第一弾 天空門の謎、今日も大調査!
カクヨムに掲載中。
更新は毎週火曜日と金曜日になります。
エリック
「さぁ始まりました新企画、天空門のルシフィスで疑問に思った事を調査する」
『おしえて!エリックさん』
~天空門の謎、今日も大調査!~
「メインMC、レポーター、コメンテイターと一人三役、調査大好き冒険者のエリックが担当いたします!」
「エリック?誰それ?ハハハ、詳しくは初登場する**第20話『エリック調査員』**を読んでくだされば分かるかと思います。……知名度がなくすみません」
「しかしこれからこの企画で知名度を上げれば良いと思う今日この頃……さて、気を取り直して、今回の疑問はこちら!」
天空門のルシフィス 第三話より抜粋
神山空――本当の名はルシフィス。天空界の見習い天使である彼は、記憶を失ってからすでに二年が経っていた。
「第三話『惑星イオへ』の冒頭文ですね。主人公さんは様々な問題を抱えてらっしゃいますが……」
「そう!今回の疑問はコレ!二年という時間経過をなぜ飛ばしたのか?」
「天空界で老師から教えを乞い、修行パート。岩を乗せて腕立て伏せ、槍と弓矢が飛んでくる中を回避する過酷な特訓があってもおかしくないのに、なぜ描かれなかったのか?」
「その謎に迫るべく、今回は私、エリックが現地取材を敢行いたします!」
〜天空界への移動中〜
「さぁ、やって来てしまいました。ここはかの有名な、天空界です!」
「時短で到着いたしましたが。生きている人は絶対来れませんので、特別の特例でウリイル様にご許可をいただきました!果たして私は生きて帰れるのでしょうか?」
「そんな心配も去ることながら、目に飛び込んでくるのは—。一面真っ白な雲の平原!」
「思わず『わぁー』っとなりますが、しばらく見ていると他には何もありません。普通です」
「では歩いてみましょう。雲の上は固くもなく、柔らかくもなく……普通ですね〜」
「……おっと、住人がいました!」
「こんにちは!」
「こんにちは〜」
「挨拶も歩き方も普通ですよ〜!」
「そしてついに見えてきました、魂の裁判所・天空城!」
「下界への門から距離も、近くもなく、遠くもなく、普通です。天空城も高くも低くもなく、大きさも普通です」
「……一体どういう事でしょうか?私は今、“普通”という単語を連呼しております」
「察しの良い読者の皆様は、もう気づかれているかもしれませんが……おっと、ここで、登場するのは!」
揚老師 登場
「ほっほっほ」
「天空界でルシフィス様を鍛えあげた、あの揚老師がここに!早速、修行内容について伺ってみましょう!」
「ほっほっほ」
「……あーすみません。天空界語なので、皆さまには伝わらないかも……」
「ほっほっほ」
「では私、エリックが通訳いたしますと」
揚老師(エリック訳)
「天空界で体を鍛えようとしても、キツくもなく、緩くもなく、疲れることもない。なのでルシフィス様には武術の型、槍術の型だけを魂に刻む修行をし……」
「ほっほっほ」
「ルシフィス様は、人間としての記憶だけがあり不安定だったため、“精神”を鍛えることを重視した。精神は鍛えれると……ふむふむ」
「ほっほっほっほっほ」
「つまり、型だけの武術と精神修行の内容が、すごくすごーく地味だったため、描写をカットした……という訳ですね!」
まとめますと
天空界は魂の裁判所がある領域
生前“良くも悪くもなかった”普通の人々が来る場所
そこでは、生前と変わらぬ普通の生活をして、転生を待っている
天空界では魂の本質が変わらないため、体を鍛えても意味がない
よってルシフィス様は、精神修行がメインに。
内容:型だけ武術1時間、座禅3時間、滝行3時間、その後は「雲を数えて」一日終了。
「毎日これです」
「ほっほっほ」
「いや〜、なるほど。普通にスッキリしました。それでは!」
(エリック、立ち去ろうとするが……)
✋グッ!
「へっ?」
「お主……ルシフィス様に失礼を働いて、ワンパンされたそうじゃの?」
「……あー、そんな事もあったかなー、なんちゃって……」
「修行じゃわい! ほっほっほ!!」
「ちょっ、老師!? 私もすごくすごーく地味になりますよ!? 離してくださいって!あー、それでは皆さま!シーユーアゲイン!」
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