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魔法学校の中の刀使い  作者: シェイフォン
第二章 我が道を行く
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食堂 後編

呼び名が少々変わります。

「先輩、一つ聞いても良いですか?」


「どうぞ、立花さん」


 お互い昼食を食べ終わり、お茶でも飲みながらまったりしているとそんな声がかけられる。


「前から気になっていたのですが、そのさん付けを止めてもらえませんか?」


「ん? どういうことかな?」


 質問の意図が掴めなかった僕はその真意を聞いてみる。


「私達は先輩に他人行儀で接されるのが嫌なんです」


 立花さんは続けて。


「私達は二度も先輩に助けてもらったじゃないですか。私達からすれば命の恩人なのに先輩から見れば救った人の内の一つでしかない。それって不公平だと思いません?」


 何が不公平なのか分からないな。


 僕はそう言いたかったけど、それより先に立花さんは続けて。


「だから今後私のことを柚、そして仙道さんのことを千華と呼んであげれませんか?」


 僕はこの申し出をどう受け取るべきなのだろう。


 後輩が出来るというのは嬉しいが、果たしてそれを素直に受け取って良いものなのだろうか。


 もしかしたらこれが原因でまた魔力を失う様な失態を犯すかもしれない。


 と、いった葛藤に悩んでいると、立花さんは机を両手で叩いて。


「何を悩んでいるのですか! ここは先輩としての度量を見せるために快くOKするべきでしょう!」


 そういってズイと顔を詰め寄らせてくる立花さん。


 鼻と鼻がひっつきそうなほど接近しているので、立花さんの瞳の形も良く見える。


 その瞳から発する光は一片の逡巡も無ければ迷いもない。


 ただ、己を信じて進んできた者のみが宿すことが出来る光だった。


「分かったよ」


 僕は顔を離しながらそう答える。


「柚、そして千華。よろしくな」


 観念したとばかりにそう二人の名を呼ぶと。


「はい、先輩」


「ありがとうございます御神楽先輩」


 と、言った答えが返ってきた。


「やれやれ」


 柚の小さな体に宿る底なしのエネルギーと超ポジティブな性格。


 これは本当に強力な武器だな。


 ニコニコと笑ってる柚を見やりながら僕はそんなことを考えた。




「どうして御神楽先輩は風紀委員を辞めたのですか?」


 千華の質問で一瞬詰まってしまったのは仕方のないことだろう。


 僕は平静を取り戻すために茶を口に含む。


「……そうだな、強いて挙げれば合わなかったからだね」


 これは本当。


 馴れ合うと僕は弱くなってしまうので風紀委員を始めとした組織に属するのは得策でない。


 なので僕が取る道は、誰からも一目置かれる存在へと成長することが必須だった。


「そんな! じゃあ私は何のために風紀委員へ入ったのですか!?」


 突然千華がいきり立って抗議する。


「私も柚ちゃんも御神楽先輩に会いたいがために夢宮学園に入学し、風紀委員に入ったのに!」


「ち、千華ちゃん」


 柚が顔を真っ赤にしながら千華の袖を引っ張っている。


 驚いた。


 柚はともかく、千華が激高するとは思わなかった。


 普段は大人しめだけど、何か自分の癪に触ることがあれば喰って掛かってくる。


……南条会長に似ているな。


 今頃はクシャミでもしているかもしれない。


「あ、申し訳ありません」


 そんなことを考えていると、自分が何を言っているのか気づいた千華は顔を真っ赤にして謝る。


「申し訳ありません、先輩に対して無礼な口を聞いてしまいまして」


「あ〜、気にしなくて良い」


 律儀に頭を下げる千華に対して僕は手を振りながら。


「無礼度で言うと立花さんの方が上だし」


「私!?」


 突然話題を振られた柚は驚きに目を丸くする。


「と、まあ場を解す冗談はここまでにしておいて」


 僕は手を叩きながらそう述べた後に。


「僕は風紀委員を辞めた身だけど、君達を見捨てた訳じゃない」


 そう述べながら僕はメモ用氏を取り出してシャーペンを走らせる。


「まあ、何かあったらこのアドレスに掛けてくれ」


 そう言って渡す英語とアラビア語の羅列。


 そのメモ用紙に記してあるのが僕の電話番号とメルアドだった。


「先輩、そんな面倒臭いことをしなくても赤外線通信がーー」


 柚が笑いながらポケットから何かを取り出そうとするけど。


「柚ちゃん! 学園内は携帯禁止!」


「あ……」


 千華の制止によって最悪の事態は避けられた。


 秩序の番人である風紀委員が校則を破ると大変なことになるからな。

さて、次はどう話を進めましょうか。

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