俺の部隊
「さて、どうします?ジョーカー様」
「何の事だ?」
ランティスが砦に放置されている死体を見ながら俺に話しかける。
「これをゾンビ兵にするのはある魔術を使えば出来るのですが……」
「俺の能力でも出来るんじゃないかと?」
「その通りです」
まあ出来なくは無い。その気になれば無から生命を創りだす事ができるからな。
この前ゴブリンみたいな魔獣をイメージして実際に創ってみたし。
しかもこの場合肉体は用意されてるからイメージしやすい。ただこの死体が動いてる所を思い浮かべれば良いんだからな……どこのホラーだよ。
「じゃ、やってみるか」
早速試してみる。もしかしたら出来ないかもしれないし。
ちなみに死人を生き返らせることは無理だったな……この場合生き返らせるんじゃなくて死体を使った兵士だから問題は無いだろうが。
「さ、どうなる?」
俺は死体が集められてる所に行き、凝視する。
……どうやら上手くいきそうだな。
「……これは……」
「ランティス、普通にやった場合と何か違うか?」
「正規の手段より遥かに効率は良いですね……魔力もあまり消費していないのでしょう?」
「ああ、まあな」
俺は出来上がったゾンビ兵共を見る。中には俺たちが最後の方に仕留めた首なしの死体も居る。
……ここが異世界じゃなかったら確実にビビる光景だぞ。というかここの人間でも流石に死体が動き出すのを見たらビビるだろ。
「一応洗脳の魔法も俺の能力で掛けておいた……無いと勝手に行動するんだろ?」
「はい、抜かりは無いようですね」
まあこれで俺に部下が出来たわけだ……部下というよりはただの忠実な戦力だが。
……俺はゾンビ兵共に向かって言う。
「よし!お前らにはここの防衛、意地を任せる……もし敵対勢力がやってきたら全力で排除するんだ」
ゾンビ兵共は俺に顔を向けた後、砦のあちらこちらに散らばって行った。
恐らくは配置に着いたとかそんなんだろう。
「さて、一応魔王城に戻る前に街に寄ってくか」
俺たちは街へと飛んでいった。
「お、ジョーカーさんお帰りっす」
「ああ、ただいまだな」
「死体はゾンビ兵にしたんっすか?早いっすね?もしかして能力っすか?いいっすよね~便利っすよね~」
ああ、すごく便利すぎる能力だ。マジックイマジネーションは。
弱点としては魔法を無効化する結界とかには効かないということ。またそういう結界など魔法に干渉するものはイメージで創りだせない。あとは死人を復活させることくらいか……もしかしたらまだあるか?
ああ、他の魔法が使えないんだったな。まあこれで十分すぎるくらいの代わりにはなっているが。
「そうそう、魔王城に帰るんっすよね?」
「ああ、そうだが?」
「魔王様に怒られる事覚悟した方がいいっすよ?」
「……ああ、あまり考えたくは無いがな……そもそも別に付き合ってるわけじゃないんだが……」
昨日の事だ。まさかクインティーがあんな醜態を晒すとは俺も思わなかったぞ。
というか、浮気がばれた雰囲気みたいになっているが別に俺メイと付き合って無いよな……フラグは立ってるけど。あ、今の考え自意識過剰すぎて恥ずかしくなってきた。
そう言えばクインティーの姿が見えないようだが……。
「というかクインティーはどこだ?」
「いや、実はっすね……」
あー、なんとなく分かった。多分昨日の事を全部覚えていて恥ずかしくなって部屋に閉じこもったとかそんなんだろう。
「昨日あれからおれの部屋でヤってっすね……」
……予想の斜め上の展開だぞ!?というか酔ってる勢いで手を出すなんてどこのバカだ。
「お前な……」
「まあそれは冗談っす」
「冗談かよ!?」
一瞬マジで引きかけたぞおい!
「まあ彼女は恥ずかしがって部屋に閉じこもってるっす」
「やっぱりそうだったんじゃないか……」
「まあ……もし実際に付き合うならもっと真剣に考えるっすよ」
「……そうか」
今、こいつにしては珍しく真剣な表情だったな。ちゃんとクインティーの事を思ってはいるんだろうな。
だがすぐいつもの表情に戻り、恐らく本題を言ってきた。
「そうそう、ジョーカーさんに魔王様へ伝言を頼むっす」
「何だ?しょうもない事じゃないだろうな?」
「真面目な話っすよ……おれたちの部隊はこの街の管理、防衛をするから暫くは帰らないと言っておいてくれっす…もちろん会議とかには出席するっすから安心すると良いっす」
「ああ、分かったよ」
ちゃんと物事を考えてるんだか考えて無いんだがよく分からん奴だ……。
「じゃ、帰るか…ランティス、行くぞ」
「分かりました」
俺たちは魔王城まで転移した。
俺が指定した場所は玉座……いつもここに居るからな。
案の定そこに彼女は居た……うんその顔は怒ってますね、はい。
「ジョーカー……いえカズマ?聞きたい事があるのだけれど?」
「ジョーカー様、私は下がっておきます」
「おい!逃げ…」
「では、頑張ってください!」
ランティス貴様ああ!
「さあ、カズマ?昨日クインティーと何があったのかしら?」
「ナニでしょうね」
そう言った途端俺の真横に雷が落ちてきた……危ないぞ。
「ふざけないで!」
「……メイ、何でそんな事を聞くんだ?」
「そ、それは……」
「別に夫婦でも恋人同士でも無いんだからさ、そう言う事を聞くのは自然じゃないんじゃないか?」
「うっ……」
「まあ?俺の事がす……」
そう言おうとしたらまた雷が落ちた……だから危ないだろ!
「べ、別にアンタの事なんて好きなんかじゃないんだからね!?」
ツンデレ乙……まあからかうのはこれくらいにしておくか。何か今にも泣きそうだし。
「まあ安心しろ、昨日はクインティーが酒に酔ってやったことだ……それにすぐジャックの方に行ったから俺とは何も無いぞ」
「そ、そういうのは先に言っておきなさいよ……」
「悪いな、しかし見ただけで安心したと分かるな……そんなにお……」
またもや雷が……だから危ないだろって言ってんだろうが!いや、思ってるだけで言ってはないけど!
「別にアンタの事なんか好きなんかじゃないんだからね!?」
それさっきも聞いた。ああ、仕事の報告がまだだったな……というかそれが先の筈だろうが……。
「メイ、仕事だがゾンビ兵を作って砦の維持、防衛を任せてるが大丈夫だよな?」
「……もしかしてアンタの能力?」
「やっぱ分かりますか?」
「本当は死体を魔王城まで運び入れないといけないわ」
たしかにそれは手間が掛かる。俺の能力は本当に効率が良いようだ。
「それともう一つ」
「ジャックのことかしら?」
「ああ、街に残って管理と防衛をするってさ」
「ええ、分かったわ」
さて、そろそろ俺は部屋に……。
「カズマ」
「ん?」
「アンタの今回の働きを見込んでお願いがあるわ」
「何だ?またどっかの砦とか落とすのか?」
「そうよ」
やれやれ、あまり俺に頼るなと言いたいとこだがメイの頼みだ。拒否という選択肢は俺の頭には無い。
「ああ、いいぞ……お前からの頼みだしな」
「えっ?あ……うん……」
前々から思っていたがこいつチョロインなんじゃないか?確かに今の俺かっこつけた声で言ったが何ときめいちゃってるんだよ……というかその表情可愛いなおい。
「じゃ、俺疲れたから自室に戻るな」
「……待って」
「まだ何かあるのか?」
さすがにそろそろ休みたいんだがな……いや、メイも察してはいるのか申し訳ない表情になっているな……そんな表情は見たくないな……よし。
「大丈夫だ、しつこいなとか思って無いから」
「……あの」
そう言ってメイは手を差し出す。
「……?」
「あ、握手よ!握手!その…仲間に迎え入れた時やってなかったから……だから……」
そういうことか……。律儀だな。いや、俺と触れ合いたいだけか?
「……ああ、改めてだが、これからよろしくな、メイ」
「ええ、こちらこそ、カズマ」
そう言って俺とメイは握手を交わした。




