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魔法学校の中の刀使い  作者: シェイフォン
1章 彷徨う者
12/29

裏路地 前編

今回は短めです。

「最近ため息が多いよな」


 帰宅時。


 夢宮学園に背を向けながら歩いている僕はそんな言葉を漏らす。


「どうしてだろう。忙しくないはずなのに疲れている」


 毎日七時近くまで活動していたあの頃の方が生き生きとしていた覚えがあった。


「やれやれ、魔力と一緒に気力まで失ったのかねえ」


 現在時刻は午後四時半。


 寮にいられなくなった僕は新たに借りた家へと向かっている。


 一軒家に僕一人が住むのはおかしいと考えたのだけど、両親曰く来年から妹の明がこの近くの普通の高校に通う予定なので問題ないらしい。


「明に一人暮らしはまだ早い」


 と父の言葉に僕は過保護ではないかと一瞬浮かんだのは内緒である。


「まあ、それ以上に両親が僕は来年も夢宮学園に通っていることを当たり前に信じていることの方が驚きだよ」


 来年どころか来週学園に在籍していることさえ危ういんだけど、両親にとっては問題ないらしい。


 当事者である僕にとっては不安で不安で仕方ないのに。


「どうしてそんなに楽観的なのか教えてほしかったな」


 肩にかけた鞄の重みを感じながら僕はそんなことを呟いた。




 夢宮学園を中心とした区画には大学や寮施設などの教育関係機関が存在し、その外にゲームセンターや飲食店など歓楽区域、そして最も外側に居住区域が並んである。


 そうなったのはここら辺一体の地主および開発責任者の夢宮家が決めたことだから考えても仕方ないだろう。


 ただ、それでも言えるのは、夢宮家の誰かが目論んだことは大成功を収めたということだな。


 東京の端っことして寂れていた八王子は新宿に匹敵する知名度と利益を得ることができたのだから。


 そんなことを考えながら歩くこと数分。


 歓楽区域にさしかかった僕はある裏道が目に入り、足を止める。


「……またか」


 どうやらまた何かいざこざが起きているらしい。


 こういう嫌な予感が外れた試しがない。


「放っておこうかな」


 魔力があった風紀委員時代は文句を言いながらもその路地に入っていたのだけど、今の僕は風紀委員でないだけでなく力も大幅に弱体化している。


 なので止めに入るよりか警察か風紀委員でも呼ぼうかと考えてしまうけど。


「まあ、いいか」


 僕が止められないほど大きな事件ならさっさと警察にでも連絡しているだろう。


 そうせずに自分で助けられるか考えている時点で僕の手におえると捉えて間違いはないな。


「魔力を取り戻す切っ掛けとなってくれることを望もうかな」


 僕はそう自分を奮い立たせてその裏路地へと足を向けた。


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