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魔法学校の中の刀使い  作者: シェイフォン
1章 彷徨う者
17/29

決着

小説の難しさを改めて感じます。

 真剣同士の斬り合いの場合、竹刀の間合いから一歩ほど離れる。


 互いの獲物が触れるか触れないかの距離で先を読み合うという息を詰まるような展開。


 それが一般的なのだけど、魔法という存在がその概念を打ち崩す。


 何故なら、“飛翔する刃”という飛び道具があるゆえに座していると的になってしまうからだった。


「それ!」


「っ」


 去年の僕が放ってくる飛翔する刃に同じ技をぶつけて相殺する。


 魔力量も力も僕の方が上なので、同等の大きさだとこちらに分があった。


 しかし、だからといって僕が優勢なわけではない。


「ほらほら、次いくよ」


「くっ」


 去年の僕による変幻自在な動きに惑わされて後手に回ってしまっていた。


「自分のことながらうっとおしいな」


 主導権を握れない僕は思わずそう毒づく。


「今の僕が固過ぎるんだよ。それだと先を読んで下さいと言っているね」


 まさか去年の僕からそう諭されるとはな。


 風紀委員、神崎さんとの出会いそして根源の自覚等様々な経験を得て強くなったと思っていたが、代わりに失ってしまったものもあったとは。


「懐がお留守になっているね」


「っ!」


 間一髪間に合い、刀を横へ一閃させて追い払う。


 切っ先が目の数センチ先を通過したはずなのに去年の僕は瞳の揺れすら見せなかった。


「……怖くないのか?」


 小休止がてら僕は尋ねる。


「これは死合い。下手をすれば命すら落とす危険性があるのに、去年の僕からは躊躇いが感じない」


 いくら関係ないと言ってもやはり生命。


 危険に対してはそれなりの対応をするはずなのだが。


「うーん、そうだね。多分僕はどうでも良いからだと思う」


「どうでも良い?」


「そう、僕は今ここで死んでも構わない。生きることに執着していないから例え刀を向けられても特段変な感情を抱かないね」


 それは嘘だと願いたい。


 もし僕が心の底からそう願っているのなら今の僕は一体何なのか。


 どうして僕は生に執着しているのだろうか。


 何が僕をここまで変えてしまったのかという疑問に対して答えが出たのは、去年の僕がポツリと呟いた言葉だった。


「まあ、僕は誰かに必要とされていないからね」


 ああ、そうか。


 その言葉で氷解する。


 僕は必要と認識されたから変わったんだな。


 振り返って考えてみても、中学時代まで僕は誰かに必要とされたことが無かった。


 大抵のことは一人で出来てしまうので仲間と力を合わせるという行為をしてこなかった。


 それゆえに僕は全てがどうでも良く感じ、去年の僕の様にふわふわと中身が無いのだろう。


「……次で決める」


 僕は刀を握り直す。


「終焉の斬撃――これで魔法ごと叩き斬る」


 中身が無い去年の僕を組み伏せても、心の底から負けを認めることはない。


 だったら宮坂先生の魔法を強制的に解除して終わらせる。


 その方法でも試験に合格になるので僕はそちらを選ぶ。


「……良い眼だね」


 僕と対峙する構えを取った去年の僕はそう称賛する。


「その覚悟を決めた表情。自分のことながら羨ましいよ」


「それはありがとう」


 じりじりと間合いを詰めながら僕は笑う。


「しかし、正々堂々と戦って大丈夫なのか? 力も魔力も僕の方が上だからそちらの方が不利だと思うが」


 僕のその懸念に去年の僕は笑いながら。


「ん~、確かにその通りだけど。もう僕の魔力はほぼ尽きかけていてね。だから一騎打ちしてくれた方がありがたいな」


「なるほどな」


 あれだけの動きをしていれば消費も相当なものだろう。


 お茶らけているように見えたが、結構計算していたんだな。


「もしかすると必要以上の僕を煽っていたのもそれが原因か?」


「うん、もちろん」


 正解といわんばかりに笑う去年の僕を見て確信する。


 訂正しよう。


 去年の僕は常識知らずでも嫌な奴でもない。


 本当は煮ても焼いても食えない奴だ。

最初の頃は小説を書くのが楽しくて仕方なかったんだけどなあ。

何時の間にか半ば義務となっています。

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