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魔王の試練

ヒロイン登場

「さて……透明化しても転移した時の魔力反応で気付かれるなら……堂々と正面突破が逆に無難だな」


 俺は魔王の玉座を目指し、転移した。



「……っ!?」


 お、丁度いい場所だ。俺は上手く魔王の正面で跪くようになった。

 というか王の言っていた事は正しいな。

 その玉座には勿論魔王が座っているのだが……どこからどう見ても美少女にしか見えない。

 どうやら本当に小娘のようだ。


「……人間…あなたは誰?そして何故ここに来たのかしら?」


 俺が転移してきた直後は驚いていたようだが……魔王は表情を厳しいものに変え、静かに聞いてきた。


「……勇者です…魔王様」


 そう言った直後、四方八方から魔法で作られた弾丸みたいな攻撃が飛んできた。

 いきなりか……全く!

 俺は結界を張り、その攻撃を全部防ぎきる。


「あれだけの攻撃を……?」


 誰かが言うがそんな事は気にしてられない……今は!


「魔王様…私は魔族の一員として戦争に加わりたいのです」


 そう言った途端、周りがざわつき始めた。まあ、当然の反応だがな。


「人間の言う事なんか信じるとでも?」

「先ほどの勇者は信じて攻撃したのにですか?」

「くっ……」

「私は味方なのですよ……」


 しばしの沈黙が両者の間に続いたが、最初に話し始めたのは魔王だった。


「…なら、条件をだすわ」

「条件?」

「ここにいる四天王を一人でも倒して見せなさい……もし倒せたなら、あなたが四天王の一員よ」


 ……本気で言ってるのか?いやそれとも部下が負けるはず無いと信じ切っているのか。

 どちらにせよ…俺が四天王になれる嬉しい誤算だ。受けないわけが無い。


「良いでしょう」

「フフッ…決まりね、ルールは一対一でアタシの作った結界内で戦う事、それ以外は好きにしていいわ」

「では魔王様、ここはこのボーギャンに」

「分かったわ」


 ボーギャン……ランティスの直接の上司か……こいつだけ他の四天王と全然違うな……というより魔人じゃないだろ、お前。

 見た目は……二足歩行の太ったリザードマンみたいな感じだな。他の四天王はみんな魔人なのにな。

 

「誰でも良いさ、さっさと始めようか」

「小僧…覚悟しろよ……」


 お互い、睨みあう。

 ちなみに、この結界内は俺と、ボーギャンと、結界維持の為、魔王も居る事になっている。

 

「では……始めっ!」


 魔王の合図でボーギャンが一気に踏み込んで来る。

 ……メタボのくせに速いな。流石は四天王と言ったところか。野生の魔獣共とは明らかに一線を画す実力だってことがわかる……だがな!


「俺に速さは関係ない……!」


 そう言いながら奴の死角に転移し、剣で一撃浴びせる。


「浅いか……」


 鱗に阻まれ、有効なダメージを与えられはしなかったが……まずは先制だ。


「っち!おらあ!」


 ボーギャンは俺に向かって手に持った巨大な斧を振り回す。

 俺はその全てを転移で避け、死角から攻撃していく。


「どうした!?攻撃を当ててみろよ!?」

「……」


 ……?やけに相手の反応が薄いな。もっと焦るもんだと思っていたが……。

 奥の手でも……そもそも奴はこの戦いに集中してるのか?

 結界の外の連中に目を向けると、そいつらもこいつの動きを不審に思って怪訝な顔を浮かべているように見える。

 なんだ?何が目的だ……?さっきから俺への攻撃が緩んでいるような気がする……それにしょっちゅう魔王の方を確認している……まさか……?


 俺の考えは正しかったようだ。


「え?」


 いきなりボーギャンは俺との戦いを放棄して、魔王に斧を構え、踏み込む。


「今の魔王は当てにならん!ここで死ねいっ!」


 裏切り。ボーギャンはこの時を待っていたかもしれない。結界内で…外から邪魔が入らないところで魔王を殺す算段だったのだろう……。


「くそったれが!」


 俺は魔王の目の前へ転移し、彼女を突き飛ばす。

 次の瞬間、ボーギャンの斧が俺の腕を斬り落とす。


「グッ……!?」


 クソ……かなり痛いじゃないか……額からは尋常じゃないくらい汗が溢れ出てる。


「ちょっとアンタ!?大丈夫なの?」

「……魔王様、今は自分を大切に……クッ……」

「クソが!もうすぐで魔王を殺せたはずなのによオ!」

「ボーギャン……まさか……」

「ハッ!お前を純粋に慕っている部下なんざ…他に居るのかね?お前は経験も無い、戦闘力は四天王に劣る……そんな奴が魔王になるより……おれがなった方がマシだろう?」

「そ…そんな……」

「このままこの人間と共に死ね!ククク……アッハッハッハッハッ!」

「言いたい事はそれだけか?」

「あ?」


 俺は立ち上がり、奴を睨みつける。そして、目の前で自分の腕を再生していく様を見せつける。


「なっ……」

「魔王様を殺すんなら……俺を殺してからにしてみろよ」

「この……人間があ!」


 奴は斧を振りおろすが……単調な攻撃パターンだな。まだランティスの方が強いんじゃないか?

 こいつを見てるとただ権力がほしい我がままにしか見えないな。顔通り悪人だよ全く……。


「貴様……本当に人間か?」


 驚くのも無理は無い。今の俺は空中に居て……そして翼が生えているんだからな。能力で作り出したものだが。魔王も一応飛んでいる。このまま地面に居てもしょうがないだろうしな。


「これだけは使いたくは無かったが……」

「あ?貴様…何……を………?」


 奴が言い終わる前に、ボーギャンは倒れた。

 死んだだろう……こいつだけはあまり使いたくは無いな。

 今俺が使ったのは……強制的に相手に死を植え付けるものだ。イメージ次第でどうとでもなるからな。こんな理不尽な使い方もできる。尤も、あまり俺の好きじゃないやり方だ。フェアじゃないからな。

 まあ、こんな力が使える時点で十分フェアではないがな。


「魔王様、試合終了の宣言を」

「……わかったわ、勝者!人間!」


 そういや名乗っていなかったな。


「約束通り、アンタには四天王の座を与えてやるわ、感謝しなさい」


 上から目線だな……。


「それと……」

「ん?」

「さっきは…その……ありがとう……」

「ああ、気にす……」

「いい?私が感謝してあげたのよ?光栄に思いなさい!」


 素直じゃないな……。まあ、顔を見れば分かる。間違いなく俺は魔王に信用されている……これで第一段階は成功だな。


「そこの人間」

「ん?」


 俺に長身の男性が話しかけてきた。確かこいつ……。


「メイを助けてくれた事、感謝する」

「メイって魔王様の事か?」

「ああ、魔王メイラス様だ」


 今こいつはメイと言った。魔王もこう呼ぶ事を許していそうだ。


「オレは四天王の一人、メビウス、一応、魔族一の実力者と言われている」

「ああ、俺は……」


 と言った所で魔王が水晶の前に立ち、演説っぽいのをし始めた。

 確かあれは任意の場所に映像を映す魔法具……その録画機能を持つ水晶だ。


「魔族の民よ、魔王メイラスよ」


 何が始まるか……俺には分かるな。


「今日、悪い知らせと良い知らせを伝えてあげるわ……まず悪い知らせから、ボーギャンが魔族を裏切った……けどそれは解決済みね」


 なら最初から良い知らせだけだろと突っ込みたくなるがここは我慢だ。


「良い知らせは、ボーギャンの代わりに新しい四天王が誕生した事かしらね」


 そう言って彼女は手招きして俺を呼ぶ。


「彼は人間でありながら魔族に協力してくれる……メビウスが表の最強、エースというなら……彼は裏の最強、ジョーカーね」


 どうやら名前が勝手に決ったようだ。しかし格好いい名前だ……別に中二病ではないよな……?


 かくして、魔族内で俺は四天王ジョーカーとして過ごす事になった。

 だが次の日からいきなり、あんな事件に巻き込まれる事を、俺は知る余地も無かった。



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