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第五十六弾 黄泉の国から2025秋 ④ 句読点

 第4話 句読点の裁きを受ける


 その夜、エリックはひとり原稿に向かっていた。テーマは――句読点。

 彼の地獄は、まだ終わっていなかった。


(机に向かい、決意に満ちてうなずくエリック)


 エリック

「よし……今日は句読点を意識してみるぞ! ちゃんと、呼吸を……入れる……!」


 筆を走らせ、書き上げた文を読み上げる。


 戦場に駆ける兵士は。恐怖を振り払い勇気を奮い、立たせ仲間を救うために剣を振るった、


 エリック

「……なんか違う? 句読点っぽいところで、息止まるんだけど……」


 その時、突然背後からドシン、と蹄の音が響き、デュラハン先生が現れた。


 デュラハン

「――呼吸が乱れたな、エリック。句読点を入れたつもりで、迷走しているぞ」


(スタジオ暗転、炎が灯る)


 デュラハン

「見よ、正しい文を!」


 良い例(適切な句読点)


 戦場に駆ける兵士は、恐怖を振り払い、勇気を奮い立たせ、仲間を救うために、剣を振るった。


 エリック

「……読める! 息ができる! なんて優しい文なんだ!」


 デュラハン

「句読点は呼吸のしるべ。少なければ読者を窒息させ、多ければリズムを殺す。――読者の肺を支えるのが、句読点の務めだ」


(さらに別の巻物を出す)


 悪い例(多すぎる)


 戦場に駆ける兵士は、恐怖を、振り払い、勇気を、奮い立たせ、仲間を、救うために、剣を、振るった。


 エリック

「うわっ! 読点地雷原!? 一歩進むたび、テンポが爆散していく……!」


 デュラハン

「句読点を打つたびに息が止まる。打ちすぎの罪もまた、裁かれるのだ」


 良い例


 戦場に駆ける兵士は恐怖を振り払い、勇気を奮い立たせ、仲間を救うために剣を振るった。


 エリック

「……句読点って、息づかいそのものなんだな」


 エリックが学んだのを見て、デュラハン先生は静かに消えていくのだった。



 見守る者たち


 五朗

「ふむ……句読点は呼吸の道標か。なるほど、戦も文章も、息が乱れれば負けるんだな」


 ホタル

「読点があると、安心できるんですよね……。あたし、怖い話で句読点が無いと、心臓止まりそうになる……」


 ぽん吉

「せやせや! 句読点は読者のための空気穴や! 多すぎても窒息、少なすぎても酸欠――いわば、文章界の換気扇やな!!」


(五朗とホタルが吹き出す)


 ホタル

「か、換気扇て……!」


 五朗

「上手いこと言う! 句読点は読者の換気扇、覚えておこう」


 ナレーション

「こうしてエリックは、句読点の裁きを乗り越えた。呼吸を取り戻した文章は、地獄でも輝くのだ――」


 エリック

「……句読点、ただの点と丸だと思ってたけど――実は、呼吸そのものだったんだな……」


 ぽん吉

「ワイ、次のテーマ予想したる。絶対、改行や!」


 ホタル

「えっ、どうして分かるんですか?」


 ぽん吉(ドヤ顔)

「この流れ、もう読めてるんや。文法修行の呼吸、壱ノ型――改行の型や!」


(遠くでデュラハンの声が雷のように響く)


 デュラハン

「……気を抜くな、エリック。句読点を覚えた者ほど、改行でつまずく」


(エリック、ビシッと背筋を伸ばす)


 エリック

「……了解です、先生! 次は改行の極意を、必ず!」


(スタジオに拍手と笑い声)


 ナレーション

「こうしてエリックは、呼吸する文の第一歩を踏み出した。句読点――それは、読者と作者をつなぐ小さな奇跡。その一息が、物語を生かすのだ……」



 

 次回予告

  第5話 改行が守る読みやすさ

 

 文章は、文字だけでできているわけじゃない。

 行と行のあいだに、読みやすさは宿る。

 改行ひとつで、物語は進み、気持ちは届き、読者は迷わない。


 次回、エリックは知る――

 余白は、最強の案内役である。



  提供


『三途の川マーク編集学院』~呼吸する文を、あなたに~

『読点ホイホイ協会』~多すぎる句読点をそっと捕獲~

『文頭空白保存協会』~その一文字、守ります~

『魂屋本舗』~想い出、高価買取いたします~

 そして――読者の換気扇を回そうキャンペーン実施中の黄泉TVがお送りしました。


(番組終了後、スタジオの薄暗い隅から、そっと半角魔人が現れる)


 半角魔人(しおらしく目を伏せて)

「……なぁ、エリック。オレ……分かったんだ。句読点、大事。余白も大事。呼吸も大事……」


 エリック

「魔人……! 成長したのか……?」


 半角魔人(涙声で)

「でもよ……ちょっとだけでいい……半角の……息継ぎも……認めて……くれねぇか……?」


(胸に手を置き、震える)


 半角魔人

「半角だって……生きてるんだ……!(グスッ)」


 エリック

「……な、なんか急に情緒的だ!?」


(背景でぽん吉が鼻をすすり、涙目)


 ぽん吉

「半角……も……息しとるんやなぁ……っ!(泣)」


(半角魔人、そっとぽん吉の肩に手を置く)


 半角魔人

「ありがとな……仲間……」



 特別協賛

 半角魔人ファンクラブ(会員2名 → 3名)


 ぽんキリッ

「ワイ……半角にも、救いを見たいんや……!」


 エリック

「いやいや、あからさまに、嘘泣きしてたよ?」


 半角魔人(静かにウインク)

「半角は……風のように広がる……☆」



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