登場人物紹介
ここは『魔法学校の中の刀使い』に登場する人物の紹介です。
ネタばれが多大に含まれているのでご注意ください。
御神楽圭一
魔法使い
媒体 刀
夢宮学園2年生 生徒会庶務
容姿・容貌
圭一の成長は14歳で止まってしまったのか、本人の実力とは裏腹にあどけない顔と体型をしている。身長は160cmもないなど、男子としては小さい部類に入るのだが、圭一本人は自分の容姿にさほど興味を持っておらず、背の小ささや童顔等を指摘されても何とも思わない。が、上級生から頭を撫でられたり抱き付かれたりされることを煩わしいと感じている。
略歴
埼玉の片田舎にある剣道場には御神楽一刀流の師範である御神楽藤一郎とその妻である御神楽弥生、そして妹である御神楽明の4人家族の嫡男として生を受ける。
天才肌だった圭一は万事そつなくこなし、勉強でもスポーツでも魔法でも常にトップを取るなど神童の道を歩んでいた。その飲み込みの早さから大して苦労もせずに過ごしてきたせいか、あらゆる事柄に対して興味が薄いことを心配した両親は学校からの推薦もあり、日本中の魔法使いの天才が集まるとされる夢宮学園を受験して合格を勝ち取る。そして旅立ち前夜、圭一は御神楽家の家宝である刀――千変万化を受け取った。
夢宮学園に入学した圭一は習ってきた武を生かすために風紀委員会へ入る。ちなみに剣道部に入らなかったのはそれほど剣というものに興味が無かったからである。
風紀委員となった圭一は持ち前の天賦の才から、めきめきと頭角を現して上級生からも一目置かれるようになる。そして1ヶ月が経ったある日、圭一の前に神崎紅音と名乗る人物が現れた。
圭一が風紀委員に入ったのは単に自分が磨いてきた剣を寂させるのが惜しかったからであり、それ以上でも以下でもない。逆に紅音は悪を滅し、正義を実現させる目的で風紀委員に入ったことゆえに、意識の違いから2人はしばしば罪人の取り扱いについて争うことになるが、口ではを否定しあいながらも本心ではお互いの力量を認めているので不倶戴天の大敵にはならず、ライバルとして切磋琢磨し合うようになった。
圭一が魔力を失ったのは1月。かねてから紅音の過激な制裁に対して恨みを抱いていた連中から依頼を受けた黒羽紳弥によって完膚なきまでに負けてしまう。圭一と紅音がいくら強いと言ってもそれは学園内であり、外の魔法使いには敵わなかった。
そこで終わったのなら単に調子に乗った1年が天狗の鼻をへし折られたという事象で済んだのだが、依頼した連中が紅音の美しさに目を付けて襲おうとする。圭一が紅音と過ごした期間は1年も経っていないが、紅音のエネルギッシュな様子に憧れとその裏に微かな恋心を抱いていた圭一はこの後行われる惨劇を想像して発狂し、因果を切る魔法を使う。その魔法のおかげで因果が捻じれ、紅音が襲われる未来は無くなったものの、その代償として圭一は魔力の大部分を失ってしまった。
夢宮学園において魔法ないし魔力というのは全てにおいて優先されるので、魔力のほとんどを失った圭一の立場はそれまでと一転して最悪に近いものとなる。クラスメイトはおろか教師達までも手のひらを返し、挙句の果てには自分が助けた紅音からの冷たい態度にはさすがの圭一も堪え、退学して実家に戻りたいと願うようになった。そしてその旨を父の藤一郎に伝えると、圭一の言葉に賛成するどころか「卒業しなかったら勘当だ。今帰ってきてもお前に住む場所は無い」と突き放される。そのあまりの言葉に圭一は生涯で初めてとなる挫折を味わうこととなった。
圭一は寮で生活をしていたのだが、寮生の視線が厳しくなったので退寮し、来年から夢宮学園の近くにある別の高校に通う妹共に生活するということで一軒家を借りている。
能力
先天的に勘が異様に鋭く、直感に従って行動した場合においてはまず外れがない。また長年武道を嗜んできたゆえか一対一の模擬選ならば負け知らず、一体多数であっても魔法無しならば十分勝機がある。
終焉の斬撃……精神を刀に集中させて発動する魔法。有効射程距離は刀身までだが、刀に触れた魔法・物体問わず斬ることが可能。今の御神楽が使える唯一の魔法である。
飛翔する刃……終焉の斬撃をカマイタチのように飛ばす魔法。有効射程距離は決まっていないが、距離に比例して威力や速度が落ちる。現在使用不可。
地獄の借金取り……どんな障害物があろうと距離が離れようと一度放った終焉の斬撃は対象者に当たるまで止まらない。しかし、威力や速度は期待できない。現在使用不可。
因果の破壊……過去の原因による未来の結果を捻じ曲げる魔法。
人柄
基本的に何でも1人でこなすことが出来る。妹の明との暮らしにおいても帳簿から炊事洗濯等家事のあらゆることは圭一の領分に入っている。その万能性ゆえか他人を必要としない生活を送ってきたので基本的に1人でいることが多いが、決して人間嫌いでなく尋ねられたらきちんと受け答えが出来る程度のコミュニケーション能力は持ち合わせている。
神崎紅音
魔法使い
媒体 炎
夢宮学園2年性 風紀委員長
容姿・容貌
腰まである髪をポニーテールに纏め、背は180㎝と女子の中では学園一高い。御神楽と違って制服を見事に着こなし、ひざ下まであるスカートからスラリと覗く足が印象的である。そしてスカートの上部が御神楽の胸の高さまであるのに加え、全体的に細いスレンダーな体躯からそこら辺のモデルよりモデルらしい。
略歴
東京都にある地主、十坂勇太とその妻の旧姓神崎優子の1人娘として生を受ける。地方よりとはいえ東京都の土地を多大に持っていたこともあり、裕福な暮らしを送っていたのだが、ある時に父が友人によって騙されて土地と財産を失うことになる。借金取りからの追い立てによって父は失踪、母もノイローゼにかかってしまい一家は離散、紅音は母の祖母に引き取られることとなった。
それ以来紅音は悪に対して憎むようになり、将来は警察官になることを志す。そしてそのような壮絶な過去と感情ゆえか紅音の魔法の才能は開花し、炎を自在に操る魔法使いとなった。
警察官になるなら学歴と実力が必要という祖母の勧めによって紅音は夢宮学園に入学、風紀委員に入り学園の治安を乱す生徒を悪と決め付け、例え上級生であろうとも容赦無く処罰した。
紅音と圭一との出会いは風紀委員に入ってからの顔合わせ時、その時紅音は他の新入風紀委員と同じ圭一のやる気のない態度から記憶に留めていなかったが、日が経つごとに圭一の非凡さに気付いて興味を持ち始める。そして1ヶ月が経ったある日、紅音は圭一に話しかけた。
紅音からすると圭一は自分と同等の実力を持ちながらも、事なかれ主義で済まそうとするので腹が立つことこの上なかったので、紅音は普段から圭一に突っかかるようになった。
紅音がどんなに悪を滅するために力を使うことを力説しても圭一には届かず、苛々することもあったが、圭一は感情でなく筋道を立てて理路整然と反論するため唸ざるを得ない場面も多々あった。
圭一にとっては不本意だが、周りからの評判によると紅音は圭一と組むと大人しくなり、例え一線を越えそうになっても圭一が傍にいるなら止めることが出来るらしいので、よく2人で組むことが多くなった。紅音からすれば自分と対等な立場にいる圭一と共にいるのは満更でもないので、組み合わせの不自然さに反対をしなかった。
そして1月のある日。事件が起こり、圭一はその魔力を失ってしまう。
当事者である紅音は圭一の事情を知っているにも拘らず辛く当たるのは、今の圭一を見ていると昔の不甲斐無い自分と重なってしまうことと、これ以上夢宮学園にいても辛いだけだから早く退学した方が良いという2つの理由があった。そしてあの日以来、紅音はさらに強くなることを求め、日々魔力の底上げと練習を行っている。
能力
特筆すべきはその圧倒的な攻撃力。例え水だろうが土だろうが紅音の炎を止めることは出来ず、夢宮学園において紅音の右に出る者はいない。
真っ赤な蒲公英……小指の先ほどからサッカーボールサイズまでの大きさの火球を出現させる。威力や速射性と連射性そして燃費に幅があるので紅音は場面に応じて臨機応変にこの魔法を使う。
地獄に咲く向日葵……1月の事件から必死に努力して習得した魔法。基本的には真っ赤な蒲公英と同じだがその性質は凶悪になっており、一度発動すれば対象を焼き尽くすか込められた魔力を使い切らない限り紅音であっても止めることはできない。
人柄
面倒見の良い姉御肌に加え、敵には容赦の欠片すら与えないので畏怖と尊敬の対象となっている。また、その性格と容姿ゆえに非公式のファンクラブができているとか。
また、悪に対して異様な執着を持っており、滅するためならば法に触れる行為も辞さない過激な一面を持っている。
立花柚
魔法使い
媒体 槍
夢宮学園1年生 風紀委員
容姿・容貌
肩にかかる程度に伸ばした髪と一般人より大きい瞳。背は150前後、ボディラインの起伏が無く寸胴体型であることから未だ第二次成長は始まっていないが、その快活な喋りと心底嬉しそうな笑顔から老若男女問わず人気が高い。
略歴
東京都出身。父の立花隆二は仙道千華の父が社長を務める貿易会社のサラリーマン、母の満子は専業主婦、姉の美鈴は普通の大学1年というごく普通の4人家族。
年の近い姉がいたせいか柚は負けん気が強く、特に幼少時は何に対してでも美鈴に突っかかっていた。三つ子の魂百までというように小学、中学へと進級しても特攻する性癖は変わらずむしろその傾向が強くなっていた。しかし、柚はそのエネルギーを発揮させる場所というのを弁えており、自分が率先して動いていたので教師からの評判が良く、皆からも慕われていたので児童代表や生徒会長を務めていた。
仙道千華と出会ったのは中学の時。前の学校による苛めによって不登校となり、1年遅れていた彼女の友達になってほしいと親から頼まれたことがきっかけで知り合い、2人は気が合うのか共にいることが多くなった。
そして中学3年の10月、ちょっとした好奇心から千華が止めるにも拘らず裏路地に入り込んだ結果、達の悪い連中に目を付けられてしまう。柚は魔法で撃退しようとしたが、手元に媒体となる槍が無いのと向こうの数が多すぎたので絶体絶命となってしまう。しかし、そこで現れたのが圭一と紅音。あっという間に不良を片付けた紅音と自分達に優しく手を差し伸べてくれた圭一に憧れを抱き、大して興味を持っていなかった夢宮学園に入学したいと願うようになった。
柚の成績は下の上と下から数えた方が早い順位に降り、夢宮学園に入学する基準には全然達していない。そこで昼夜を徹して勉強を続け、学年首席だった千華の助けも得て柚は念願の夢宮学園に入学した。
しかし、希望に満ち溢れていた柚に待ち受けていたのは魔力を失って落ちぶれた圭一とそれを忌み嫌う紅音の姿だった。出会った当初と180度違うギスギスした2人の関係にショックを受けるも、持ち前のポジティブ思考によって圭一と紅音が元の関係に戻るよう働きかける。
柚のお節介に圭一でさえ苛立ちを覚えるが柚自身は気にしない。何故なら柚は努力さえ継続すれば必ず報われると信じているがゆえにずっとアプローチを続ける。
能力
性格ゆえか相手に突撃していく魔法を使う。
巨人の突進……槍を構え、相手に突撃する。その威力は距離×速度×魔力で計算され、最大限にまで溜めた破壊力は想像を絶する光景を生み出す。しかし、その特性ゆえに相手に攻撃が見切られやすく、対人相手に使用する際は誰かのサポートが必要。
人柄・性格
一言で言うと猪突猛進。自他共に認める永久機関の持ち主で、その溢れんばかりのバイタリティ故に2日間ぶっ通しで作業しても倒れない。
柚は自分を天才でなく努力家だと捉えており、自分が他人より優れているのは単に物事にかける情熱と時間が違うところだけだと考えている。ただ、そのせいか柚は努力すれば不可能な事柄なんてないと考えている節があり、時折それを他人に強要させることが玉に瑕。
仙道千華
魔法使い
媒体 髪の毛
夢宮学園1年 風紀委員
容姿・容貌
髪をストレートに腰まで伸ばし、背は柚より高く、圭一より低い程度。前髪が瞳を完全に隠しているので根暗な文学少女という表現がしっくりくる。前髪を払いのけると目が綺麗な美少女なのだが、いつもおどおどと自信なさ気な様子なので大多数の人は気付いていない。
略歴
神奈川県横浜市の貿易商を営む仙道裕也とその妻である仙道立夏との間で生まれた千華は両親が多忙なせいか滅多に構ってもらえず、いつも1人で過ごしていた。たまに遊んでもらえる時もあったが、2人は躾に厳しいので怒られることを恐れていた幼い千華は感情を表に出す機会が少なかった。
そのためか幼稚園でも小学校でも人の輪から外れてポツンと過ごすことが多く、教室の隅で目立たないよう息を潜めて過ごす毎日だった。
しかし、中学へ進級時、成績の良かった千華は苛めの対象となりそれが原因で不登校となってしまう。厳しい両親といえどもさすがに娘が学校に行かなくなったのは不味いと考え、学校へ行くよう様々な手を打つが全て失敗に終わる。そして途方にくれた両親が出した信頼している部下の立花隆二の娘が通う学校に通わせ、千華を見守ってもらうとのことだった。
柚が陽なら千華は陰、水と油の様な性格の2人が一緒になれるかと千華の両親は不安に思ったがそれは杞憂に終わる。柚の明るい性格によって千華も徐々に本心を打ち明け始め、途中で大きな喧嘩が何度もあったものの、雨降って地固まるというべきか今では大親友となっている。
10月の事件で紅音の暴走を止めた圭一に一目惚れをし、彼に対する執着は柚以上である。そのため柚が夢宮学園に入学したいと申し出があった時も快く家庭教師を引き受けた。そして2人揃って夢宮学園に入学し、柚と圭一の3人で学園を楽しく過ごそうかと考えた際圭一が風紀委員をやめたことを知り、千華は柚と共に圭一が元に戻る方法を模索する。
能力
千華の役目は柚の後方支援で、柚が圭一の更生を挫けそうになったり変な方向へ行きそうな時になれば魔法で軌道を修正している。
魔女の気まぐれ……千華の髪の毛に触れている人物の感情の方向性を本人が気付かない範囲で変更する。例えばある人がリンゴが嫌いだとるするとそれをリンゴの赤い色が嫌いであり、青リンゴならOKという風に錯覚させることが出来る。本人が気付かない範囲ならいくらでも変更が出来るので、どの程度効くのかは人によって千差万別である。ちなみに単純な人間ほどかかり易い。
性格・人柄
いつも柚の後ろで隠れ、自信なさ気でおどおどしている。そして口調も早く消え入りそうなので大抵の人は千華が何を言ったのか分からない。そのような事柄から物静かで人畜無害な印象を与えるが、内心は嫉妬深く、独占欲が人一倍強いので恨みを持たれたらこれほど面倒なタイプはいない。
南条香恋
魔法使い
媒体 権力
夢宮学園2年 生徒会長
容姿・容貌
身長は紅音に及ばなくとも170cmと高い。ウェーブ状の髪を肩付近にまで伸ばし、妖しい瞳と怖く敵な唇に加えて肢体のメリハリが日本人離れし、特に胸は制服の上からでも主張しており紅音とは違った意味での高校生離れの肉体をしている。
略歴
元華族の国内有数の名家である北条の分家――南条家の妾の子として生を受ける。閉鎖された上流階級に加え、妾の子という立場から幼少時代から本家や正妻の子から屈辱を受け続けてきたので権力に対する渇望は人一倍強い。
中学時から自分は影のフィクサーとして君臨することを目指しており、本気を出せばいつでも1位を取ることが出来るのに目立って因縁を付けられることを避けるために成績は上の下の座に甘んじていた。
しかし、それが同級生ならともかく長い間毒蛇の住み処を渡り歩いてきた長老の目を誤魔化せられる筈もなく、高校受験の際に香恋は本家に呼び出されて夢宮学園の生徒会長になって学園を支配するよう告げられる。
夢宮学園に入学するのはともかく、生徒会長なんて表に立つことが嫌いな香恋は理由を付けて断ろうとするが長老達が出した条件――もし成功した暁には本家の一員として迎えられることを約束されたので香恋は受けた。
勇んで夢宮学園に入学したのは良いものの、そこは生徒会の権限が著しく低く飾りでしかない。それよりも風紀委員が実質学園を牛耳っているのでその辺りを長老達に説明して条件を変えるよう頼み込むが却下された。
ここで香恋は向こうが自分を貶める為に仕組んだ謀略だと気付き、ならば見事見返してやろうと心に決める。
生徒会に入り、生徒会長になるのは1ヶ月もあれば完了しそしてそこから香恋の反撃が始まった。手始めに圭一をはじめ、優秀な人材の引き抜きを行う。その際に塩をまかれる様な仕打ちを受けることもあったが香恋はめげずに人材の獲得に奔走した。
能力
人を使うことを特化しているせいか香恋自身の戦闘力は蚊トンボ並みしかない。箸より重いものを持ったことはないと豪語しており、事実、体力測定では学園史上最低記録を更新した。
支配者の命令……自分に付いている肩書に従わなければならない者は香恋の命令を無視するとペナルティが適用される。
神の決定……香恋を心酔し切っている者のみ使用可能。肉体や魔法などあらゆる制約から一時的に解放される。
性格・人柄
優しく器量のある理想の生徒会長として評価されているが実は相当狡猾で計算高く、冷酷なのだがそれに気付いているのは圭一や紅音を始めとしたごく一部の人のみである。
また、相手を支配するための勉学を怠らない努力家であり、時に優しく母のように寄り添い、またある時は人形と接するかの様に突き放すなど相手の状態によって硬軟織り交ぜた態度を取って相手を畏怖させる。