第九弾 地獄の鬼、こわくて優しいその素顔!?
『おしえて!エリックさん』
地獄の鬼、こわくて優しいその素顔!?
(前回、伝説の泉でのリポート中、事故発生!)
能天使カマイルの必殺技、《筋肉ドライバー》が炸裂!
逆さに掴まれたエリックは、そのまま脳天から黄泉の国へと──
ドォォン!!!
頭から黄泉の大地に突き刺さるエリック。記憶と理性を失い、奇行モード突入。
「オイラはバナナです!ピーピーピー♪」
石としゃべり、鬼のしっぽをマイクに歌い出し、女性のスカートをめくる始末。
「エヘ、エヘ、エヘヘヘ」
「なにすんの!」
(ง ˙罒˙)ว )д*)!! バチーン!
「くぁwせdrftgyふじこlp!」
──そして、ビンタで目覚める。
「コノカンジ………オボエテル……僕は……オーガ五郎の息子、エリック……」
【オープニング】
エリック(顔面アザ付きでカメラに向かって)
「こんにちは〜、魂にやさしく、顔にはアザな男。エリックです!」
「今回は、黄泉の国のど真ん中から、あったか〜い取材をお届けするわけでして」
(背後から渋い声)
オーガ五郎
「おう、エリック……。こっちも寒くはねぇけど、……魂が冷えるんだ……」
エリック
「父さん、ナチュラルに背後霊みたいに出てくるのやめてくれません?びっくりなわけで!」
オーガ五郎
「……おめぇが心配でな……下界行ったと思ったら速攻で地獄落ちって聞いて……」
エリック
「事故ですってば!予告なし天罰ってどうかと思うわけで……」
【本編】
エリック
「今回は“地獄の鬼ってほんとに怖いの?”という視聴者様の声にお応えして、鬼たちを密着取材なわけで!」
オーガ五郎
「……鬼もな、いろんな立場で働いてんだよ。なりたくてなった奴ばかりじゃねぇ……」
エリック
「てなわけで、いってみましょう」
1. 閻魔直属の獄卒たち
閻卒:真実を見抜く、法の目。ウソついたら即バレる。
羅刹鬼:パワーで黙らせる重罪担当。筋肉で語る系。
阿傍:地獄のDIY職人。針の山の打ち込み担当。
オーガ五郎
「……昔、針の山のメンテで手伝わされたことがあってな……一本一本、打ち込みだぞ……」
エリック
「地獄にも職人魂……!血と汗のメイド・イン・ヘルなわけで!」
2. 八大地獄の専属鬼たち
黒縄地獄:縄使いの名人。神業レベルの刻み技。
衆合地獄:とにかく潰す。雑でも強い。
叫喚地獄:絶叫専門音響鬼。叫びを収録・分析。
大叫喚地獄:泣かせ屋。コーラスで泣かす。
焦熱地獄:灼熱の担当。常に燃えてる。
無間地獄:休みゼロ。残業の概念すらない。
オーガ五郎
「……無間の連中な、文句も言わず、ただ黙々と働いてんだ……見てると胸が……熱くなる……」
エリック
「父さん、炎出てる……!? 物理的に熱くなってるわけで!」
3. その他の構成員
牛頭・馬頭:道案内のプロ。渋い笑顔がチャームポイント。
餓鬼:空腹がアイデンティティ。目が切ない。
夜叉:スタイリッシュ戦闘担当。動きが完全に忍者。
エリック
「餓鬼……ちょっと仲良くなりたくなる存在……」
オーガ五郎
「……友達になるなら、弁当持ってけ。飴とかだと余計に泣くぞ……」
【特別コーナー】御前議
──これは、美と正義の名のもとに行われる、魂の審理──
\「“雅閻魔大王”のおな〜り〜!」/
鳴り響く鳴り物、ただならぬ気配に空気が凍りつく。
今、冥府最高機関の扉が開かれる――
雅閻魔大王【真鬼】
美と裁きの化身。冷酷にして華麗なる閻魔の君。
「光も闇も、美しく裁かれねばならぬのじゃ」
その麗しき面に笑みを浮かべつつ、真実を見通す眼差しは鋭く、絶対なる美と秩序をもって魂の是非を定める。
左鬼【雷神】
雷の戦鬼。かつての名は、戦場に舞う巴御前。
「雷は罪を暴き、刃は悪を断つ」
稲妻のごとく現れ、真実を照らす豪雷の斬撃。閻魔の刃たるその存在は、容赦なく悪を討ち払う。
右鬼【風水神】
風水を操る冷静なる鬼神。生前は、鈴鹿御前。
「裁きは、流れを読み、整えるもの」
風のささやき、水のさざめき、その調和をもって乱れた魂を整え導く。彼女の言葉はまさに自然の理と呼ぶにふさわしい。
三柱の御前が揃いし時、虚飾も偽りもすべてが白日の下にさらされる。
オーガ五郎
「……誰かが裁いて、誰かが支えて……地獄があるから、迷わず済む魂もあるんだ……ありがたい話だよ、ほんとに……」
エリック
「雅閻魔様たちが、こんなに真剣に働いてるなんて……地獄、思ってたよりずっと優しい世界かもしれない……ありがとうございます……!」
カメラマン (到着)
「エリック? いやなんか違う……今、エリックに起きている“変化”とは何か?
アットホームな地獄、鬼たちへの信仰、そして……謎の適応。
これは同情か? 洗脳か? それとも……“地獄沼”という名の闇なのか……?」
【エンディング】
エリック
「鬼たちは、ただの恐怖の象徴じゃなかった!地獄を黙々と支える誇り高い働き手たちだったわけで!」
オーガ五郎
「……見た目で決めつけるな。人も鬼も……同じだ……たぶんな……」
エリック
「深い!でも次回予告のタイトルで一気に現実に引き戻されました……」
【次回予告】
\「エリック、ドラマ制作予算のため、黄泉でバイトする?」/
──黄泉の国から2025夏、バイト編、黄泉で始まる、地味にハードなバイト!
【提供】黄泉の国から製作委員会
《閻魔町役場:罪状課》〜手続きはお早めに〜
《阿傍金属》〜針の山、特注承ります〜
《叫喚プロモーション》〜絶叫系、全力応援〜
《獄卒温泉・無間館》〜終わらない湯けむりの旅〜
《父子生活支援団体:オーガの会》〜不器用な愛が、ここにある〜
※この番組はフィクションです。実在の地獄・鬼・父子関係とは一切関係ありません。が、オーガ五郎の親心だけは本物……かもしれません。




