ナカザワ・ゴブリン 1番
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少し離れた場所に『みっちゃん』と『サッチャン』がいる。仲がよい友達をあだ名で呼んでいるのではない。みっちゃんは矛を構え持ちサッチャンは背中に背負った剣の柄を握って、暗い森の中で二人は全身から殺気がみなぎるオーラを放っている。そんな二人の頭上をフワフワと、『みっちゃん』『サッチャン』と書かれたかわいらしい名前が浮いているのだ。同じように私の頭上にも『ナカザワ』が浮いている。二人には森の中で出会った。大抵やり過ごすのだが、二人は私を見つけると全身にオーラを放った。仕方ないなと思った私は仁王立ちで対面している。状況は緊迫しているのだ。
みっちゃんは煌びやかな衣を着重ね月夜に美しい女性のシルエットを映し出し、一定の間隔で天を仰ぐと同時に渦のような光が身体を包み一段とオーラが大きくなる。スペルだ。スペルとは呪術の総称でさまざまな効果を発揮する。その隣りで背中に背負っていた盾と剣を抜いたサッチャンはテクノを発動させているようだ。鎧に包まれた筋肉質な身体を包むオーラが青から紫へ、紫から赤へと変化を繰り返している。テクノとは儀式の一種だ、戦いの前の儀式でテンションを上げ、瞬発力や爆発的な力を生み、必殺やクリティカルを誘発する。見たところ、みっちゃん サッチャンはヒューマンというカテゴリーに属すキャラクターだ。ヒューマンの特徴は職業というシステムによって分類され、その職業を活かす装備や武具が豊富にある。みっちゃんのその出で立ちからしてスペルパワーを最大限に生かせるビショップという職業だろう、それとサッチャンの重厚な装備は接近戦を得意とするソードマンといった所だろうか。
「ヒューマンか、ねんねの時間だろう、この森を去れ」私は叫ぶというトークモードで威嚇した。
すでに日は沈みナイトタイムと言われる時間帯に入っている。ナイトタイムとは要するに夜であってアンデット、スピリットなどの死霊や、デヴィル、バンパイアなどの魔族に属する、要するに魔物と呼ばれるモンスターが元気に徘徊する時間帯なのだが、夜も浅い為まだ見え無い。
ヒューマンは主にデータイム、要するに日中にに活躍するキャラクターだ。このデータイムとナイトタイムではキャラクターのさまざまな要素が変化する。主にスコープ(視界や視距離)、パワーが著しく変化する。データイムに活躍するヒューマンのみっちゃん サッチャンはナイトタイムに入ると、とても視界が悪く遠くを見ることができない上にパワーも落ちているということになる。しかし殺気がみなぎったオーラを放ったままヒューマンの二人は不敵に微笑んで何も答えなかった。私は腰に挿した2本のアックスを抜き取り微笑み返した。アックスの周りを紫色の妖気が漂い、発動しようとしているスキルに必要な力を溜め込む為に緑色の肉体がはちきれんばかりに緊張している。私はゴブリンだ。
まだまだ力不足の駄文ですがお許しください。
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