第四弾 特別編 賽の河原・三途の川・黄泉の国
ドキュメンタリー番組風 地獄旅
「おしえて!エリックさん」
〜地獄で石を積む理由〜
カメラマン(ナレーター)
「これは、一人の男が前回視聴率を取れなかった責任を取らされ 、 天空界から落ち、地獄の底で“死後人生”を再構築してゆく——ドキュメンタリーである」
第一章:賽の河原編
【荒涼とした河原。白装束の魂たちが黙々と石を積む中、ひときわ目立つ声が響く】
エリック(やたら陽気)
「一つ積んでは父のため〜♪ 二つ積んでは母のため〜♪
……って、重っ!誰かリフト持ってきて〜!」
カメラマン
「“賽の河原”。子供の魂が石を積み続けるとされる場所。
だが今、この男が積んでいるのは、自らが生前に背負った“心の重み”であった——」
【石を積むエリック。その後ろから、無慈悲に積み石を壊す小さな影】
ゴブリン(破壊係)
「はいっ! 一〇八回目の“泣き顔”いただきました〜♪」
エリック
「グスン……壊すなら、せめてもっと芸術的に壊して……」
第二章:悟り、そして通過儀礼
【積み石を壊されまくったのち、やがてエリックが静かに石を積む姿へ。後光が差しているように見える】
エリック
「……意味がないように見えることにこそ、意味があるんですね……」
カメラマン
「変化は静かに訪れた。
彼は“無意味の中の意味”に気づき始めたのだった。」
【ゴブリンが小さく舌打ちをして】
ゴブリン
「ちっ、悟ったか……まあ、そろそろ次のステージ行かせてやるか。次は三途の川だ!」
第三章:記憶と向き合う舟旅
【フードを被った謎の船頭が舟を漕いで近づく】
船頭
「……乗るか、戻るか、選べ」
エリック
「乗ります!乗ります!今さら戻っても地獄だもん!」
【舟が出航。水面には過去の記憶が次々と浮かぶ】
カメラマン
「この川は“記憶の渡し”。
ここを渡る者は、自らの過去と向き合い、魂の“本質”を見つめる——」
【ギルド館で女性を口説こうとする記憶。エリックの失敗ばかりが浮かぶ】
エリック(過去)
「今日は色っぽいね。誰かと会うの?」
女性(過去)
(ง ˙罒˙)ว )д*)!!バチーン、「デリカシーない人、大嫌い!」
エリック(現在)
「うわあああああ〜!!俺の恥、全国ネット〜!!」
【膝を抱えるエリック。船頭が静かに語る】
船頭
「……罪とは、他人の記憶に刻まれることでもある」
エリック
「それ十年前に聞いてたら、もうちょいマシな人間だったかも……」
第四章:黄泉の国へようこそ
【舟が着岸。紫の霧が立ち込める静謐な空間】
船頭
「ここが終点。……二度と戻れぬことを、忘れるな」
エリック
「大丈夫!もう来ない……もん!」
カメラマン
「ここは黄泉の国。
時の流れが曖昧で、感情が空間を満たす、魂の境界領域——
“未練”と向き合う旅が、今始まる。」
【石畳の小道。漂う後悔の念、感情の言葉】
「もっと謝ればよかった」
「俺じゃなくてアイツが悪い」
「フラグ解説するんじゃなかった」
エリック
「うわっ……これ、全部“心の声”?!やめて!痛い!一つだけなんかやたら心に刺さる!!」
第五章:未練の街、市場へ
【黄泉の国《入国受付》。無機質な受付ゴブリン】
ゴブリン
「お疲れ様でーす、入国審査OK〜。はい、これ“未練チェックシート”ね〜。記入例?ないです〜。自分で掘り起こして〜」
エリック
「サービス悪、目死んでるじゃん……ってここ死後か……」
カメラマン
「魂の重さを知るには、自分自身と向き合うしかない。
黄泉の国の入口は、魂の“出口”を探す旅の第一歩——」
【街並みに並ぶ、後悔カフェのメニュー看板】
・自己嫌悪ブレンド(眠れぬ夜の味わい)
・失言ラテ(飲んだ後で気づく、あの時の言葉)
・未練モカ(ほろ苦さ、MAX)
エリック「“イタタ・マキアート”って何!?飲む前から胃が痛いんだけど!?」
カメラマン
「イタタ・マキアート、精神的ダメージを伴う、黒歴史風味のカフェドリンクの事、あの日の失敗を思い出しながら飲む、後味がえぐい系メニュー」
【道端に賽の河原のゴブリンが露店開いてる】
ゴブリン
「いらっしゃい〜、本日のお宝は“やり残した恋心”、特価3怨ポイント!」
エリック
「通貨単位が重い!あと俺のじゃん、それ!勝手に売らないで!」
カメラマン
「“生”に残した未練の重みが渦巻くこの国で、エリックは何を見て、何を手放すのか。
彼の魂の旅は、なおも混迷の中へと進んでいく——」
エリック
「カメラマンさん、急に重厚なナレーションしてるけど、どうしたの!?めっちゃ番組っぽくなってるじゃん!」
カメラマン
「次回、教えてエリックさん、ヤケクソ黄泉の国解説”お楽しみに!」
「いつも番組を見てくださり、ありがとうございます。スタッフ一同」
提供
《未練バンクYOMI支店》
本作は創作されたフィクションです。実在の人物、団体、宗教、事件等とはいかなる関係もありません。また、特定の思想・信条・文化・価値観を推奨・否定する意図は一切ありません。