだ。


「貴様……我々の切り札、魔剣ハーデスを……!」

「お前らの物じゃないだろ?それに……」

「なっ……!」

「もうこいつは俺の物だ……」


 ま、聞いちゃいないか。どうせ奴はもう死体だ。

 

「ジョーカー様……」

「どうした?」


 ランティスが珍しく驚いたような顔を見せている。


「瞳が……赤くなっています」

「……やはりな」

「どういうことです?」

「今、この魔剣の正当なる所持者は俺だ……そして人間の俺が選ばれてしまったから、俺の体は魔族化したとかそんなところだろ?」

「……はは、全く素晴らしい……」

「よし……さっさとクーデターを止めるぞ」

「了解です」


 俺たち敵の中心地と思われる場所に飛んでいった。


 そこへ急行すると他の四天王たちが既に戦っていた。


「ジョーカーか……?だがその瞳の色……」

「メビウスか……魔剣の影響だ、詳しくは後で話す……それより……」

「なるほど……総員!後退だ!」


 察しが良くて助かる。俺はこいつの試し斬りをしたいからな。味方を巻き込むわけにはいかん。


「さあ……魔剣ハーデスの真の力……見せてやる!」


 俺は剣に魔力を込めながら大きく横薙ぎに振る。

 その瞬間、俺の前方の地面が大きく抉り取られる程の、衝撃波が発生し、それに巻き込まれた相手がどんどん吹き飛ばされていく。

 近くに居た奴に至っては衝撃波により、原形を留めない位な肉塊に変えてしまっている。


「全く……なんて強さだ」


 今度は下から振り上げる様に剣を振る。すると今度は剣から斬撃波の様なものを飛ばし、それに当たった奴らが真っ二つに斬り裂かれてゆく。


「なんて力だ!」

「クソ……だがまだ!」


 諦め悪いな。命を無駄に捨てるもんじゃないのに……降参すれば助かるか……楽に死ねたと思うのにな?


「これで最後だ!」


 今度は俺の能力と併用出来ないか試してみる。

 俺は魔剣の刀身が怪物の口になるイメージをする。


「フッ……出来た!」


 俺のイメージ通り、魔剣の刀身が変化して、大きく裂けた怪物の口になった。


「我が敵を喰らい尽くせ……暴食の魔剣(グラットンハーデス)!」


 俺がそう言うと、魔剣から触手が出てきて敵を捕まえ刀身まで運び……そのまま捕食する。


「ギャアアアアア!」

「ヒィッ……助け……」


 俺の目の前にはかなりグロい光景が広がっている。


「うわ……やり過ぎたか?」

「これが魔剣の力か?」

「いや…俺の能力と併用した結果だ」

「そう言えばお前の能力を聞いていなかったな」


 メビウスは俺の能力に興味あるようだ……まあ、仲間だからな。教えてやってもいいか。


「俺の能力はマジックイマジネーション……俺がイメージしたものが実現する魔法だな」

「……それは……味方で良かったと思えるな」

「よし……そろそろ終わるみたいだ」


 どうやらメビウスと話してる間に魔剣が敵を喰らい尽してしまったようだ。

 まだ隠れてる奴は居そうだがこれだけの力を見せつけたんだ。降伏するだろう。



 クーデターは数的にかなり不利だったが意外にもあっさりと、俺たちの勝利で幕を下ろした。

 やはり四天王が全てこちら側だった事、そして魔剣ハーデスを手に入れた事等、こちら側が勝つに十分すぎる戦力があったのだろう。



「御苦労、よくやってくれたわ」

「うむ、だがメイ、今回の件で魔族軍の人員はかなり消耗してしまった」

「でも、アタシが倒れるより良いでしょう?」

「そう言えば魔王様は何してたんです?」


 ずっと城に閉じこもってたような……まあ、魔王が前線に出るもんじゃないが……。


「あらジョーカー?もしかしてアタシが何もしてないとでも?」

「では何を……?」

「はぁ……アンタ、どこで戦ってたか分かるでしょ?」


 魔王城の眼下にある城下町だろう?……あ。


「魔族でも非戦闘員はいるのよ?」

「なるほど、魔王城に避難させてたと……」

「それに魔王城周辺に強固な結界も張ってあったわ」


 それは御苦労な事で……。


「少し無礼すぎるんじゃないかしら?ジョーカー」

「はは、そんな事はありませんよ」

「っていうかアンタ……目が赤くなって無い?」

「そう言えば説明していませんでしたね」


 そう言って俺は魔剣を出現させて魔王に見せる。ちなみに魔剣は俺の意思で出したり消したりできる。


「それをどこから……まさかアンタ……!」

「犯人はボーギャンです……この戦いで魔剣を持ち出してきた奴が居まして、そいつから奪った……いや、魔剣に選ばれたのですよ、ちなみに目が赤いのは選ばれた際、俺の体が魔族化したせいでしょう」

「……じゃあ魔剣はジョーカーの物……ってわけね」

「そうなります」

「はぁ……まあいいわ、それに魔族化したならもう人間でもないわね」


 まあ、明日からは魔族軍としてしっかりと働か……。


「さっきの話の続きよ」

「へ?」

「アンタのあの時の失礼な態度……」

「うっ……あれは……」

「罰を与えないとね」


 おいおい……何する気だ?

 そう思っていると急に魔王の顔が赤くなり、恥ずかしそうに言いだす。


「あ、明日……城の門に朝早くに来なさい!そこで詳しく話すわ!」

「はあ…分かりました」


 ……なんとなく予想は付くがまあいい。思っていたよりも悪い事では無さそうだ。

 とりあえずその日は明日に備えて早めに寝る事にした。


 デートに遅刻したら失礼だからな。


 

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