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魔法学校の中の刀使い  作者: シェイフォン
第二章 我が道を行く
22/29

引き抜き 1

「ちょっとごめん、うちの委員長が御神楽君に話があるのだけど良いかな?」


「ごめん、今日は用事があるんだ」


 もう何回目かになるか分からない勧誘を断る。


 魔力を取り戻し、進級試験を合格した当初も派閥に対する誘いが多数あったけど現在はそれと変わらないぐらい増えている。


 どうしてこの時期になって勧誘が増えたのか考えていると。


「それはね、圭一君」


「さよなら」


 呼んでもいない南条会長が現れたので踵を返す。


「ちょっ、ちょっと圭一君!?」


 まさか僕が話すらさせないとは思わなかったのだろう。


背中から慌てた声音が聞こえてくる。


「何も言わずに去るなんて酷すぎない?」


「お生憎様、南条会長が何を言うかなんて見当がついている」


 そう言いながら僕はスタスタと足早にこの場を離脱しようとする。


 大方勧誘だろう。


 今は食傷気味だから聞きたくない。


「仕方ないわねぇ」


 そんなため息の後に南条会長が続いて。


『夢宮学園生徒会長の名において命ずる。夢宮学園一生徒ーー御神楽圭一、止まりなさい』


 その言葉が聞こえたと同時に僕の足が糊で接着されたかのように動かなくなる。


「参ったね、これは」


 この事態に僕は頭をかいて苦笑した。


 南条会長の魔法ーー“鶴の一声”


 自分の肩書が相手より上の場合、相手の言動をある程度制限出来る魔法。


 両者の身分の差が大きいほど魔法の効果が上がるという厄介極まりなかった。


 まあ、それでも


「ふんっ」


 僕と南条会長の魔力の差が大きいので、足に多少魔力を込めれば支配から解き放つことができた。


「あらら、力技で?」


「“終焉の斬撃”を使う手間が惜しかったからね」


 魔法は魔力の他に精神力や集中力も使用しなければならなかったので、面倒臭かった。


 簡単かつ楽な方法がある時はそっちを選択するのが人間だろう。


「と、いうわけで」


「だからその行動は酷すぎない!?」


 そのまま去ろうとする僕にかけられる声。


 何だよ、今日はしつこいな。


「で、何の用?」


 普段ならこのまま去るところなのだけど、今回は僕の直感が働いたので足を止める。


 僕は勘に従って行動を決める派なんだ。


「ああ、やっと私の想いが通じたのね。圭一君、あなたには副会長というポストをーー」


「バイバイ」


 たまには直感に逆らう時もあるさ。


「ごめんごめん! 冗談! ほんのジョークだから!」


「南条会長のジョークは笑えないんだよ」


 僕はボヤきながら振り返る。


 勧誘の類いは絶対にジョークで無いだろう。


 あれが演技だとすればもう南条会長は演劇の世界で生きていくべきだな。


「で、重ねて聞くが僕に何の用だ?」


 サッサと本題に入れとばかりに腕を組んでそう尋ねると。


「ンッフッフ、それはねぇ……」


 いつものように不敵な笑みを浮かべながら本題を切り出そうとしたのだけど、突然ハッと口を抑え、左右に目を走らせながら。


「ここで話すのは不味いわ、だから生徒会室に来て」


 そう僕に囁いた南条会長は踵を返す。


「万が一誰かの耳に入って計画が台無しにされるわけにはいかないのよ」


 南条会長はそう言い繕うが実際はやってみたかっただけだろう。


 一体どこの誰が生徒会長一人しかない生徒会が大それたことをやらかすと思うのか。


「南条会長、忠告だけど高望みは止めた方が良いよ」


 生徒会役員になりたい生徒はいるものの、彼らは南条会長の求める基準に達していないため落としている。


「愚鈍な味方は賢い敵より遥かに恐ろしいのよ」


 そういう信念は立派だがもう少し現実を見ようか。


 僕が業務を手伝っていなければとっくの昔に生徒会の機能は麻痺していたぞ。


「……まあ、言っても聞かないだろうな」


 南条会長の性格を考えた僕はそうため息を漏らした。

明日は宿泊研修のため投稿出来ないことをお伝えします。



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